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犬の看板探訪記 関東編|太田靖久
¥2,090
発行:小鳥書房 表紙イラスト an ideal for living 装丁・組版 岩間佐和子、向阪伸一(ニシ工芸株式会社) 図版 是村ゆかり 編集 落合加依子(小鳥書房) 編集協力 佐藤雄一(小鳥書房) 印刷・製本 シナノ書籍印刷株式会社 並製、B6、帯・カバーあり、256ページ ISBN978-4-908582-15-8 定価:1,900円+税 「犬の看板」は簡単に見つかるときもあれば、何時間歩き回っても見つからないときもある。そのさじ加減が絶妙なのだ。そうやって出会いを重ねるほどに意外なつながりが見えてきて、ただのコレクションだけにはとどまらない奥深さに気づくことができる。 私は町を歩きながら、「ああ 日本のどこかに私を待ってる犬がいる」と、『いい日旅立ち』の歌詞を少し変えて小さく歌っている。「犬の看板」探訪がきっかけで初めて足を運んだ土地も多々あり、まさにディスカバー・ジャパンである。 (プロローグより) 犬の看板とは、「犬のフンを持ち帰りましょう」などといった文言とともに道に貼られている、美化啓発をうながす看板のこと。 犬看が好き、散歩も好き、そしてなにより犬が好き! これは、犬と犬看を愛してやまない小説家による渾身の犬愛(ワンワン・ラブ)偏愛録である。 大都会の真ん中から人里離れた山奥まで。史跡名勝などには目もくれず、ただひたすらにまだ見ぬ犬看を探し求める……。 関東地方を西へ東へ歩き回って発見した犬看は、なんと全412枚! その1枚1枚に対する愛を、著者のユニークな語り口とオールカラー写真で楽しめる1冊。 読み終わる頃にはきっとあなたも、町の犬看に自然と目が吸い寄せられるようになっているはず! 【ゲストも道連れ珍道中!】 ・滝口悠生(小説家) ・田中さとみ(詩人) ・鴻池留衣(小説家) ・わかしょ文庫(作家) 【もくじ】 プロローグ 〈第一回〉埼玉犬・志木駅編 〈第二回〉東京犬・23区編 その1 番外編 東京・世田谷犬編 〈第三回〉群馬犬編 〈第四回〉東京犬・都下編 ゲスト:滝口悠生 〈第五回〉茨城犬編 〈第六回〉茨城犬と埼玉犬・おかわり編 〈第七回〉山静地方・静岡犬と山梨犬編 ゲスト:田中さとみ 〈第八回〉福岡犬・遠征編 〈第九回〉神奈川犬編 ゲスト:鴻池留衣 〈第十回〉千葉犬編 〈第十一回〉東京犬・23区編 その2とその3 ゲスト:わかしょ文庫 〈第十二回〉栃木犬編 〈第十三回〉関東犬・追憶編と参拝編 解説 嶋 浩一郎 エピローグ 【探訪した場所】 <埼玉県> 新座市/所沢市/朝霞市/志木市/狭山市/飯能市/さいたま市/戸田市/長瀞町/皆野町/秩父市/寄居町/小川町/嵐山町/滑川町/東松山市/坂戸市/三郷市 <東京都> 23区/青梅市/福生市/武蔵村山/西東京市/東村山市/清瀬市/東大和市/国分寺市/東久留米市/あきるの市/羽村市/小平市/小金井市/昭島市/三鷹市/武蔵野市/日野市/多摩市/府中市/調布市/瑞穂町/稲城市/八王子市/国立市 <群馬県> 前橋市/高崎市/桐生市/伊勢崎市/太田市/大泉町/邑楽町/千代田町/明和町/館林市/板倉町/渋川市/東吾妻町/長野原町 <茨城県> 水戸市/茨城町/大洗町/小美玉市/石岡市/かすみがうら市/土浦市/阿見町/牛久市/笠間市/古河市/北茨木市/高萩市/日立市/東海村/ひたちなか市/那珂市/常陸太田市/常陸大宮市 <神奈川県> 秦野市/厚木市/松田町/開成町/南足柄市/小田原市/大井町/藤沢市/二宮町/大磯町/綾瀬市/大和市/座間市/相模原市 <千葉県> 柏市/我孫子市/千葉市/習志野市/浦安市/流山市/白井市/印西市/船橋市/鎌ヶ谷市/松戸市/市川市/市原市/大多喜町/勝浦市/御宿町/いすみ市/一宮町/成田市 <栃木県> 栃木市/野木町/小山市/足利市/宇都宮市/下野市/上三川町/日光市/鹿沼市/さくら市/高根沢町/佐野市/矢板市/大田原市/那珂川町/茂木町/市貝町/芳賀町/益子町/真岡市 <そのほか> 京都府/静岡県/山梨県/福岡県 (版元より)
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「犬の看板」から学ぶ いぬしぐさ25選|太田靖久
¥660
発行:小鳥書房 写真(表2-4):金川晋吾 仕様:B6、26ページ、フルカラー 価格:660円(税込) 文学フリマ東京で好評、愛犬家必見! 小鳥書房のWEB連載「犬の看板探訪記」スピンオフ企画です。 "「犬のフンを持ち帰ろう」といった文言で美化啓発をうながす「犬の看板」は、各市区町村に掲示されており、種類も豊富なため、たくさんの犬に出会うような興奮がある――。犬の看板探訪の世界へようこそ!" 「たいていの時間、犬のことを考えている」という小説家・太田靖久さんが犬の看板のDOGモたちの「しぐさ」を読み解きます。プロローグでは、「いぬしぐさ」のたしなみ方を提案。そしてインタビューでは創作と犬の看板探訪の関係について触れています。そして、写真家・金川晋吾さんの犬写真を3枚収録。おそらく世界初のリアルワンちゃんと犬の看板のDOGの共演が楽しめます。 小説家の頭の中を覗き、日常の楽しみを発見する1冊、ぜひご一読ください。 目次: ・「いぬしぐさ」をたしなむ ・犬の看板から学ぶ いぬしぐさ25選 ・インタビュー 小説家はなぜ犬の看板を探し回るのか (版元より)
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ファンキー中国 出会いから紡がれること
¥2,530
著者 井口淳子/山本佳奈子/広岡今日子/長嶺亮子/無常くん/宮里千里/二村淳子/大友良英/多田麻美/中山大樹/OKI/濱田麻矢/武田雅哉 発行:灯光舎 A5変形判 縦195mm 横148mm 厚さ22mm 320ページ 並製 価格 2,300円+税 ISBN978-4-909992-04-8 初版年月日 2025年2月10日 音楽、クラフトビール、TikTok、豆腐屋、祭祀、ロックフェスに伝統劇―― 多彩な書き手が一堂に会し、それぞれの視点と切り口で描く、ファンキーな中国体験記! 音楽家や収集家、映画祭主催者、祭祀採音者、研究者など13人が集まり、自身の体験した「中国」をそれぞれが思う存分に綴ったエッセイ集を刊行。 80年代の「魔都」上海と食の記憶、中国の村に出現したド派手なステージでのライブ、TikTok で見つけた瀋陽公園で溌溂と踊る人々。70年代の文革期から現代中国という時代をまたにかけ、北京の胡同(フートン)から雲南省、 果てはフランスや台湾、モンゴルにまでエッセイの舞台が広がっていく。 報道では伝えられることのない、書き手たちが映し出す中国の姿。「伝統」に新しいものを豪快に取り入れる姿があり、厳しい規制があるなか、生活に染み入る絶妙な「ゆるさ」や「自由」がある。ときにはカルチャーギャップと呼ばれるような衝撃にも戸惑いながら、書き手ひとりひとりが経験した小さな「出会い」を紡ぎます。 中国といえば国家や政治や歴史という大きなイメージをつい頭に浮かべてしまいがちですが、人と人が出会う小さな瞬間にこそ、かけがえのないものがある。そんな、ひとつの希望を感じるような一冊を刊行します。 本文とカバーのイラスト及び装幀は、『送別の餃子』でお馴染みの佐々木優さん。「14人目の書き手」として、自身の記憶に残る中国の街並みをカバーに描いていただきました。 (版元より)
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哲学対話日記 1.5
¥700
著者 井尻貴子/江藤信暁/小川泰治/古賀裕也/竹岡香帆/得居千照/藤本芽生/堀静香 リトルプレス 企画 小川泰治 編集 小川泰治 増田陽子 組版 増田陽子 判型等 文庫/82ページ 2024年10月27日 第1 刷発行 学校、書店、屋外、家族、日記に描かれる対話の場面は、哲学対話と一口に括れないほどにさまざま。それでもどの日記のなかにもたしかに考えるひとがおり問いと対話がありそれらと地続きの生活がある。『哲学対話日記』以降2024年7月~10月の日記8本を収録。 「本書は2024年5月に文学フリマ東京38にて頒布を開始した『哲学対話日記』の続編で、8名の著者による哲学対話にまつわる一日の日記アンソロジーです。学校、書店、屋外、家族、それぞれの日記に描かれる対話の場面は、哲学対話と一口に括れないほどにさまざまです。それでも、どの日記のなかにもたしかにそこには考えるひとがおり、問いと対話があり、 それらと地続きの生活があります。本書が描く哲学対話の姿の多様さは、それぞれの場所で日々を生きながら問いのもとに考えるわたしとあなたをつないでくれるはずだ、と2作目を編み終えたいま強く思います。」(「あとがき」より) (版元より)
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会社と社会の読書会
¥1,980
著者 畑中章宏/若林恵/山下正太郎/工藤沙希 発行 黒鳥社 編集 コクヨ野外学習センター/WORKSIGHT A5判 価格 1,800円+税 初版 2025年1月17日 わたしたちはいつから「社会に出る」ことを「会社に入る」ことだと思うようになったのだろう?現代日本人の生活にあまりにも行き渡り、出世や勤勉さ、あるいは欲望といった日々の考え方にも大きな影響を与えている「会社」とはいったい何なのだろう。 自律協働社会のゆくえを考えるメディア「WORKSIGHT」が、民俗学者の畑中章宏を招いて会社と社会を考える読書会を開催。『学問のすゝめ』から『ブルシット・ジョブ』、自己啓発から不倫まで、246冊の本とともに「日本の会社」という謎に迫る対話集! ○ 目次 はじめに 会社を問う・社会をひらく 山下正太郎 第1回 会社がわからない 会社の民俗学/「会社=社会」だと思っていた/単数形としての「社会」/メンバーシップの“タテ”と“ヨコ”/商人はどこへ消えた 第2回 ふたつの「勤勉」 『論語と算盤』がわからない/資本主義の不気味な「精神」/貯める勤勉・働く勤勉/経営と温情主義/俸禄とへそくり 第3回 家と会社と女と男 女工から始まる/職業婦人・痴漢・ルッキズム/母性保護論争のあらまし/家はそもそも企業体 第4回 立身出世したいか 出世欲ある?/「立身」と武家社会/勉強して官僚になろう/暗記力がすべて/非凡なる凡人 第5回 何のための修養 社歌・社訓・創業者の胸像/松下幸之助の「わからなさ」/ノン・エリートのための「修養」/新興企業に社葬が必要な理由/トイレ掃除とジョブディスクリプション 第6回 サラリーマンの欲望 研究者にも謎、当事者にも謎/サラリーマンの絶望と欲望/転がる紙風船 第7回 会社は誰がために ChatGPTに仕事を奪われる/ブルシット・ジョブがまた増える/仕事における「ケア」/「小商い」に戻る/デジタル・プラットフォームと市場/結局会社は要るのか 【コラム】 会社の補助線 ◉遅刻してはいけない ◉虹・市・起業 ◉速水融の「勤勉革命」 ◉「失敗」や「挫折」を語れ ◉女性とアトツギ ◉経団連と自己啓発 ◉トーテムとしての「暖簾」 ◉社宅住まいの切なさ ◉三菱一号館から始まる ◉「事務」はどこへ行くのか ブックリスト 本書で取り上げた本 246冊 (版元より)
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ほんとうのリーダーのみつけかた 増補版|梨木香歩
¥880
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岩波現代文庫 刊行日 2022/05/13 ISBN 9784006023430 Cコード 0195 体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 118頁 非常時というかけ声のもと、同調圧力が強まるなかで、この社会の「育む力」は失われつつあるのかもしれません。自分自身で考え、行動しようとする若い人たちと、かれらを取り巻く大人たち。誰もが自分のなかの埋もれた「リーダー」を掘り起こし、「育む力」を育むには……。村ぐるみの選挙不正を告発した一人の少女をめぐるエッセイを新たに増補。(解説=若松英輔)
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星占い的時間|石井ゆかり
¥1,760
発行 講談社 発売日 2024年11月28日 価格 定価:1,760円(本体1,600円) ISBN 978-4-06-537508-2 判型 四六 ページ数 240ページ 初出 12星座 さまざまな星、星座…「群像」2022年4月号~2024年6月号、 占いの内なる道徳律…「ユリイカ 総特集*タロットの世界」2021年12月臨時増刊号、「占い」と「呪い」のあいだ…書き下ろし。 ノイズからの解放、静かさ、自由。 私たちが生きてきた時間を、世界を、「文学×占い」の言葉で見つめ直す。 著書累計520万部超! 「12星座シリーズ」の著者がおくる 「星占い」というツールで語る哲学的エッセイ ・沈黙星座 ・ふりかえる時間 ・「他者」の星 ・嘘と反省 ・ルールをハックする星座 ・「縁」の不思議 ・「法」の星 ・「暦」と星占い ・信用とプライドのあいだ ・「占い」と「呪い」のあいだ 文学の言葉で豊かに語る「12の星座」と「10個の星」 (版元より)
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星占い的思考|石井ゆかり
¥792
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講談社文庫 発売日 2024年11月15日 定価:792円(本体720円) ISBN 978-4-06-537491-7 ページ数 288ページ 占いは社会的に「アリか、ナシか」? 答えは、そう、「ナシ」である。 世の中的には「ナシだけどある」ままならない現実に 真面目で正しい人たちが向き合うために 「星占い」の手法が役に立つ!? 古今東西の文学作品を手がかりとして、人生を深く洞察し、自己責任の考え方から解き放つ。 120万部超のベストセラー「12星座シリーズ」著者の言葉が「私」と向き合う機会をくれる、占い×文学、ここにしかない哲学的エッセイ。 (版元より)
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自分のために料理を作る ――自炊からはじまる「ケア」の話| 山口祐加|星野概念(対話に参加)
¥1,870
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発行 晶文社 四六判並製 360頁 定価:1,870円(本体1,700円) 978-4-7949-7378-8 C0095 〔2023年8月〕 「自分のために作る料理」が、 様々な悩みを解きほぐす。 その日々を追いかけた、 実践・料理ドキュメンタリー。 著者のもとに寄せられた「自分のために料理が作れない」人々の声。「誰かのためにだったら料理をつくれるけど、自分のためとなると面倒で、適当になってしまう」。そんな「自分のために料理ができない」と感じている世帯も年齢もばらばらな6名の参加者を、著者が3ヵ月間「自炊コーチ」! その後、精神科医の星野概念さんと共に、気持ちの変化や発見などについてインタビューすることで、「何が起こっているのか」が明らかになる――。「自分で料理して食べる」ことの実践法と、その「効用」を伝える、自炊をしながら健やかに暮らしたい人を応援する一冊。 【磯野真穂さん(文化人類学者)推薦!】 食べることは生きること。なのに、自分のための料理は億劫。それはなぜ? 料理を愛する著者が贈る、これまでにない料理本。
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なめらかな人|百瀬文
¥1,650
発行 講談社 発売日 2024年05月30日 価格 定価:1,650円(本体1,500円) ISBN 978-4-06-535532-9 判型 四六 ページ数 256ページ 初出 「群像」2022年4月号~2024年1月号、3月号、4月号。 たとえこの地球に散り散りに住むことになったとしても家族でいられるように、わたしたちは将来の約束をしない-ー群像の好評連載がついに単行本化。新進気鋭の美術家による清冽なエッセイ。 「実際のところ別に名前自体はどうでもいいとは思うが、必ずしも恋愛にもとづかない関係をときどき家族と名乗ることができたりする社会になったらいいのにな、とは心から思う。 けれど、わたしの中にある「家族」への固執は、おそらくもっと身勝手で、ままならない何かに紐づいている。自分の心と体が誰にも支配されることのない家を、安心して帰れることが約束された家を、わたしはこの手で作り直したかったのだと思う」(本文より)
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言葉の即興演奏 Hyogo 2024.09|小林楓太
¥770
リトルプレス — 街中のある一点に30分間立ち続け、音を録る。その音の中から言葉だけをすくいとって、文字に起こす。 — そんな営みによって紡がれた、街の言葉を記録したZINE。 あなたが街で言葉を発した時、その言葉はその場所にポツンと残される。しばらくして、また見知らぬ誰かがある言葉をそこに落としていく。しばらくたつと、見知らぬもの同士の言葉が連なりをつくっている。そんなふうに街では、ある場所に残された言葉が積もり、即興演奏を奏でている。 誰かの会話の断片、時には、駅アナウンス、街広告、どこからか聞こえてくる音楽。街に漂うあらゆる言葉を、一つずつすくいとり、時間の流れに沿って、波形のように文字に起こした本作。タイトルによって、その時間帯、地点は様々。そのそれぞれからは、街の発話リズムが視覚的に現れ、一つ一つの言葉からは、その時の空気感—時代、年月日、季節、曜日、時間帯、その土地っぽさ—が密かに漂ってくる。そんな、時と場の空気が閉じ込められたZINE。 <内容物> 1. 本誌 148mm×148mm / 16p / ソフトカバー ある場所で30分の間流れていた言葉を記録したもので、見開きで5分ずつとなっております。 最後のページには30分間流れていた全ての言葉が並べられており、最後のページに至るまでに辿ってきた言葉の流れが一目に立ち現れる仕様です。街全体の発話リズムを感じられるものとなっています。 2. introリーフレット なぜ、街の一点に立ち続け、言葉を抽出するようになったのか、そのきっかけを綴ったエッセイ。また、文字起こしという営みに込めた思い、そして、文字起こしの際に設けているちょっとしたルールが記されています。 3. フィールドノート ある場所に30分立ち続けている間、周囲で起こっていたことやふと気づいたことをスマホにメモした当時の記録。本誌から情景を思い描く時、解像度を高める手がかりとなるような、各地点ごとのエッセイ。 5. MAP 立っていた地点の情報を埋め込んだQRコードが添えられた、石ころのような紙。 これらの内容物がCDほどのサイズ(160mm×160mm)の封筒に納められています。 現在、約240種類にわたる、様々な地点・時間帯で行った文字起こしの記録があります。 今後も、様々な地点で録音をし、更新していきますので、お楽しみに。 ※タイトルによって、一つ一つ内容が異なります。 ※全て手作業で行っているため、製本に多少のずれが生じる場合がございます。ご了承ください。
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テント日記/「縫うこと、着ること、語ること。」日記| 長島有里枝
¥2,530
発行 白水社 出版年月日 2022/12/26 ISBN 9784560094570 判型・ページ数 4-6・204ページ 定価 2,530円(本体2,300円+税) 二人の母と共働した二つの作品――実母とともにテントを制作した日記と、パートナーの母とともにタープを制作した日記。 長年縛られ、苦しんできた母との関係に変化を生み出すために始めたテントの共同制作。母と初めて向き合い、制作過程の出来事や思いの変化を綴った。テントの制作で長島が目指したことは、家族という美しい物語を紡ぐことではない。その逆だ。長島はカメラのシャッターを切るように、母親を冷徹なまなざしで見つめる。さまざまな記憶が呼び起こされ、過去に「わたし」が摂食障害を患い、心療内科を受診していたことと母との関連も見えてくる。 母との関係にもがいてきた「わたし」も今は「母」になり、過去の母親の言動を思い返すとき、唯一の話し相手だった祖母を亡くしてから、心を病んだ母の姿が浮かび上がる。その母を受け止められなかった父、自分を責めることをやめない母、その矛先が娘に向いたときに耐えるしかなかったこと……。 家という閉ざされた空間は、その機能を逆転させ、そこで傷つく人や深刻な問題を隠す危険な場所にもなる。本書で明らかになるのは、完成したテントからは見えない、一見普通の家族の、いびつさであり、破れであり、社会の構造的な軋轢から逃れられず、葛藤しながら生きる女たちの物語である。そこに、お互いを理解しあおうとする愛があるからこそ、伝わるものがある。 「『縫うこと、着ること、語ること。』日記」は、長島が神戸に住むパートナーの母とタープを制作した日記である。「婚姻関係だけが家族の枠組みを規定するのはおかしい。状況を男にコントロールされることへの抵抗でもあった」と長島は綴る。二つの制作過程の濃密な時間を体験した読者は、家族について改めてとらえ直すことになるだろう。 【著者紹介】 長島有里枝(ながしま・ゆりえ) 1973年、東京都生まれ。93年、アート公募展「アーバナート#2」でパルコ賞を受賞し、デビュー。95年、武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業。99年、カリフォルニア芸術大学MFA写真専攻修了。2001年、写真集『PASTIME PARADISE』(マドラ出版)で木村伊兵衛写真賞受賞。10年、短篇集『背中の記憶』(講談社)で三島由紀夫賞候補、講談社エッセイ賞受賞。15年、武蔵大学人文科学研究科社会学専攻博士前期課程修了。20年、写真の町東川賞国内作家賞受賞。22年、『「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ』(大福書林)で日本写真協会学芸賞受賞。主な個展に「そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」(東京都写真美術館、2017年)、近著に『Self-Portraits』(Dashwood Books)などがある。
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パンデミックとアート 2020-2023|椹木野衣
¥2,530
SOLD OUT
発行 左右社 定価 2,530 円(税込) 刊行日 2024年05月15日 判型/ページ数 四六判 並製 280ページ ISBN 978-4-86528-397-6 Cコード C0070 装幀/松田行正+杉本聖士 世界を一変させ、あれほどわたしたちを不安と恐怖、混乱に陥れたコロナ・パンデミック。 刻々と伝えられる感染拡大情報、政府や自治体から次々と発されるアラートや指針に右往左往した日々。 マスクをめぐる混乱、無観客で開催されたオリンピック、繰り返す感染拡大の波──。 20世紀初頭に起きた人類史上桁違いの災厄「スペイン風邪」を忘却していたことに思いを馳せ、 不可逆的に変容してゆく「日常」を見つめつつ書き継がれた美術批評家椹木野衣によるコロナ週報。 コロナ・パンデミックの恐慌が世界を襲った2020年3月から4年に渡る連載時評を書籍化。 「忘却」に抗い、遠からずまた訪れる「反復」に備えるために──。 このこと[=スペイン風邪のパンデミックがほとんど論じられてこなかったこと]は、西欧の文明がとりわけ近代以降、過去を踏まえた礎のうえに築かれ今日に至るという通念に、なにがしかの疑念をもたらす。わずか100年たらずの過去に起きたこれほどの出来事の記憶が、人類的な規模で集合的に失われていたのだとしたら、わたしたちはいったいなにを手掛かりに未来を切り開いていけばよいのだろう。新型コロナウイルスによる瞬く間のパンデミックは、途切れていたその記憶をふいに揺り戻した。もしかしたらわたしたちは、文明の進歩そのものを根幹から見直す必要があるのかもしれない。 ──欧米も「悪い場所」かもしれない 2020年5月8日、より
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声の地層 災禍と痛みを語ること|瀬尾夏美
¥2,310
発行 生きのびるブックス 2023年10月刊行 四六判並製 2888頁 定価(本体2,100円+税 ISBN978-4-910790-13-8 C0095 伝える人と耳を澄ます人をつなぐ、語り継ぎの文学 震災、パンデミック、戦争、自然災害…。多くを失い身一つになっても、集えば人は語りだす。痛みの記憶を語る人と聞く人の間に生まれた「無名の私たち」の記録。絵画多数掲載。 武田砂鉄さん、和合亮一さん、絶賛!
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メディアエコロジー 端末市民のゆくえ|桂英史
¥3,520
発行 左右社 定価 3,520 円(税込) 刊行日 2024年01月01日 判型/ページ数 四六判変形 並製 384ページ ISBN 978-4-86528-393-8 Cコード C0070 川名潤/装幀、OJIYU/装画 メディアをめぐる生態学、それこそがいま必要だ。 「便利」「簡単」が行き着いた成れの果ての現代社会、 デジタル技術のもたらす資本主義の規模と速度に、もはや人間の知覚は追いつかず、 世界は途方に暮れている──。 SNSと広告モデルが極限まで発展し、行動も欲望も表現さえも支配された日常は変えられるのか? 根源的に問い直すべきは「知る/伝える」のあり方、すなわちメディアの生態学(エコロジー)である。 F・ガタリのポスト・メディアの構想を基盤に、「端末市民」たちの現在と未来を論じる入魂の論考8篇! 「メディアのエコロジーを、技術の面から、そしてコスモポリタニズムとしての端末市民という側面から、あるいはテクノロジーを駆使して表現し続けること、そして人間と自然、人間と社会、人間と芸術を思考し続けること。そのメディア論的思考が「ポストメディアの条件」にほかならない。」(いささか長い序論より)
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パンクの系譜学|川上幸之介
¥2,860
SOLD OUT
発行 書肆侃侃房 四六判、上製、384ページ 定価:本体2,600円+税 ISBN978-4-86385-610-3 C0070 装幀 宇平剛史 パンクとは常に問い、それについて行動を起こすことだ━━。音楽だけでなく、アート、思想、運動の側面からも「パンク」の根源に迫る画期的著作。 労働者階級の若者による現状への怒りからイギリスで生まれたとされるパンク。その叫びのルーツには、アナキズムやコミュニズムといった思想、そしてダダから脈打つ前衛芸術史も刻まれていた。 奴隷制からポピュラー音楽の誕生、その後のフォーク、スキッフル、ガレージ、パンクへの道のりに、シチュアシオニト・インターナショナル、キング・モブといった運動が交差し、セックス・ピストルズ以降に現れたOi!、クラス、ポジティブ・フォース、ライオット・ガール、クィアコア、アフロパンク、アジアのパンクシーン、そして橋の下世界音楽祭へとつながっていく。 パンクの抵抗の系譜を辿りつつ、正史の陰に隠れた歴史に光をあてる画期的著作。Punk!展、ゲリラ・ガールズ展ほか、話題の展示のキュレーションを行う研究者による初単著。松村圭一郎さん、毛利嘉孝さん推薦! 「支配と抑圧という概念が存続する限り、「パンクス・ノット・デッド」は常に例証され続けるだろう」 (「おわりに」より) 【目次】 はじめに 第1部 パンクの思想とその文脈 第1章 アートスクール 第2章 共産主義(コミュニズム) 第3章 アナキズム 第2部 パンクの音楽における系譜 第4章 アフリカ系アメリカ人の歴史 第5章 フォーク 第6章 スキッフル 第7章 ガレージ 第8章 パンク 第3部 パンクのアートにおける系譜 第9章 DADA(ダダ) 第10章 レトリスム 第11章 シチュアシオニスト・インターナショナル 第12章 キング・モブ 第4部 セックス・ピストルズ以降 第13章 Oi! 第14章 アナーコ・パンク 第15章 ハードコア・パンク 第16章 ライオット・ガール 第17章 パンクと人種 第18章 パンクとクィア 第5部 アジアのパンクシーン 第19章 インドネシアのパンクシーン 第20章 ミャンマーのパンクシーン 第21章 日本のパンクシーン おわりに 【著者プロフィール】 川上幸之介(かわかみ・こうのすけ) 1979年、山梨県生まれ。専門は現代美術/ポピュラー音楽。ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズMAファインアート修了。現在、倉敷芸術科学大学准教授。キュレーションに「Bedtime for Democracy」展、「Punk! The Revolution of Everyday Life」展、「ゲリラ・ガールズ展 『F』ワードの再解釈:フェミニズム!」など。
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韓国映画から見る、激動の韓国近現代史|崔盛旭
¥2,420
発行 書肆侃侃房 四六判、並製、368ページ 定価:本体2,200円+税 ISBN978-4-86385-624-0 C0074 デザイン 戸塚泰雄(nu) 植民地支配、南北分断と朝鮮戦争、長きにわたる軍事独裁、そして国民の手で勝ち取った民主化……。「3・1独立運動」「済州島4・3事件」「光州事件」「6月抗争」など激動そのものだった韓国の近現代史とそのなかで形作られてきた「儒教的家父長社会」。近年ますます存在感を高めている「韓国映画」を題材に、そこから透けて見える歴史や社会問題を解説。韓国という国のダイナミズムをより深く、より立体的に理解するための一冊である。 『パラサイト 半地下の家族』『タクシー運転手~約束は海を越えて~』『KCIA 南山の部長たち』『1987、ある闘いの真実』『ベイビー・ブローカー』『ミナリ』『はちどり』『息もできない』『キングメーカー 大統領を作った男』『高地戦』『金子文子と朴烈』『グエムル-漢江の怪物-』『焼肉ドラゴン』『私の少女』……韓国映画44本から激動の歴史を読み解く。 韓国映画はなぜ、悔恨と希望を同時に語るのか。 人間の奥底にひそむ心優しさに訴えかけるのか。 本書は現代の韓国映画を造り上げてきた、 人間の強さをめぐるエッセイである。 浅い水の戯れは愉しく美しい。 深い淵を覗きこむ者は、隠された物語を知る。 歴史という名の知恵のことだ。 ――四方田犬彦(映画誌・比較文学研究家) 【目次】 はじめに 凡例 第1章 韓国と日本・アメリカ・北朝鮮 韓国と日本 ❶『ロスト・メモリーズ』歴史「改変」映画は新たな解釈の可能性を提示できるか ❷『密偵』英雄か、逆賊か 歴史の曖昧さゆえに成し得た物語 ❸『金子文子と朴烈』〝反日〟映画が再発見した、ある日本人女性の強烈な生 ❹『マルモイ ことばあつめ』言葉が奪われた時代に、言葉を守り抜いた人々 ❺『哭声/コクソン』韓国社会における、よそ者/日常としての日本 韓国とアメリカ・北朝鮮 ❻『スウィング・キッズ』戦争とミュージカルのコントラストが叫ぶ「イデオロギーなんてくそったれ!」 ❼『高地戦』人間に優先されるイデオロギーはない 無意味な攻防戦に散った若い命 ➑ 『グエムル-漢江の怪物-』少女はなぜ死ななければならなかったのか? 〝反米〟に透けて見える映画の真のメッセージ ❾ 『白頭山大噴火』殺し合う南北/抱きしめ合う南北、映画に見る南北関係の変遷 ❿ 『レッド・ファミリー』北朝鮮スパイの歴史と映画が描く韓国の欲望 コリアン・ディアスポラ ⓫ 『チスル』韓国現代史最大のタブー「済州島4・3事件」への鎮魂歌 ⓬『焼肉ドラゴン』彼らが日本(ここ)にいる理由 家族史に見る「在日」の終わらないディアスポラ ⓭『ミナリ』アメリカは「夢」か「逃避」か? さまよう韓国人たち ⓮『ミッドナイト・ランナー』民族の再会から他者の排除へ 韓国映画は朝鮮族をどう描いたか コラム監督論①チャン・リュル あらゆる境界を越えて東アジアを周遊する 第2章 軍事独裁から見る韓国現代史 朴正煕政権 ⓯『国際市場で逢いましょう』それでも「あの時代は良かった」? 独裁時代と父親たちに贈るノスタルジア ⓰『7番房の奇跡』法は公正なのか? 独裁時代の暗黒司法史と死刑執行停止のいま ⓱『KCIA 南山の部長たち』正義心か、ジェラシーか 独裁者を撃ち抜く弾丸が意味するもの 全斗煥政権 ⓲『タクシー運転手~約束は海を越えて~』韓国現代史上最悪の虐殺「光州事件」の真相に挑んだ劇映画 ⓳ 『弁護人』 仕立てられた「アカ」のために闘った人権弁護士 盧武鉉大統領前史 ⓴ 『1987、ある闘いの真実』二人の大学生の死が導いた独裁の終焉と民主化への一歩 コラム監督論②イ・チャンドン 作品に見る光州事件と1980年代韓国現代史 第3章 韓国を分断するものたち 格差 ㉑『パラサイト 半地下の家族』韓国社会の格差を浮き彫りにする三つのキーワードから見えてくるもの ㉒ 『国家が破産する日』政経癒着の帰結としての「IMF通貨危機」、それがもたらした分断社会 ㉓『バーニング 劇場版』「村上春樹ブーム」と「喪失」の90年代韓国を、現代の若者像に翻訳する 儒教的男性社会 ㉔『はちどり』 少女の眼差しが晒す韓国儒教社会と暴力の連鎖 ㉕『82年生まれ、キム・ジヨン』 抑圧に押し潰された女性たちが、自らの声を取り戻すまで ㉖ 『息もできない』底辺に生きる男が「悪口」の果てに求めた「家族のメロドラマ」 ㉗『お嬢さん』男もヒエラルキーも乗り越えて 《帝国》と《植民地》の女性、勝利の連帯へ ㉘『ハハハ』〝あるべき男性像〟を笑い飛ばしてくれる、大いなる人間賛歌 マイノリティ ㉙ 『ファイター、北からの挑戦者』現在進行形のディアスポラ「脱北者」の少女が拳で立ち向かう韓国 ㉚『バッカス・レディ』歴史の影に取り残された女性による、男性への復讐譚 ㉛ 『私の少女』儒教・異性愛・ホモソーシャルな韓国社会にLGBTQの未来はあるか ㉜『トガニ 幼き瞳の告発』国民の怒りを呼び起こし、社会を変えた一本の映画 コラム監督論③女性監督の系譜 映画『オマージュ』が復元する女性(映画)史 第4章 韓国の〝今〟を考える 政治とメディア ㉝『キングメーカー 大統領を作った男』選挙の負のレガシーを作った男たち 「カルラチギ」の起源をたどる ㉞ 『アシュラ』大統領選を前に《逆走行》した一本の映画から、政経癒着の歴史を紐解く ㉟ 『共犯者たち』権力とメディアの関係性を皮肉に暴くドキュメンタリー 社会問題 ㊱『冬の小鳥』踏みにじられた人権 韓国養子縁組問題の背景を探る ㊲『ベイビー・ブローカー』韓国で映画を撮った日本人監督たち 浮かび上がる韓国 ㊳『殺人の追憶』連続殺人と軍事独裁という絶妙なメタファー ㊴『サムジンカンパニー1995』「英語」を武器に下剋上を目論む高卒女性たちの反乱 ㊵『整形水』「美」は誰の欲望か? 外見至上主義と整形大国の関係性 ㊶『明日へ』勝ち取る喜びをもとめて デモ大国・韓国における闘うことの意味 ㊷ 『サバハ』新興宗教が乱立する韓国社会 エセにすがる人々の宗教的心性 ㊸『君の誕生日』セウォル号事件 遺族の悲しみに「寄り添う」ということ ㊹ 『D.P.-脱走兵追跡官-』韓国兵役物語 若者たちの絶望と軍隊をめぐる諸問題 コラム監督論④キム・ギヨン 〝怪物〟監督の全盛期に見る韓国社会の深層 おわりに 韓国近現代史年表 韓国歴代大統領詳細 索引 i 初出一覧 ii 主な参考文献・検索サイト v 【著者プロフィール】 崔盛旭(チェ・ソンウク) 1969年韓国生まれ。映画研究者。明治学院大学大学院で芸術学(映画専攻)博士号取得。明治学院大学、東京工業大学、名古屋大学、武蔵大学、フェリス女学院大学で非常勤講師として、韓国を含む東アジア映画、韓国近現代史、韓国語などを教えている。著書に『今井正 戦時と戦後のあいだ』(クレイン)、共著に『韓国映画で学ぶ韓国社会と歴史』(キネマ旬報社)、『日本映画は生きている 第4巻 スクリーンのなかの他者』(岩波書店)、『韓国女性映画 わたしたちの物語』(河出書房新社)など。日韓の映画を中心に映画の魅力を、文化や社会的背景を交えながら伝える仕事に取り組んでいる。
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九月はもっとも残酷な月|森達也
¥1,980
発行 ミツイパブリッシング 判型: 四六判 価格: 1,800円+税 ISBN: 978-4-907364-36-6 発売予定日: 2024年8月26日 映画「福田村事件」監督の最新時評集。関東大震災後に起きた朝鮮人虐殺を見つめ、ウクライナやガザに煩悶する。「〈僕〉や〈私〉の一人称が、〈我々〉〈国家〉などの大きな主語に置き換わるとき、人や優しいままで限りなく残虐になれる」と著者は言う。映画公開前後の日々から独自の映像創作論、初めて福田村事件をとりあげた伝説のエッセー「ただこの事実を直視しよう」も収録。その他、入管法やイスラエル・パレスチナ問題、東アジア反日武装戦線など、時事ニュースの奥に潜む社会の核心に食らいつく。 著者プロフィール 森 達也 (モリ タツヤ) (著/文) 1956年広島県生まれ。映画監督・作家。98年、ドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』で山形国際ドキュメンタリー映画祭特別賞・市民賞。2023年、劇映画『福田村事件』で釜山国際映画祭ニューカレンツ賞を受賞。著書に『放送禁止歌』『死刑』『A3』(講談社ノンフィクション賞)、『いのちの食べかた』『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』『ぼくらの時代の罪と罰』『千代田区一番一号のラビリンス』『虐殺のスイッチ』他多数。
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共感と距離感の練習|小沼理
¥1,760
SOLD OUT
発行 柏書房 定価 1,760円(本体 1,600円) 刊行 2024/05/23 ISBN 9784760155644 判型 四六判 ページ数 208 「わかるかも」が口癖のあなたへ。 初めて物語の中に私に似た人を見つけた日のこと、東京とソウルで参加したプライドパレードのこと、日本の同性婚訴訟やパートナーシップ制度のこと、同じ時代を生きている/生きていたクィアのこと―― 誰かの痛みや怒りや悲しみが、まるで自分のことのように思えることがある。乳化した水と油のように混ざり合ってしまう。だけどあなたはあなたでしかなく、私は私でしかない。他者同士である私たちが、重なったりずれたりしながらともにあるための、「共感」と「距離感」。その可能性と難しさについて。 「わかる」なんて簡単に言えない、「わからない」とも言いたくない。ゲイとして、シスジェンダーの男性として、著者が日常の中で直面したエピソードを描きます。 “共感も距離感もうまく使いこなせない。だからこそこだわってしまうのだろう。なんとか組み合わせて、練習しながら上手になっていきたい。混ざり合った世界と分離した世界を同時に生きるように。言葉にならないものと言葉を重ねて一つにするように。” ――「はじめに」より 自分と他者、規範と逸脱、個人的なことと社会的なこと……様々なものごとのあわいにとどまり、揺れながら考えるエッセイ集。 【著者略歴】 小沼理〈おぬま・おさむ〉 1992年、富山県出身、東京都在住のライター・編集者。著書に『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』(タバブックス)。本書がはじめてのエッセイ集となる。
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他者といる技法 ─コミュニケーションの社会学|奥村隆
¥1,430
ちくま学芸文庫 1,430円(税込) Cコード:0130 刊行日: 2024/02/08 判型:文庫判 ページ数:336 ISBN:978-4-480-51222-2 JANコード:9784480512222 解説 三木那由他 わたしたちが日々意識せずにおこなう「他者といる技法」。そのすばらしさや正しさだけでなく、苦しみや悪も含めて、できるかぎり透明に描くにはどうしたらよいか―。思いやりとかげぐち、親と子のコミュニケーション、「外国人」の語られ方、マナーを守ることといった様々な技法から浮かび上がるのは、“承認と葛藤の体系としての社会”と“私”との間の、複雑な相互関係だ。ときに危険で不気味な存在にもなる他者とともにいる、そうした社会と私自身を問いつづけるための、数々の道具を提供する書。 目次 序章 問いを始める地点への問い―ふたつの「社会学」 第1章 思いやりとかげぐちの体系としての社会―存在証明の形式社会学 第2章 「私」を破壊する「私」―R・D・レインをめぐる補論 第3章 外国人は「どのような人」なのか―異質性に対処する技法 第4章 リスペクタビリティの病―中間階級・きちんとすること・他者 第5章 非難の語彙、あるいは市民社会の境界―自己啓発セミナーにかんする雑誌記事の分析 第6章 理解の過少・理解の過剰―他者といる技法のために 著者について 奥村 隆(おくむら・たかし):1961年徳島県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。東京大学文学部助手、千葉大学文学部講師・助教授、立教大学社会学部教授を経て、関西学院大学社会学部教授。著書に『社会学の歴史』1・2(有斐閣)、『慈悲のポリティクス』(岩波書店)、『反コミュニケーション』(弘文堂)、『エリアス・暴力への問い』(勁草書房)など、編著に『戦後日本の社会意識論』(有斐閣)などがある。
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恋愛の哲学|戸谷洋志
¥1,760
SOLD OUT
発行 晶文社 四六判並製 236頁 定価:1,760円(本体1,600円) 978-4-7949-7411-2 C0095 〔2024年2月〕 狂うのが、愛。 憎むのが、恋。 哲学は「恋愛」を語ることから始まった。 クズへの愛はなぜ成立するのか? なぜ私は愛されたいのか? 永遠の愛はどこまで続くのか? ――すべて哲学が答えます。 現代に流れる「ロマンティック・ラブ」の幻想を解体する驚愕の哲学入門!!! 紹介するのは、プラトン、デカルト、ヘーゲル、キルケゴール、サルトル、ボーヴォワール、レヴィナスの七人。彼らはそれぞれが違った仕方で人間と世界の関係を捉え、その人間観の中で恋愛(哲学)を論じている。恋愛とは何かを考えることは、そもそも人間とは何かを問い直すことを要求する。本書ではそれらを全体として再構成することで<恋愛>を広い視野の元で捉え直していく。 【目次】 はじめに 第1章 なぜ誰かを愛するのか?――プラトン 第2章 なぜ恋愛に執着するのか?――デカルト 第3章 なぜ恋人に愛されたいのか?――ヘーゲル 第4章 永遠の愛とは何か?――キルケゴール 第5章 なぜ恋愛は挫折するのか?――サルトル 第6章 女性にとって恋愛とは何か?――ボーヴォワール 第7章 なぜ恋人と分かり合えないのか?――レヴィナス おわりに ◇戸谷洋志(とや・ひろし) 1988 年東京都生まれ。関西外国語大学英語国際学部准教授。法政大学文学部哲学科卒業後、大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。ドイツ現代思想研究に起点を置いて、社会におけるテクノロジーをめぐる倫理のあり方を探求する傍ら、「哲学カフェ」の実践などを通じて、社会に開かれた対話の場を提案している。著書に『ハンス・ヨナスの哲学』(角川ソフィア文庫)、『ハンス・ヨナス 未来への責任』(慶應義塾大学出版会)、『原子力の哲学』『未来倫理』(集英社新書)、『スマートな悪 技術と暴力について』(講談社)、『友情を哲学する 七人の哲学者たちの友情観』(光文社新書)、『SNSの哲学リアルとオンラインのあいだ』(創元社)、『親ガチャの哲学』(新潮新書)など。2015年「原子力をめぐる哲学――ドイツ現代思想を中心に」で第31回暁烏敏賞受賞。
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忘れられない日本人 民話を語る人たち|小野和子
¥3,520
発行:PUMPQUAKES(パンプクエイクス) 編集:清水チナツ 櫻井 拓 表紙・装画:菊池聡太朗 造本設計・デザイン:大西正一 印刷:株式会社ライブアートブックス プリンティングディレクション:川村佳之 清水チアキ 本体 3,200円+税 324頁/A5変形判 ISBN:978-4-9911310-1-1 C0095 東北の海辺の町や山の村で、民話を聞き訪ねて50年が経つ。 「訪う」「訪なわれる」ということは、本来、どこかで互いの殻を破ろうとする行為であったに違いない。そして、破った殻を脱ぎ捨てたときに、その前よりは「幸福」になった世界へと、お互いの身が高まったのではないだろうか ―― 小野和子 第1章 佐藤とよいさん「戸数十四戸の山奥の村に生きる」 第2章 小松仁三郎さん「おらは義務教育には参加しません」 第3章 楳原村男さん「ガダルカナルへ行かず憲兵学校へまわされて」 第4章 佐藤玲子さん「最愛の夫を失って蘇った民話の語り」 第5章 佐々木健さん「神子職を奪われた祖母が語った民話の数々」 第6章 佐々木トモさん「友はみな貸されて(売られて)いった村に生きて」 第7章 伊藤正子さん「母の語りに育まれて」 第8章 永浦誠喜さん「生涯を農民として生き抜く」 最終話にかえて 「商人の妻」 小野和子(おの・かずこ)民話採訪者 1934年岐阜県生まれ、宮城県在住。 1969年から宮城県を中心に東北のむら村へ民話を求めて訪ね歩く民話採訪をひとりで始める。 1975年にみやぎ民話の会を設立。主な著書『あいたくて ききたくて 旅にでる』。濱口竜介・酒井耕監督作品映画『うたうひと』(2013年)、NHK Eテレ「こころの時代」(2022年)等にも出演。
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その日暮らし|坂口恭平
¥1,760
SOLD OUT
発行 palmbooks 四六判 縦188mm 横128mm 厚さ12mm 144ページ 定価 1,600円+税 ISBN978-4-910976-03-7 CコードC0095 初版年月日2024年8月1日 ずっと向き合えずにいた寂しさの正体がわかったことで、 僕ははじめて、自分を信頼できるようになった。 コロナ禍にはじめた畑。熊本の土地とたいせつなひとたちとの出会い。うれしさも苦しさも分かち合える家族との昼夜をへて、僕は自分のなかにいた、もうひとりの大事にすべき存在と出会った。日々を綴るエッセイの先に待つ、あらたな境地へといたる生の軌跡。 目次 畑をはじめて/四年目の畑/安全地帯/ふたりとの出会い/無償で助け合う/外の世界に夢中/鬱は大事な休息/先祖めぐり その一/先祖めぐり その二/先祖めぐり その三/生きるための絵/背中を押された娘の言葉/自分を褒める習慣/ゲンの背中を掻く毎日/アオにマッサージをする夜/不知火忌/その人の「町」/泉との出会い その一/泉との出会い その二/わらしべ長者/ゲンと虫歯/両親と小旅行/助けた亀は戻ってくる/建てない建築家/ゲンの良いところ/人生に無駄なし/プライベートパブリック/声を拾い集める/師匠の見つけ方/新しい病院の設計/海から呼ばれている/親友の優しさ/アオのアドバイス/やるだけやって怒られる/絶対に大丈夫/子どもが一番の薬/伯母が歩いた/イスタンブールは実家/自殺者をなくす方法 その一/自殺者をなくす方法 その二/ピザ修業でナポリへ/学校に行かない君へ/創作すること/鬱になる/脆弱だからこそ持続する/興味はないのか?/思いつきノート/手に預ける/助けてくれるみなさんへ/寂しさが笑顔に変わる あとがき 著者プロフィール 坂口恭平 (サカグチキョウヘイ) (著/文) 1978年熊本県まれ。2001年早稲田大学理工学部建築学科卒業。作家、画家、音楽家、建築家など多彩な活動を行なう。2004年に路上生活者の家を収めた写真集『0円ハウス』を刊行。主な著書に『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』『独立国家のつくりかた』『幻年時代』『徘徊タクシー』『まとまらない人』『苦しい時は電話して』『躁鬱大学』『土になる』道草晴子の漫画による『生き延びるための事務』など。パステル画をはじめ絵画作品を多数発表しており、2023年2月に熊本市現代美術館にて個展「坂口恭平日記」を開催。本作の装画も著者の水彩画作品となる。
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世界の適切な保存|永井玲衣
¥1,870
発行 講談社 発売日 2024年07月25日 定価:1,870円(本体1,700円) ISBN 978-4-06-536172-6 判型 四六 ページ数 288ページ 初出 本書は、「群像」2022年4月号に掲載された「はらう」、「群像」2022年5月号~2023年12月号、2024年3月号~6月号にて連載された「世界の適切な保存」をまとめたものです。 ロングセラー『水中の哲学者たち』で話題沸騰! 対話する哲学者・永井玲衣、待望の最新刊! 見ることは、わたしを当事者にする。 共に生きるひとにする。 世界をもっと「よく」見ること。その中に入り込んで、てのひらいっぱいに受け取ること。 この世界と向き合うための哲学エッセイ。 わたしはどうやら、時間が流れていくにしたがって、 何かが消えるとか、失われるとか、忘れられるということがおそろしいらしい。 ここに書かれたもの。その何倍もある、書かれなかったもの。 でも決してなくならないもの――。 生の断片、世界の欠片は、きかれることを待っている。じっとして、掘り出されることを待っている。 著:永井玲衣(ナガイ レイ) 人びとと考えあう場である哲学対話を幅広く行っている。せんそうについて表現を通し対話する、写真家・八木咲との「せんそうってプロジェクト」、後藤正文らを中心とするムーブメント「D2021」などでも活動。著書に『水中の哲学者たち』(晶文社)。第17回「わたくし、つまりNobody賞」を受賞。詩と植物園と念入りな散歩が好き。