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編著 山本佳奈子/金潤実/齊藤 聡/佐藤マタ/清水博之/高岡大祐/武部洋子/DJ 817/長嶺亮子/よなき/和田敬
発行:オフショア
四六判 288ページ 並製
価格 2,000 円+税 2,200 円(税込)
ISBN978-4-9912649-5-5
発売日 2025年11月1日
表紙イラスト:petechen
ロゴ・表紙デザイン:三宅 彩
試し読みはこちら https://hanmoto9.tameshiyo.me/9784991264955
目次
■特集「音楽の聴き方について考える」
・女のインドネシア・ポップス(武部 洋子)
・タイポップと真剣に向き合ったらダイナミック琉球にぶち当たった(DJ 817)
・インドネシアのジャズを聴く会ドキュメント[於:実験的談話室 主水 MONDO](佐藤 マタ)
・中華世界へのまなざし―台湾で撮影されたミュージックビデオを観る(長嶺 亮子・山本 佳奈子)
■生徒として、教員として―とある美術部の歴史とはなし(金 潤実)
■BARよなき2024年業務日誌[抄録](よなき)
■台湾における市民による地下メディア実践と民主化との関係―1990年代の台湾の地下ラジオ運動を軸として「メディアづくりを通じた市民意識の醸成とは」(和田 敬)
■ザイ・クーニンの表現にみるアイデンティティ―血、海、家(齊藤 聡)
■自炊アナキズム(高岡 大祐)
■私の弘大漂流記(清水 博之)
■消費主義的アジアンカルチャーから足もとのアジアへ(山本 佳奈子)
『オフショア』とは……
アジアの音楽やアートの情報を発信するウェブマガジン「Offshore」(2011~)が、紙の文芸雑誌となってリニューアル。2022年8月創刊。速い情報発信ではなく、「やすい」や「おいしい」でもないアジア。じっくりアジアを考えます。
〈巻頭言全文〉
いつのまにかペースを落とし(崩し?)年一回発行になっている本誌だが、ついに五号までやってきた。「これでいいでしょうか……」と、びくびくしながら発行していたのが四号までだったが、打って変わって、「こんな雑誌が読みたかった」という号になった。
そろそろここで特集というのを設けてみようという気になった。特集タイトルはなかなか決まらず一人であれこれ悩んだ。第一候補に「政治的な音楽の聴き方」、第二に「音楽と政治」などがあったが、最終的に、この背表紙に白抜きされた「音楽の聴き方について考える」―まどろっこしくて何も言ってないような長いタイトルになった。ちなみに「考える」のは書いたり編集したりした我々ではなく、読者の皆さんだ。皆さんにこそ、「考える」ことをしてほしいのである。また特集タイトルから「政治」を抜いたのは、狭義としての政治(政権、政府、政治家等)だけにとらわれて本誌のページをめくる気にならない人がいるだろうなと考えたためであり、まさに政治的な決め方をした。
とはいえ、音楽が聴こえたら、ただそれに身を委ねるのが理想的で、自分の耳と感覚だけを頼りにすることが、真っ当である。だがここはフロアではなく、活字の場だ。音楽を聴いたり演奏したりする自分たちを、活字の上で、精察する機会にしてみてほしい。
特集においては四分の二がインドネシアに関わる文章で、インドネシア音楽を勧めているようにみえるかもしれないが、そうではない。インドネシアは、政権のイデオロギーが瞬時にして一八〇度転換し、それによって音楽や芸術にも多大な影響があった。そんなダイナミックな変化のあったインドネシアでどのような音楽が奏でられ歌われているのかを知ることで、音楽と政治が地続きにあることをイメージしやすくなると思ったのだ。では、日本にはなぜそのようなダイナミックな変化がなく、インドネシア音楽の背後にあるような文脈がないのか。逆照射して考えてみると、本誌をはみ出たところでもっともっと楽しめるはずである。余談になるが、私は中国の音楽について集中的に見て/聴いてきたのだから、中国について今号に書くべきだったのでは、という心残りもある。しかしここは慎んで、次の機会までに詩経を学び、中国文学を原語で数作品読むという修練を積んでから、出直すことにしたい。今号所収の作品いくらかにそういった記述があるように、現地語を理解しなければ、その地の音楽について語るのは難しい。今ある音楽雑誌も、各地の音楽を扱う際はぜひ現地の言語を解する人に書かせてみてほしい。そのほうが断然面白いから。英語だけでアジアを読解しようというのは、ある意味で帝国主義的しぐさである。
特集の外にも音楽の話題が散らばっており、書くことを仕事にしていない人が筆を執ったものも多い。書かせるということの暴力性を校了後も思案しつつ、これまでで最も多様な視点を盛り込み、かつ重層的な号になったと自負している。執筆陣のパリテについては、編集人が女であるということを加味しつつ、次号の課題としたい。表紙イラストは、「陸から外海へ―オフショア」という極めてシンプルなお題で表現してもらった。〔編集人・山本 佳奈子〕
著者プロフィール
山本 佳奈子 (ヤマモト カナコ) (編著)
当誌の発行人・編集人。物書き(バイトと兼業)。1983年生まれ、尼崎市出身。2015年から約5年間那覇市に暮らし(その間に福建省で1年間留学)、2020年より神戸市兵庫区在住。好きな歌は「宮古根」。共編著書に『ファンキー中国 出会いから紡がれること』(灯光舎)。昔のZINEでの筆致を取り戻すため、しばらくは自分の原稿に没頭する予定。
(版元より)
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