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ブンバップ|川村有史
¥1,980
発行 書肆侃侃房 四六判、並製、168ページ 定価:本体1,800円+税 ISBN978-4-86385-619-6 C0092 装丁 森敬太 装画 嘉江 栞 永井祐 山田航 伊舎堂仁 みんなして写真のなかで吸う紙のたばこ 爆発前のSupreme 第3回笹井宏之賞永井祐賞受賞! これ、新感覚です。友達の日記を覗き見してるようでクセになります。 ━━━SUSHIBOYS(ラッパー) 短歌で生きた音を響かせるには、文体を一から自分でつかみ直すしかない。そう感じさせる一冊である。 ━━━永井祐(歌人) 【収録歌より】 業務用コーンフレーク買って食べ切れなかったの良かったなって ファイナンスのテーマソングを子どもたちが歌ってる bpmがすこし高い 汚れたしそろそろで洗うコンバース六月はすぐ乾くから夏 肉まんが去年より小ぶりになってる…答えてくれる人たちにtel 清原が薬をやめ続けることを励みに今朝をする人がいる 【栞文より】 「川村有史の作品がすごいのは、「ヒップホップ的なもの・ことを詠む」という地点を超えて、歌のあり方自体が「ヒップホップ的である」地点の実践があることである」(永井祐) 「不安定で崩れそうなバランスをなんとか保とうと必死で足搔く様が、語り手の姿としても、文体実験としても現れている。そこがこの歌集の魅力となっている」(山田航) 「僕が川村さんの短歌からもらえる嬉しさは、他者や時間、つまり世界に対して、気前よく心を開いていた川村さんがあるとき世界側からもらえたもののおすそわけなんだと思う」(伊舎堂仁) 【栞】 永井祐「僕のバイブスになっていく」 山田航「配られたカードで」 伊舎堂仁「【にせんにじゅう/にせんにじゅうに/にせんにじゅう/ご にせんにじゅうご/にせんにじゅうご】と読むと「ご」のあと首を振れて楽しい」 【著者プロフィール】 川村有史(かわむら・ゆうし) 1989年青森県青森市生まれ。群馬県在住。2012年頃より作歌をはじめる。2015年頃まで歌誌「かばん」に所属。2020年、「退屈とバイブス」で第3回笹井宏之賞永井祐賞受賞。2022年、第10回現代短歌社賞佳作。
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●サイン本 くるぶし|町田康
¥2,860
発行 COTOGOTOBOOKS 発売日:2024年3月7日 / 単行本:192ページ ──諦めろおまえは神の残置物祈りとしての恥を楽しめ 著者初の短歌集にして、全首書き下ろしとなる本作は、町田さんがとらえた世界を聖賤一体となった言葉で味わえる一冊。 戀人を山に埋めて音樂は四日前から村に漂ふ 花活けて横に巻き寿司現代詩捨ててしまつた夢の置き床 突き指が趣味だと言うたあのひともいまは入間でゴミを食べてる 気い狂てアキレス腱をわがで切り這うて行こかな君の近傍 阿呆ン陀羅しばきあげんど歌詠むなおどれは家でうどん食うとけ 迷惑か? 俺は男だマンナくれ夏場体調崩すかもです 352首の調べとスピードに必死でしがみつきながら読んだ後に残るのは、これまでとは少し、しかし確実に違って見える世界と自分自身。笑いにひっぱられて油断していると、とんでもないところに引きずり込まれてしまいます。 町田さんの言葉を受け、本をデザインしてくださったのはサトウサンカイ・佐藤亜沙美さん。 うねりのなかから浮き上がり、いまにも暴れ狂いだしそうな言葉たちをねじ伏せる大迫力のタイトル。 それらを箔のみで表現し、さらには、三方を小口染めすることで、モノとしての強度を高め、ただそこに置かれているだけで異様な狂気を放つ一冊に仕上げてくださいました。
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●サイン本 あかるい花束|岡本真帆
¥1,870
発行 ナナロク社 装丁・画:鈴木千佳子 仕様:B6変形 上製 176頁 収録歌:265首 価格:1,870円(税込) 刊行:2024年3月下旬 ISBN:978-4-86732-027-3 8刷累計2万部を突破した『水上バス浅草行き』から2年、 待望の第2歌集を刊行いたします。 2拠点生活の中で詠まれた歌265首と、 装丁の鈴木千佳子さんによる花の絵を束ねました。 ---------- 歌集を出したあと、私は東京と高知での生活をはじめた。 二つの場所を行き来する中で、考えたことや思い出したことが、短歌になりました。 岡本真帆 ---------- 【収録歌より7首】 わたしもう、夏の合図を待っている 冬至の長い夜からずっと ただしくよりたのしく歩く 光ってる水が見たくて すこし小走り 本当に正しかったかわからない決断たちよ おいで、雪解け 乱丁のある文庫本抱きしめる 愛すよたったひとつの傷を あなたと過ごした日々は小さな旅だった 空っぽの花器の美しいこと スパイスは火花に似てるわたしからわたしへ送る強い喝采 しゅくふくとはじける泡が光ってる 祝福 きみにはじめましてを
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たとえそれが最後だったとしても|垂井真
¥1,760
リトルプレス 文 垂井 真 表紙 ドル 萌々子・五十嵐 花 製本 株式会社inunniq ちょっとした外出と思って喫茶店に行き、 ちょっとした散歩と思って駅まで歩いたら、 電車にのって、乗り換えをして、映画をみてた土曜。 2021年にnoteで連載していた日記から掬い上げた言葉たちをまとめた「言葉の写真集」です。 全てのページが開きやすい糸綴じという製法を用いており、見開いてぼんやりと眺め、むしろ「書かれていないもの」について思いを巡らせやすくなっております。 また、敢えてクリーム色の表紙を採用しており、まるで上履きのように「薄よごれて」いく仕様になっております。 是非”ぞんざいに”ポケットやリュックに入れていただき、重なる日々の生む本の変化をお楽しみください。
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沼の夢|工藤吉生
¥1,980
発行 左右社 定価 1,980 円(税込) 刊行日 2024年01月31日 判型/ページ数 四六判変形 並製 184ページ ISBN 978-4-86528-404-1 Cコード C0092 装幀・装画 新山祐介/装画、鈴木成一デザイン室/ブックデザイン この歌集には、奇跡の時間が乱暴に折り畳まれている。ゲキツウ。 ――渡辺祐真/スケザネ(書評家) 第一歌集『世界で一番すばらしい俺』で衝撃的なデビューを果たした著者、待望の第二歌集。唯一無二のユーモアをたずさえて、過去と現在、そして夢の中の「オレ」をめぐる322首。 〈収録短歌より〉 十一月四日にリリー・フランキー、NOKKO、名倉潤、オレが生まれた 捨て場所を探して歩くビニールのゴミを握ればオレの温度だ ウインカーつけて曲がってゆく車 しずかな夜を眠れずにいる 子供にはちょうど良さげな枝だなあ 構えてもよしつついてもグー あたたかくなってくるのはありがたい母がなにかをゴシゴシしてる なぜならば面倒くさいことを避けラクをしようとしてたからです 工藤にも生きる権利があるという噓みたいだがほんとの話 カーテンに隙間があって景色には足りず表情にはまだ遠い 引き抜いた白髪まとめて捨てるとき羽根を捨ててるみたいだったな スーツ着たままデタラメに歩いたらオレしかいない草原に雲 著者プロフィール 工藤吉生 (クドウ・ヨシオ) 一九七九年十一月四日、千葉県生まれ。二〇一一年『ドラえもん短歌』(小学館)で短歌に興味を持ち、インターネットを中心に短歌を発表し始める。二〇一八年「この人を追う」(三〇首)が第六一回短歌研究新人賞受賞。二〇二〇年『世界で一番すばらしい俺』を短歌研究社より刊行。のちに短編映画化(主演・剛力彩芽、監督・山森正志)。
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ことば -僕自身の訓練のためのノート-|山口一郎
¥2,420
SOLD OUT
発行 青土社 定価2,420円(本体2,200円) 発売日2023年3月31日 ISBN978-4-7917-7381-7 サカナクションのメジャーデビュー前、自分自身のための訓練として書き綴られた詩のような短い言葉の断片たち。 「山口さんは言葉の波止場なのだと思う。やって来る言葉を受け止め、去っていく言葉を見送る。読み終えたあなたの中にはもう一冊の新しい本があり、あなた自身に読まれるのを待っていることに気づくでしょう。」——友部正人 [目次] 1 夜 2 自然 3 アンチテーゼ 4 惜春 5 あの子 6 音楽 [著者]山口一郎(やまぐち・いちろう) 1980年生まれ。北海道小樽市出身。2005年にサカナクション結成。2007年にアルバム「GO TO THE FUTURE」でメジャーデビュー。ほとんど全ての楽曲の作詞作曲を手がける。つねに時代の先端を歩む姿勢で、さまざまなシーンに大きな影響を与え続けている。
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渡り鳥|岩谷香穂
¥2,750
発行 さりげなく 本体価格:2,500円+税 サイズ:文庫本 ページ数:366頁 表紙:上製本+箔押 閏年のみ販売される『渡り鳥』が今年も帰ってきました。 見えないものと見えるものをテーマに書かれた文章が8頁、その他の358頁は白紙です。 布貼りの上製本、空押しの箔を施し、小さいながらも存在感のある一冊です。 上製本に空押しでタイトルと渡り鳥のような線画を。 線画は著者の岩谷さんの作品です。 2文章の8頁と白紙の366頁は用紙が異なります。 白紙頁は心地よく絵や日記などを書いてもらえるよう、薄いスケッチブックのような質感です。 著者 Iwaya Kaho ポートランドのタトゥー文化に影響を受け、2015年、タトゥーシールブランド「opnner(オプナー)」を立ち上げる。 「タトゥーというのは体が変わろうと人生を共存できる最高の励ましであって 永遠のジュエリーです」というコンセプトのもと、オリジナルのタトゥーシールを制作・販売。 さまざまな分野でのコラボレーションや作品作りを行っている。 Instagram:@poxn
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朝、空が見えます|東直子
¥1,870
発行:ナナロク社 B6 上製 定価 1,700円+税 ISBN978-4-86732-024-2 初版年月日2024年1月1日 歌人・東直子さんの初めての「詩集」をナナロク社から刊行いたします。 1日1行、365日の朝の空を綴った詩に、横山雄さんの線画が彩る一冊です。 「東京の冬は晴れた日が多いんだな、と、東京に来たばかりのころ思って、それは何度も思って、そして今日も思いました。晴れています。」(本文より) 2017年1月1日から12月31日まで、Twitter(現在はX)に毎朝、「おはようございます」から始まる一文を投稿し、その日の空の様子を言葉で伝えていました。(中略)太陽をひとまわりしながら眺めた早朝の空です。 (あとがきより) 著者プロフィール 東 直子 (ヒガシ ナオコ) (著/文) 歌人、作家。第7回歌壇賞、第31回坪田譲治文学賞(『いとの森の家』)を受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説に『とりつくしま』『ひとっこひとり』、エッセイ集に『一緒に生きる』『レモン石鹼泡立てる』、歌書に『短歌の時間』『現代短歌版百人一首』、絵本に『わたしのマントはぼうしつき』(絵・町田尚子)などがある。「東京新聞」などの選歌欄担当。近刊にくどうれいんとの共著『水歌通信』がある。鳥好き。
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●サイン本 気がする朝|伊藤紺
¥1,870
SOLD OUT
発行 ナナロク社 装丁:脇田あすか 仕様:B6変形 並製 120頁 収録歌:102首 価格:1,870円(税込) ISBN:978-4-86732-025-9 C0092 『肌に流れる透明な気持ち』、『満ちる腕』(ともに短歌研究社刊)の伊藤紺さんの第3歌集。 【著者より】 12月、ナナロク社より 3冊目の歌集『気がする朝』を刊行します。 掲載歌は102首。 その半分以上がまだどこにも出ていないあたらしい歌です。 2023年はわたしにとって、 もっとも短歌と向き合う年になりました。 歌のひとつひとつに今までなかった発光を感じ、 これが、自分の光なんだと気付きました。 この本を書けたこと、一生誇りに思う。 わたしの最高傑作です。 伊藤 紺 【収録歌より7首】 夏が来る たまに忘れそうになる わたしがすごくやさしいことを 駅まではいつもぴったり8分であなたに会わなくなってから2年 この人じゃないけどべつにどの人でもないような気がしている朝だ さみしくはないけど一人暮らしのこんなにも小さな燃えるゴミ 海を見た日は胸に海が残ること ふつうに人を信じてること その曲が始まるとみんな喜ぶというよりすこし美しくなる 僕らいっせいに喜び合って生きものは愚かなほうがきれいと思う 【著者プロフィール】 伊藤紺(いとう・こん) 1993年生まれ。歌人。2019年『肌に流れる透明な気持ち』、20年『満ちる腕』を私家版で刊行する。22年両作を短歌研究社より新装版として同時刊行。23年脇田あすか、穂村弘、坂巻弓華との展示「ことばとえの4人」(OFS GALLERY)ほか、NEWoMan新宿ショッピングエリアでのコラボ特別展示「気づく」など。
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これより先には入れません|谷川俊太郎/木下龍也
¥1,650
リトルプレス 仕様:B6変型/並製/134頁 価格:1,650円(1,500円+税) 販売会社:ナナロク社 谷川俊太郎と木下龍也の書き下ろしの共著。 詩人ふたりが数行の短い詩を交互に書きつぎ、ひとつの作品をつくる詩の形式「対詩」。本書では、詩と短歌による延べ40回にわたるやりとりをおさめました。巻末では、木下さんによる「ひとり感想戦」を収録。その時々の感情まで知ることができます。 * * * 僕にとって『これより先には入れません』は一対一の戦いでした。どの場面にも技術+勘+運+奇跡が必要でした。圧倒的な才能+経験値を前にして何ができたのか、できなかったのか。ぜひ本書でご覧ください。(木下龍也) 【著者プロフィール】 谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう) 1931年東京生まれ。詩人。 木下龍也(きのした・たつや) 1988年山口生まれ。歌人。
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囁き記|石村まい/武田ひか
¥1,100
リトルプレス 短歌。日記。 160首を収録。 抄: 石村まい 冷やされた空気となまぬるい空気もみあっている自動改札 前世の贖罪として噤まれる嘴の白たたかわぬ白 武田ひか 前夜祭抜けてしまえば狂うまであかるい永遠の盆踊り 朝の光も夜の光も一対の硝子の奥の眼におとずれる
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●サイン本 水歌通信|くどうれいん+東直子
¥2,200
SOLD OUT
●サイン本 発行 左右社 定価 2,200 円(税込) 刊行日 2023年11月30日 判型/ページ数 四六判変形 上製 144ページ ISBN 978-4-86528-394-5 Cコード C0092 装幀・装画 植松しんこ/装画 北野亜弓(calamar)/装幀 ふたりの歌人がお互いの短歌をもとに紡いだ、新感覚の歌物語。 垂直のガラスを蛸があるいてる雨つよくふる都市のどこかに(東直子) 柳の葉は撫でることしかできなくて小川の街でだれを愛すの(くどうれいん) 結婚を打診されるも、かつての恋人の存在が心にひっかかり、素直に喜べないみつき。 同じ街を浮遊しながら思考する謎の存在・ミメイ。 ひとつの街にふたつの意識が浮かび上がり、淡く交信しながら進む物語。 【著者コメント】 東さんと日常を交信するようにはじめた短歌のやり取りは、次第にわたしの人生を離陸してまったく別の「みつき」の人生になりました。書き終えたいま、雨が降ると、わたしのところへもミメイが来ているような気配がします。(くどうれいん) くどうさんと言葉を空に放って心を分け合っていたら、遠くにいるのにすぐそばにいるような、近づくことのできないところを浮遊しているような、とけあうような心地になりました。えもいわれぬ体験でしたが、その世界の人たちと時々目が合ってドキドキしました。(東直子)
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●サイン本 夜を着こなせたなら|山階基
¥2,200
●サイン本 発行 短歌研究社 2023.11.10刊 四六判変型上製・カバーなし/152頁 ISBN 978-4-86272-750-3 装幀=名久井直子 @shiromame 装画=高山燦基 箔押し加工=有限会社コスモテック https://note.com/cosmotech/n/n5220b39b1c5d さりげない生活の風景、関係性の機微—— 新時代の空気感をあざやかに描き、幾度となく新人賞で注目を集めながら刊行された第一歌集『風にあたる』(2019)は〈短歌ブーム〉前夜の多くの読者の心をつかんだ。 生きて暮らすことの手ざわりと明暗をいっそう深く、ときに軽やかに刻む第二歌集。 384首を収録。 【歌集より】 いちどきりピアスは耳を突き抜ける別の星から呼ばれるように もう取っておいても仕方ないけれど総入れ替えの春の台割 頰に雨あたりはじめる風のなか生きているのに慣れるのはいつ 尾を垂らし虎はこころにあらわれるあれから痩せも太りもせずに くるぶしを波にまかせている夢の浜はあなたと来たことがない 【多方面のクリエイターから絶賛のコメント】 大切な殺気がここにあり、美しく尖ったものに 出会うことはそうそうないことを知ることとなる。――空気公団・山崎ゆかり 目を細め遊ばせて日常をみる眼差しに、 短歌の「歌」が少しわかった気になってます。――キセル・辻村豪文 現代のこころと暮らしを千年先まで伝承する歌集です。 山階さんの才気にむせました。今日は温かくして寝こみます。――古賀及子(作家・ライター) イメージから空間に飛ぶジャンプ力が半端じゃない。言葉が自信を湛えていて、誰もいないスタジアムにパンチラインを置いてくるJAY-Zみたいだと思った。俺もかましていくしかない。――没 AkA NGS ラッパー・プロデューサー/Dos Monos 【著者プロフィール】 山階 基(やましな・もとい) 1991年広島生まれ。 早稲田短歌会、未来短歌会「陸から海へ」出身。 2016年、第59回短歌研究新人賞次席。 2017年、未来賞(2016年度)受賞。 2018年、第64回角川短歌賞次席、第6回現代短歌社賞次席。 2019年、第一歌集『風にあたる』(短歌研究社)上梓。 2019年より東京・西日暮里「屋上」と共同で短歌に親しむイベント「屋上と短歌」を開催。 麻川針(あさかわ・しん)名義で組版・デザインを手がける。
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●サイン本 風にあたる|山階基
¥1,870
●サイン本 発行 短歌研究社 2019.7.23刊 四六判変型152頁 ISBN978-4-86272-618-6 心にふれる、という言葉がこんなに似合う歌はないと思う。 ──東直子(歌人) もといくんの歌集の中で暮らしたい ゆくてのシャツを乾かしながら ──枡野浩一(歌人) 2010年から2019年までの 短歌作品346首を収録。 【歌集より】 ほっといた鍋を洗って拭くときのわけのわからん明るさのこと 乗るたびに減る残額のひとときの光の文字を追い越して行く 菜の花を食べて胸から花の咲くようにすなおな身体だったら 三基あるエレベーターがばかだからみんなして迎えに来てしまう ないような夜と海とのあわいからちぎれる波に洗われていた 恋人をまじえて水炊きをかこむ呼びようのない暮らしの夜だ 夕闇にしずむこの世のおみやげに吊るしたシャツは風が抱き取る 【著者について】 山階 基 (やましな・もとい) 1991年広島県に生まれる。 2010年 短歌を書きはじめる。 2016年 第59回短歌研究新人賞次席 2017年 未来賞受賞 2018年 第64回角川短歌賞次席、第6回現代短歌社賞次席 2019年 歌集『風にあたる』刊行 2019年からイベント「屋上と短歌」を東京・西日暮里「屋上」と共同で不定期開催。 麻川針(あさかわ しん)名義で組版・デザインを手がける。 早稲田短歌会出身 未来短歌会「陸から海へ」出身
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現代短歌パスポート2 恐竜の不在号
¥1,100
著:岡野大嗣/川野芽生/小島なお/谷川由里子/大森静佳/寺井奈緒美/我妻俊樹/北山あさひ/伊舎堂仁/安田茜 発行 書肆侃侃房 四六判変形/並製/112ページ 定価:本体1,000円+税 ISBN978-4-86385-599-1 C0092 デザイン:藤田裕美 装画:楢崎萌々恵 創刊号は発売たちまち重版! 大好評の書き下ろし新作短歌アンソロジー歌集、第二弾。 【収録作品】 岡野大嗣「foil」 大森静佳「オーガンジー」 寺井奈緒美「わんたんたんか」 我妻俊樹「海岸蛍光灯」 伊舎堂仁「も可」 安田茜「森なんてない」 谷川由里子「残暑」 北山あさひ「板子一枚下は地獄、今度会えたら笑ってよ」 小島なお「群か星」 川野芽生「恐竜の不在」 【執筆者プロフィール】 岡野大嗣(おかの・だいじ) 一九八〇年大阪府生まれ。歌集に『サイレンと犀』『たやすみなさい』『音楽』『うれしい近況』。共著に『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』『今日は誰にも愛されたかった』。がんサバイバー当事者による、闘病の不安に寄り添う短歌集『黒い雲と白い雲との境目にグレーではない光が見える』を監修。 大森静佳(おおもり・しずか) 一九八九年岡山県生まれ。第五十六回角川短歌賞を受賞。歌集に『てのひらを燃やす』(角川書店)、『カミーユ』(書肆侃侃房)、『ヘクタール』(文藝春秋)。「京大短歌」を経て現在は「塔」所属。京都市在住。 寺井奈緒美(てらい・なおみ) 一九八五年生まれ。愛知育ち、東京在住。二〇一九年、新鋭短歌シリーズ『アーのようなカー』(書肆侃侃房)刊行。二〇二三年、短歌とエッセイ『生活フォーエバー』(ELVIS PRESS)刊行。 我妻俊樹(あがつま・としき) 一九六八年神奈川県生まれ。歌集『カメラは光ることをやめて触った』(書肆侃侃房、二〇二三年)。『起きられない朝のための短歌入門』(平岡直子との共著、書肆侃侃房、二〇二三年)。他、怪談作家として著書多数。 伊舎堂仁(いしゃどう・ひとし) 一九八八年沖縄県生まれ。歌集に『トントングラム』『感電しかけた話』。反転フラップ式案内表示機と航空障害灯をこよなく愛する。 安田茜(やすだ・あかね) 一九九四年生まれ、大阪在住。短歌誌「西瓜」同人。第四回(二〇二二年)笹井宏之賞個人賞(神野紗希賞)受賞。二〇二三年三月、第一歌集『結晶質』を書肆侃侃房より出版。 谷川由里子(たにがわ・ゆりこ) 一九八二年神奈川県藤沢市生まれ。二〇一八年に「シー・ユー・レイター・また明日」五十首で第一回笹井宏之賞大森静佳賞を受賞。二〇二一年に歌集『サワーマッシュ』(左右社)を刊行。 北山あさひ(きたやま・あさひ) 北海道小樽市出身、札幌市在住。第一歌集『崖にて』(現代短歌社)。今秋、第二歌集『ヒューマン・ライツ』(左右社)を刊行。 小島なお(こじま・なお) 一九八六年東京都生まれ。「コスモス短歌会」選者、同人誌「COCOON」編集委員。歌集に『乱反射』『サリンジャーは死んでしまった』『展開図』。千葉聡との共著『短歌部、ただいま部員募集中!』。 川野芽生(かわの・めぐみ) 一九九一年神奈川県生まれ。第二十九回歌壇賞受賞。第一歌集『Lilith』(書肆侃侃房、二〇二〇年)。小説集に『無垢なる花たちのためのユートピア』(東京創元社、二〇二二年)、『月面文字翻刻一例』(書肆侃侃房、二〇二二年)、『奇病庭園』(文藝春秋、二〇二三年)がある。第二歌集準備中。
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起きられない朝のための短歌入門|我妻俊樹・平岡直子
¥1,870
SOLD OUT
発行 書肆侃侃房 四六判/並製/224ページ 定価:本体1,700円+税 ISBN978-4-86385-583-0 C0095 デザイン:戸塚泰雄(nu) 装画:ムラサキユリエ 対談に耳を傾けながら短歌の作り方/読み方がよくわかる ストレンジャー(よそ者)のための短歌入門書 <扱われるテーマ> 「最初の一首」のつくりかた/スランプののりこえかた/連作のつくりかた/歌に使われがちな語彙 推敲のしかた/テーマ詠の難しさ/いい批評とは何か/破調/虚構の歌/口語と文語 わからない歌/歌集をつくること/学生短歌会/新人賞/同人誌と歌集/短歌と夢/詩的飛躍 速い歌と遅い歌/「人生派」と「言葉派」/作中主体とは何か/信頼できない語り手 ほか 「難しいのは、自分の短歌を物足りなく感じはじめたときだ。なにを、どう書くべきなのか。自分の文体とはなんなのか。 ヒントとして、脳をこじあけて強制的にまぶしい光を浴びせてくるような言葉がこの本のなかにひとかけらでもあればいいと思う」 (平岡直子) 「他の入門書を読んでなんだかしっくりこなかったり、短歌で道に迷ってしまったと感じている人がこの本を読んで、なにかしら励まされるところがあったとしたらとてもうれしい」 (我妻俊樹) 【目次】 はじめに(平岡直子) 第1部 つくる 第2部 よむ 第3部 ふたたび、つくる おわりに(我妻俊樹) 著者作品二十首 *** ◎コラム 我妻俊樹「かわむきき と かなしい の か」「曖昧さとシンメトリー」「本歌取りについて」「韻律起承転結説」 平岡直子「パーソナルスペース」「雨戸と瞼」「日の字」「心の底で」 【著者プロフィール】 我妻俊樹( あがつま・としき) 1968年神奈川県生まれ。2002年頃より短歌をはじめる。2016年、同人誌「率」十号誌上歌集として「足の踏み場、象の墓場」を発表。2023年に第一歌集『カメラは光ることをやめて触った』(書肆侃侃房)上梓。平岡直子とネットプリント「ウマとヒマワリ」を不定期発行中。2005年「歌舞伎」で第三回ビーケーワン怪談大賞を受賞し、怪談作家としても活動する。著書に『奇談百物語 蠢記』(竹書房怪談文庫)などがある。 平岡直子( ひらおか・なおこ) 歌人。1984年に神奈川県に生まれ、長野県に育つ。2006年、早稲田短歌会に入会し、本格的に作歌をはじめる。2012年、連作「光と、ひかりの届く先」で第23回歌壇賞受賞。2013年、我妻俊樹とネットプリント「馬とひまわり」( のちに「ウマとヒマワリ」)の発行をはじめる。2021年に歌集『みじかい髪も長い髪も炎』を刊行、同歌集で第66回現代歌人協会賞を受賞。2022年には川柳句集『Ladies and』を刊行。現在「外出」同人。
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ソングレイン|四元康祐
¥2,200
発行 左右社 定価 2,200 円(税込) 刊行日 2023年08月21日 判型/ページ数 四六判変形 並製 168ページ ISBN 978-4-86528-382-2 Cコード 0092 装幀・装画 松田行正+杉本聖士/装幀 今日の現代詩を代表する詩人のひとり、四元康祐。 長い年月にわたるヨーロッパ生活から日本へと拠点を移し、 「本駒込」で暮らす詩人にすぎてゆく日々の不穏、そして哀しみ──。 表題作を含む日々の連作「ソングレイン」21篇+長篇「本駒込ライフ」、 そして、つぶやきのような「素朴な詩」を収めた最新詩集 きょうは雨のかわりに 歌が降っているから 傘は置いていこう 歌に濡れよう ──「ソングレイン」より
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標準時|佐クマサトシ
¥1,980
発行 左右社 定価 1,980 円(税込) 刊行日 2023年06月30日 判型/ページ数 四六判 並製 144ページ ISBN 978-4-86528-374-7 Cコード C0092 装幀・装画 田中良治/装幀 目の前の日常から、ここではない日常に。 わたしたちが日々のなかで思い、交わし、つぶやく、なにげない言葉のすべてが詩になる――ドミニク・チェン 2011年短歌研究新人賞最終候補作となった表題作、書き下ろし作品を含む235首を収録。 起動したばかりの画面。デフォルトの状態。テストパターン。本当は何も書きたくないのに、〈私〉がやってきて、指がクリックする。スイッチがONになる。0が1になる。オブジェクトが生まれる。大袈裟だと思う。短歌を詠むだなんて。(著者あとがきより) 〈収録作品より〉 真夜中にアナウンサーが喋るからそれを流して過ごす真夜中 僕たちの恋の終わりや始まりのまさにその瞬間にCM バスタオルきれいにたたむ 空港に住所があるのを認められない AならばBでありかつBならばAであるとき あれは彗星? 問い合わせが殺到したという曲を僕だって何回も聞いていた 2.で「はい」と答えた方にお聞きします。いいえと答えたのでとばします Googleのロゴで初めて名前を知った科学者だがその業績は素晴らしい 晩年は神秘主義へと陥った僕のほうから伝えておくね クリスマス・ソングが好きだ クリスマス・ソングが好きだというのは嘘だ 本当に大事なものはいつだって名前 それが二つある犬 本日の放送は終了しました。私はまだ、考え事をしています
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私は日本狼アレルギーかもしれないがもう分からない|田中有芽子
¥1,980
発行 左右社 定価 1,980 円(税込) 刊行日 2023年09月28日 判型/ページ数 四六判変形 並製 192ページ ISBN 978-4-86528-388-4 Cコード C0092 装幀・装画 田中有芽子/装画 名久井直子/装幀 この歌集には、普通の人にはまず思いつかないような奇想が充ちている。 怖いからスルーしたい。でも、できない。怖いくせに、いや、怖いからこそ、立ち止まって正体を知りたくなる。その奥にとても大切なものが隠されているように感じるのだ。――穂村弘 奇想に充ちた短歌で「日経歌壇(穂村弘 選)」に100首以上掲載、年間の秀歌にも多数選出のスター歌人として知られる田中有芽子。2019年に刊行し話題を呼んだオンデマンド歌集に、新作「りからん」を加えた新装版。穂村弘による解説も収録。 〈収録短歌より〉 ガラス越し新生児らの歳を足すみんな合わせて56日 ぎっしりとセミの抜け殻詰め込んだ軽いトランク持って野を行く 奇数本入りのパックが並んでる鳥手羽先の奇数奇数奇数 「共用スペースでは必ず犬を抱くこと」買いに行かなきゃ、犬を。 あのアゲハ小さい頃から何回もおんなじやつに会ってるのかも 100年に一言喋る力持つテディ・ベアそっと抱けば「暑イ」と すれ違い多き夫よ何回も帰ってくるが行くのを見ない 海と陸出会うはずない命たち一皿に盛ってシーフードサラダ 君たちは名誉レッサーパンダだよ雨の日の午後通知が届く お母さんはあんたよりもっと殺してる巣に水を入れたりもした
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左川ちか詩集
¥792
発行 岩波文庫 川崎 賢子 編 通し番号 緑232-1 刊行日 2023/09/15 ISBN 9784003123218 Cコード 0192 文庫 ・ 236頁 定価 792円 左川ちか(1911-36)は昭和初期のモダニズムを駆け抜けた女性詩人。日本近代詩の隠された奇蹟とされた。「緑」「植物」「太陽」「海」から喚起する奔放自在なイメージ、「生」「性」「死」をめぐる意識は、清新で全く独自の詩として結実した。爽快な言葉のキーセンテンスは、読む者を捉えて離さない。初の文庫化。
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●サイン本 うれしい近況|岡野大嗣
¥2,200
発行 太田出版 価格 2,200円 (本体2,000円+税) 判型 四六判上製 ページ数 144ページ ISBNコード 9784778318949 搬入年月日 2023.10.4 How are you? 小さな暮らしが歌になる 岡野大嗣 第4歌集「うれしい近況」 誰だろう毛布をかけてくれたのは わからないからしあわせだった
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場末にて|西尾勝彦
¥1,540
SOLD OUT
発行 七月堂 2023/10/10発行 175mmx110mm 小口折り 帯付き 装画:小川万莉子/装幀・組版:川島雄太郎 すべてのアウトサイダーへ贈る 【著者コメント】 作品「場末にて」を書いたのは2019年のことです。大阪のとある小さな書店で開催された朗読会のために書き下ろしました。記念にするつもりでその店主を描きはじめましたが、次第に自分のこととなり、未来のこととなり、すべてのアウトサイダー、場末を支えるひとたちのための言葉になっていきました。朗読会当日、しずかに読み切ったときの気持ちはまだ覚えています。あの日から、4年。ようやく、詩集『場末にて』を完成させることができました。多くの人々の手に届くことを願っています。 【版元コメント】 この詩集はきっと、誰かにとって、ひと休みさせてくれるような、木洩れ日がきらめく木陰のような、そんな一冊になるのではないかと思いながら制作を進めてまいりました。 こうして形にすることができ、嬉しい気持ちでいっぱいです。 装画は前回の詩集『ふたりはひとり』につづき小川万莉子さんの描き下ろし作品です。場末にてひかる小さな明るみを表現してくださいました。 この詩集には、「場末」に生きる人たちやそんな人たちがつくる場所がたくさん登場いたします。 ほの暗いなかでしか見えないくらい、けれど確かに存在する、ちいさなやすらぎの灯のような一冊です。 ぜひお手にとってご覧ください。 ● 駅 彼は うすい背中のひとなので 職場から 誰よりもはやく 家に帰るみたいだ いつも歩きなので 駅に着くころには 埃っぽい風のなかである ちょっとうつむきかげんの ふうわりとした顔つきで 行きと帰りでは 気持ちに ほとんど変化がないみたいだ 夕暮れの あわい光のなかを 彼は歩いている うすい背中のひとは 駅近くの和菓子屋に 立ちよっている 病弱の妻に 若鮎を買って帰るらしい がま口を開けて 一枚いちまい 小銭をかぞえている
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手癖で愛すなよ|犬飼愛生
¥1,870
発行 七月堂 2023/08/25発行 四六判 並製 小口折 1,870円(税込) それぞれの日常を消費してしまわないために ● B面 春が始まった いつまでも終わらない夢みたいに 町のなかを小さく歩いて食糧を買った 遠くのビルからは拍手 東京は青くライトアップ あの人のマスクは小さすぎて あの人のマスクは大きすぎて 私たちは棒グラフになって 週末には画面の中で乾杯する 子どもたちは日付を忘れて 暑い日にはTシャツを着て どうぶつのいる森へ入って行った 大人はときどきニュースを見る事をやめた 足元に貼られた足型にぴたりとつま先をそろえて待った 二月の終わりを生きながら 聴いたことのない音楽の流れる春だった まだこの世にないメロディー どこから流れてくるのかわからなかったし 怖くて 家の中にとどまった それで私たち、また画面の前で落ち合ったりした さくらは可憐に咲いて知らぬ間に散ってしまったけれど 私たちは B面のような世界を生きて 閉じていたとびらを開け放って 呼吸している ● 私は食いしん坊 食べ物がでてくる詩が多いですね、と言われた ボロネーゼ 生姜の佃煮 ケーキ 寿司 ポテトサラダ ゼリーポンチ リンゴジャムパン… もっとある たしかに 食べ物の詩をたくさん書いてきた 食いしん坊の私には 作ることで閃いて 食べることで開けたいくつもの扉がある キッチンに立って、わたしは料理を作る 思考は分裂しながら フライパンの中で炒められる しんなりして 無心で火が通って行く様子を眺めている 場面を刻んで塩で揉む 味付けは、いつも難しい たまには 誰かが作った おいしい料理を食べて扉を開く あの時 一緒に食べたことを思い出す 善や悪や偽りや本心など 消費したんだよ 時間と感情もね 君の口からでた意外なことば 掬い取ってスプーンで自分の口に運ぶ 毒でもいいんだ 毒を喰って書けるなら本望だ また一緒にごはんを食べましょうね
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折坂悠太 (歌)詞集 あなたは私と話した事があるだろうか
¥1,980
発行 WORDSWORTH(good and son) 価格 1,800円(税抜) 仕様 111×154mm/234P/上製本 編集 山口博之(good and son) デザイン 山田和寛+佐々木英子(nipponia) ISBN 9784991328107 発売日 2023年10月1日 2023年、活動10年を迎えるシンガーソングライターの折坂悠太が歌い続けてきた、62曲の(歌)詞集。 ライブでのみ披露している詞や未発表の新作詞、書き下ろしエッセイを含む、234P。 折坂の圧倒的個性は歌唱だけではない。 サブスクリプションで音楽を“聴き”、 ブックレットで歌詞を“見る”ことがなくなりつつある時代に、 “読む”テクスト=(歌)詞と向き合うものとして 折坂もうひとつの独創「(歌)詞」を読む。 ーーーーー 詞をまとめる作業は、長年使ってきた道具に手入れをするような感覚でした。 ひときれのパン、ナイフ、ランプ。生き抜くために、今一度持ち物チェック。 どうぞ私のかばんを開けて、私をかばんに忍ばせてください。 折坂悠太 ーーーーー <ためらいと抵抗の詞学> 折坂さんの強烈な個性である歌声や歌唱法、メロディやリズムといった”歌唱”の要素から離れた、もうひとつの独創、言葉=”(歌)詞”を私たちはどんな響きで読むでしょうか。 折坂さんは都合のいい言葉で私たちを安易な納得へと誘いません。言葉にできないものに対して、わかったような言葉で誤魔化すことをせず、目をそらさずに見つ続けるのです。熱狂に巻き込まれることなく傍観するのでもなく、淡々と熱く、ためらいながら、抗いながら、私たちの方を向いています。 折坂さんは私たちに何を話しかけようとしているのか。 歌に乗せて“聴く”だけの言葉ではない、読み、想像し、対話するものとしてこの(歌)詞集をつくりました。ひとり静かにこの本を開き、自分だけの読み方で時間を過ごしていただけたらうれしいです。 本書編集者:山口博之(good and son/WORDSWORTH)