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おやすみ神たち|詩 谷川俊太郎/写真 川島小鳥
¥2,750
SOLD OUT
発行 ナナロク社 装丁:寄藤文平 鈴木千佳子 仕様:A5判変形 上製 オールカラー 176ページ ISBN:978-4-904292-53-2 C0072 この世での故郷の先に あの世での故郷があるのではないか タマシヒはたぶんそれを知っている (収録詩「故郷」より) 〈タマシヒ〉とは何か。その先には何があるのか。 目に見えない〈タマシヒ〉を描いた 新作書き下ろし詩27篇、 撮りおろし写真102点を収録。
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REVUE DIAPO Issue 002
¥4,500
英語/フランス語 A4変形 H280×W225 32ページ 発行 2024年 Issue 002 Alexandra Mocanu "Temporal Mirage : Echoes Of Unseen Realms" フィルム写真を若い世代に伝えるというコンセプトで、フランスにて創刊されたマガジン"REVUE DIAPO"。2号はAlexandra Mocanuによる、AIで生成した建造物をフィルムに落とし込んだ作品を特集。 表紙はプリザーバーに9枚のポジフィルムを収納した仕様となっています。
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REVUE DIAPO Issue 001
¥4,500
SOLD OUT
英語/フランス語 A4変形 H280×W225 32ページ Issue 001 Kenny Germé "Caribbean Ride" フィルム写真を若い世代に伝えるというコンセプトで、フランスにて創刊されたマガジン"REVUE DIAPO"。1号は写真家 Kenny Germéがジャマイカでバイカーたちを撮影した作品と、David Démétriusによる詩を特集。 表紙はプリザーバーに9枚のポジフィルムを収納した仕様となっています。
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THE TOKYO TOILET ポストカード/ステッカーA/ステッカーB
¥1,111
街なかの公共トイレを誰もが驚く、新しい気づきの場へと刷新するべくスタートした〈THE TOKYO TOILET〉プロジェクトをまとめた、ポストカード(写真1、2枚目)/ステッカーA(写真3枚目)/ステッカーB(写真4、5枚目)。 ポストカード 蛇腹式、7枚組 ステッカーA/B ポストカードサイズ、9枚セット
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RAUMORDNUNG|Michael Blaser
¥5,720
¥5,720 (tax incl.) softcover 96 pages 213 x 317 mm color limited edition of 500 copies 2018 スイス人フォトグラファー、マイケル・ブレイザー(Michel Blaser)の作品集。作者は見栄えのしないことや取るに足らないこと、見慣れたものや見過ごされがちなものに芸術的な関心を抱いてきた。首都ベルンに生まれ育った作者は、都市周辺の景観の特殊性を観察し、都市のアイデンティティと田舎町の性質、自然とスプロール現象、公の場と私的な空間との間を揺れ動く凡庸なスイスの一面を我々の目の前に突きつける。ランドスケープとも建築のイメージともとれる写真の中の人々の生活が積み重なって形成された風景は、私たちの社会をありのままに写し出している。
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幽霊|菅谷ケイスケ
¥3,300
表紙は二種類あります リトルプレス 糸綴じ 手製本 50部限定
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場所 A Place|牧口英樹 Hideki Makiguchi
¥6,600
ポストカード付 発行 Vacant 発売日:2023.08.26 | ¥6,000+TAX|初版500部 編集・デザイン:Yusuke Nagai (Vacant) | 印刷:Hakkou Bijyutsu 254 x 201mm / 88 page / 44 photographs / Hardcover / PUR Binding 写真が「真を写す」ものとして、その力を宿していた時代の遺物である〈心霊写真〉の、「見えないはずのものが写っている」という恐怖の眼差しに対して、彼の『場所』という写真作品群からは「何も写っていないこと」に、静かな戦慄を覚える。そこに「何か」が写っていると思わずにはいられないのだ。写真にある景色は至って静かなのに、その衝動は耳鳴りのように、どこからか鳴り響いて、この身体を震わせる。 「この世は空っぽではない。有るという奇妙な性質で満たされている。その根本的な事実を、場所と向かい合うことで思い出すことができる。」 牧口がこのように示唆する「有るという奇妙な性質」とは、おそらく彼の向き合ってきた「存在」の一端であり、僕に「何か」を予感させる源だ。写っているようで写っていない、写っていないようで写っている。曖昧な認識を行ったり来たりするしかない程に、彼が捉えようとしている「存在」は不確かに揺らぐ。写真の側に立ち、ゆっくりと眺めることで、うまくいけばステレオグラム画像に立体物が浮き上がってくるように、ふと何かに触れる瞬間が来るかもしれない。そんな淡い期待を、牧口の写真は用意してくれる。 ひとたび意識を少しでも逸らしてしまえば、途端に見えなくなってしまうような儚い存在に対して、牧口が長年に渡って集中力を途切らせることなく、ずっと目を凝らし続けてきたことに、僕は単純に感嘆する。だからこそ、彼のストイックな生き方そのもののような探究の成果を、「作品」として扱うことにも慎重にならざるを得ない。今回出版する写真集も、10年越しの構想を経てようやくつくることが出来た。彼が世界中で見出してきた数々の「場所」を収めた本書は、それぞれの人のなかにある、未知なる領域を浮かび上がらせる、テキストのない哲学書であり、正解のない問題集だ。展覧会のスタート直前に刷り上がってくるこの本を、ひとりでも多くの人に見てもらいたいと願っている。 Vacant/永井祐介 【アーティストプロフィール】 牧口英樹 /Hideki Makiguchi 1985 年北海道、札幌生まれ。2009 年多摩美術大学卒業、2011 年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻 修士課程修了。これまでの個展に、「Back is always the void」Vacant(東京、2010)、「ありふれた場所の、静かで限 りなく無に近い、目に見えない何か」LIQUIDROOM(東京、2012)、グループ展に「はじまりのしじま」TSCA(東京、 2015)、「Drawing:Manner」TSCA(東京、2019)など。 http://hidekimakiguchi.com
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●サイン本 いつでも夢を|上田義彦
¥14,300
SOLD OUT
サイン本でのご用意となります 発行:赤々舎 Jiazazhi Book Design:葛西薫 中本陽子 Size: H257mm × W182mm Page:584 pages Binding:Cloth hardcover Published in August 2023 ISBN:978-4-86541-158-4 1990年から2011年までの夢の軌跡、サントリーウーロン茶の広告写真と中国の記録 上田義彦が撮影したサントリーウーロン茶のシリーズは、今なお広告写真の金字塔です。静謐な光、大陸の風景とともに、そこでの人々の営みと存在が写し出されたイメージは、見る人の胸に響き、忘れがたい余韻を残しました。距離を越えて、生活の美しさや瞬間の豊かさが同じようにあることを、一枚一枚の写真は物語っていました。 1990年から2011年、中国が大きく変貌した時代に撮られたこのシリーズは、ロケのために、桂林、瀋陽、上海、大連など中国各地を時間をかけて巡り、その旅のなかで生まれたものです。偶発的に遭遇した光景や情景なども含まれており、旅で出会った人がそのまま広告の一枚に登場したり、土地の風景が写真を導いたりする在り方は、広告文化を育む当時の土壌を感じさせます。 上田は当時の中国の風景を「遥か感」という言葉で表現しています。北京空港から見た、広大な地にぼんやりと霞んだ空気の層が漂う独特な眺め、その時代を生きる人々の人間模様や美しい風景がインスピレーションとなり、数々の名シーンが生み出されました。 本書は、ウーロン茶の時系列の写真とともに、上田が旅の日々においてスナップした中国の光景を収め、共通する眼差しのなか、大きな時間と空間を湛える一冊です。 ● ウーロン茶のことを想うと、 なぜか僕はきまって冬の北京空港に降り立った時のことを思い出す。 1980年代の北京空港は今とは違い、かなり小さな空港だった。 当時そこに降り立つと暖房に使う練炭や石炭を燃やしたような香りが いつも微かに漂っていた。そして、その香りを嗅ぐたび、 中国にまたやってきたんだという静かな喜びが、ふつふつと湧いてきた。 当時の古いロビーのガラス窓越しに、 ボーッと白く煙った、遥か遠くの水平線を見つめていると、 自然に「遥か感」という言葉が僕の頭に浮かんできて、 その度、その言葉をそっと心の何処かで呟いていた。(序文より) 上田義彦
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いまここ|谷川俊太郎/川内倫子
¥2,750
SOLD OUT
発行:torch press 仕様:197 x 220 mm/上製本/64P 詩:谷川俊太郎 写真:川内倫子 企画:原田郁子 デザイン:サイトヲヒデユキ 言語:日本語・英語 定価:2,500円+税 ISBN:978-4-907562-43-4 C0072 発行年:2023 『いまここ』は谷川俊太郎の詩に、川内倫子が写真を合わせた写真絵本。日本科学未来館で上映されたプラネタリウム「暗やみの色」から始まった、原田郁子の楽曲「いまここ」の谷川の詩から生まれた一冊です。原田の楽曲「いまここ」は、今年発売された15年ぶりのソロアルバム「いま」に収録されている、0歳から91歳までの声、谷川自身の朗読、呼吸音、心音、rei harakamiのサウンドをフューチャーした11分半におよぶ大作となります。楽曲制作時に原田が川内の写真展「M/E 球体の上 無限の連なり」を訪れたことから、「本」としてのプロジェクトが動き出しました。 言葉と写真が呼応するように川内自身が構成した写真絵本『いまここ』では、アートディレクター・サイトヲヒデユキのデザインによって、言葉自体もリズムを持ちながらページが流れていきます。自分の存在について問いながらも、さまざまな受け取り方ができる「いまここ」という根源的な詩。それが静けさの中に自然の息づかいを感じる瑞々しい写真と重なり合うことで、寄り添いながらも、時空を超えた旅へと連れて行ってくれるでしょう。包まれるような囁きを聞きながら、深く遠くまで浸ることができる楽曲「いまここ」と連なり合う、言葉と写真で紡がれる『いまここ』の扉を、ページをめくりながら開いてみてください。
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windows|奥山由之
¥11,000
発行:赤々舎 Book Design:葛西薫、安達祐貴 Size: H194mm × W205mm Page:752 pages Binding:Cloth hardcover Published in June 2023 ISBN:978-4-86541-171-3 ¥ 10,000+tax 寄稿:堀江敏幸(小説家)、五十嵐太郎(建築史・建築批評家) 窓を通して人々を描く、"東京"のポートレート 奥山由之の新作写真集『windows』は、2020年4月から2022年11月までの2年半にわたり、東京都内で、約 10 万枚の不透明なガラス窓を撮影したシリーズです。奥山が初めてデジタルカメラを用いて撮影したこれらの写真群から、本書は 724 点を収載しました。 コロナ禍にあったこの時期、海外に赴くことの少なくなった奥山は東京の街を歩きながら、窓の表情に目を留めました。路面に面した窓の多くは、すりガラスや型板ガラスなどの不透明なガラスで、屋内にあるさまざまな日用品が透けて見えます。キッチンや浴室の水まわり、フィギュア、花、洗濯物、貼り紙、傘、神棚、自転車......窓枠に沿ってトリミングされた内部の空間は抽象的な模様となり、外部の影や映り込みも宿しながら、そこに暮らす誰かの存在を想像させます。それは一枚一枚の窓が、東京の人々の肖像画となる瞬間でした。 カメラのファインダーという窓から窓を覗いたとき、外と内との隔たりと思えたものがスクリーンとなり、その平面は新たな奥行きをもち得たのです。 奥山は前作『flowers』(2021 年、赤々舎)において、花を媒介にした亡き祖母との対話を描き出し、そこでは内から外への窓越しの眼差しが、あるひとりと向き合うことに重なっていました。本作『windows』では、外から内への眼差しによって見知らぬ誰かと対話し、その個々にして不特定多数の肖像は、自ずと足もとの社会を映し出すでしょう。 それぞれ異なるものが密集して建てられている東京の、常に流動的で過剰に生成される街の姿。不透明なガラス窓は、そこで暮らす人どうしの間合いを反映し、歴史的には、閉じつつも外光を透かす障子を起源とするのではないかと奥山は考えます。窓をめぐって建築や文化へも接続する『windows』は、時代の貴重な記録でもあります。 東京の街を丹念に歩きながら撮る奥山の足取りに、20 世紀前後のパリを撮影したウジェーヌ・アジェも思い浮かぶかもしれません。標本的にではなく、光や距離によって具象と抽象 のあいだを揺らぎ、立ち上がるイメージと生々しさが同居する『windows』。奥山作品の重要な転換点であるとともに、いまを、そして人々を写しとる独自の在り方は深い示唆を投げかけます。 "入り組んだ文化のレイヤーを持ち、建物がひしめき合う東京において、ある種のシンボルとも言える不透明な窓に、私は人々の表情を見た。 窓を見つめることは、見知らぬ誰かと見つめ合うことに等しいと感じた。 この静かな視線の行き交いが、「東京」という街で生きる人々の肖像画になり得ることを、心から強く願っている。" (奥山由之 前書きより) 装丁は、木や土の自然に由来する家の素材を イメージした黄土色の布装です。
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Paradigm|根間智子
¥3,850
SOLD OUT
発行 小舟舎 ISBN978-4-908160-02-8 C0072 金額 3500円+税 サイズ、ページ 148×225mm 74ページ 発行日 2015年6月23日 部数 限定700部 装丁 サイトヲヒデユキ 寄稿 新城郁夫 翻訳 クリストフ・トウニ 風景はそこに存在し、「私」だけが時速60キロで動いている。 右側の目線にある雑草はすごいスピードでなびくため、 海のようなさざ波にみえてくる。 その上部にみえる小さな鉄塔はある一点を超えなければ、 ほとんど動かずにそこにある。 普段みえている風景が、なにか奇妙な時空とともに出現したように思えたのです。 -根間智子 (las barcas別冊p44より) 沖縄在住の美術家根間智子が、生活の中で撮影した沖縄の風景を、時間や空間の概念を超えて映し出す渾身の一冊です。 私たちが見ている風景とは何か、そもそも見えることとは何かを、 根間自身が問いながら撮影。 写真を見る人の視覚を惑わせ、深い思考を呼び起こし、 永続的な問いを根間の写真は提示します。 根間智子 プロフィール 1974年沖縄生まれ。現代美術家。沖縄県立芸術大学非常勤講師(絵画/陶芸〔硝子〕)。写真、 絵画、硝子、映像作品を発表。主な展覧会に2008年現代美術の展望「VOCA展」(上野の森美 術館)、「流漂」写真展(gallery atos/沖縄)。2012年「ART IS MY LIFE」(沖縄県立博物館・美術 館)など。
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風をこぐ To Row the Wind|橋本貴雄
¥3,520
発行 モ・クシュラ 装丁: 岡本健 + 判型:A5 判・並製カバー帯あり・PUR 頁数:342 ページ 定価: 3,200+税 ISBN978-4-907300-05-0 C0072 2005 年、車に轢かれ、路上で倒れていた一匹の野良犬。著者はその犬を保 護し、フウと名付けて引き取りました。 本写真集は、12 年間のフウの記録です。 事故により脊髄を損傷したフウは、後ろ脚に障害が残り通常の歩行ができませんでしたが、それでも毎日の散歩をとても楽しみました(最後の2年3ヶ月は車 イスを使用)。 本写真集「風をこぐ」は、バタバタとうねるように、前足で漕ぐ ように歩くフウの姿から、著者が付けたタイトルです。 本書には、作家が地元福岡でフウを保護した 2005 年から、大阪、東京、そし て移住先ベルリンで亡くなる 2017 年まで、移りゆく季節・時間のなかで散歩を するフウの姿を写した 261 点の写真と、本写真集を出版するにあたって書き下ろされたエッセイ 2 万文字が収録されています。 フウのあとを追うように、写真 集をめくっていただければ幸いです。 橋本貴雄 1980年 熊本県生まれ。2008年、ビジュアルアーツ大阪写真学科卒業。同年上京し、イイノメディアプロにて勤務したのち 2011 年ドイツに渡る。現在、ベルリン在住。「風をこぐ」所収の写真からなる「Kette」で2021年度「キヤノン 写真新世紀」佳作(椹木野衣氏選)。
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as it is|川内倫子
¥3,300
SOLD OUT
発行 torch press 仕様:230 x 180mm/ソフトカバー(フランス装)/144P+テキスト差し込み18P デザイン:若林亜希子 言語:日本語 定価:3,000円+税 ISBN:978-4-907562-24-3 C0072 発行年:2020 『as it is』は、川内倫子が自身の出産から約3年間、子育ての中で出会った子どもの姿や身近な風景を撮りためて構成した新作写真集となります。初写真集『うたたね』(2001年)から20年という歳月の中で、日常の出来事から外の世界へとまなざしを向けながら、近作『Halo』(2017年)では、遠い宇宙を感じさせるイメージを切り開いてきました。そこから『as it is』ではもう一度、自身の子どもや家族とともに、目の前の日常風景を見つめ直し、原点に立ち返っています。 3歳になるまでの子どもは、自我が芽生え始めながらも社会とは無縁に生きる、生の塊のような眩しさを持ち合わせています。本作では、川内が一人の母親として感じてきたことが短いテキストで挟み込まれ、現在進行形で綴る家族の物語でありながら、子どもという生命力溢れる存在の普遍性にも迫っています。四季の移り変わりを通じて出会う自然と光の美しさ、暮らしの中で見つける小さな生き物たち、初めて体験する死という出来事―それらのささやかな物事に宿る生命の美しさと、その気づきから積み重なっていく日々。2020年、私たちの生活は新型コロナウイルスによって一変しました。何気ない日々の切実さを改めて大切に思う現在だからこそ、これまでの風景が違う層を見せながら、新しい時代を生きる私たちに寄り添う一冊となるでしょう。 *本書はフランスの出版社Chose Communeとの共同制作で生まれました。torch pressが日本語版、Chose Communeが英仏版となります。 川内倫子(Rinko Kawauchi) 1972年、滋賀県生まれ。写真家。2002年、『うたたね』『花火』で第27回木村伊兵衛写真賞受賞。2009年に第25回ICPインフィニティ・アワード芸術部門を受賞するなど、国際的にも高い評価を受け、国内外で数多くの展覧会を行う。主な個展に、2005年「AILA + Cui Cui + the eyes, the ears,」 カルティエ現代美術財団(パリ)、2012年「照度 あめつち 影を見る」東京都写真美術館、2016年「川が私を受け入れてくれた」熊本市現代美術館などがある。著作は写真絵本『はじまりのひ』(2018年)、作品集『Halo』(2017年)など多数。
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Illuminance: The Tenth Anniversary Edition|川内倫子
¥7,150
SOLD OUT
発行 torch press 仕様:287 x 219 mm/ハードカバー(クロス貼り)/和とじ(袋とじ)/384P デザイン:ハンス・グレメン 言語:日本語 定価:6,500円+税 ISBN:978-4-907562-30-4 C0072 発行年:2021 2011年の初版から10年を経て、川内の代表作のひとつである『Illuminance』が10周年記念エディションとして蘇ります。『Illuminance』は「照度」という意味を持つように、光という写真の命題に向き合った作品シリーズ。この世界に満ちている光と闇、そして生と死。美しさと同時に悲しさをも含有する川内倫子がとらえるそれらの断片は、時間や場所をも超えて、普遍とは何かを私たちに訴えかけます。崇高でありながらささやかに、私たちが見ているこの世界の新しい扉を開きます。 初版の構成をそのまま再現し、オリジナルのデザインを踏襲しながら、オランダのアート・ディレクター、ハンス・グレメンによって装丁を一新し、その世界観を存分に味わうことができます。写真家アレック・ソスは本作を「とても精巧に作られたこのモノグラフによって、川内倫子の名前を誰もが知るようになるはずだ」と称賛しました。本書では、デイビッド・チャンドラーによるテキストの再収録に加え、新たに哲学者・篠原雅武と、Apertureのクリエイティブ・ディレクターであるレスリー・A・マーティンによる論考が加えられています。この再販は、川内作品に新しい文脈と視点を与えるとともに、読者は詩的で、想像力にあふれる感性に再び出会うことができるでしょう。 *本書はアメリカの出版社Apertureとの共同出版となります。torch press版は巻末テキストが日本語です。 川内倫子(Rinko Kawauchi) 1972年、滋賀県生まれ。写真家。2002年、『うたたね』『花火』で第27回木村伊兵衛写真賞受賞。2009年に第25回ICPインフィニティ・アワード芸術部門を受賞するなど、国際的にも高い評価を受け、国内外で数多くの展覧会を行う。主な個展に、2005年「AILA + Cui Cui + the eyes, the ears,」 カルティエ現代美術財団(パリ)、2012年「照度 あめつち 影を見る」東京都写真美術館、2016年「川が私を受け入れてくれた」熊本市現代美術館などがある。著作は写真絵本『はじまりのひ』(2018年)、作品集『Halo』(2017年)など多数。
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神村光洋写真集 不在を撮る
¥4,290
写真 神村光洋 文章 伊藤俊治 発行 建築の建築 デザイン 芝野健太 翻訳 河西香奈 編 飯沼珠実 H260 x W244mm, 120p. 掲載写真101点, 日英併記 オフセット印刷(4C), 上製本 ISBN 978-4-9911475-2-4 1948年 東京に生まれた神村光洋は、1966年に日本大学写真学科入学、1969年に同校を中退し、以後フリーランスのカメラマンとして商業写真の分野で活動しました。「頼まれれば何でも撮った」と語る神村は、いっぽうで仕事の合間を縫って個人的な作品制作に取り組んできました。その被写体は「建築」です。 全101カットを収録する本書は、大きく3つのパートで構成されます。 前半は白黒写真57点を掲載します。1980年代後半から2000年代に制作された4つのシリーズを、本書では「不在の光景」という1つの塊として再編集しました。建築物に反射した太陽光が都市に纏う様子を撮影した「スペクトログラム」、バブル経済の土地投機により個人商店や住宅が立ち退いた空き地に立ち現れた「壁」、消えゆく商店街をスナップした「街」、そして街を行き交う人々が〈置き忘れた〉影を写し撮ろうとした「通過者」。本書デザイナーの芝野健太は、都市を歩き回る神村の脚の感覚と、被写体と出会い撮影する衝動を表現したいと考えました。 前半と後半のあいだには、「習作 1968」として、神村の学生時代の写真9点を差し込みます。神村の眼差しは、批評的でありつつも、どこか素朴さを残しています。本書編者の飯沼珠実は、神村が撮る「不在」の写真における市民の気配に興味を持ち、神村の目に「不在」が映りはじめる前、1968年前後に撮影されたスナップ写真を本書に収録することを希望しました。 後半はカラー写真35点を掲載します。神村の代表作「動物園」(第23回伊奈信男賞受賞)は、世界各都市の動物園をめぐり、動物が姿をみせないタイミングで飼育施設を撮影しました。動物園とは、人間にとっては劇場であるいっぽうで、動物にとっては自らが生きる環境といえます*。カメラをとおして、見る者 / 見られる者という関係、空間のコンテクストのひずみを見つめ、舞台装置としての動物園を描きだします。本書で8点を発表する「無限遠の先」は、今日も撮影中の意欲作となります。 本書の最後には美術史家・伊藤俊治による批評「不在を撮る」を収録します。 *参照「なぜ動物を観るのか?ジル・エローに捧ぐ」『見るということ』2005, ちくま学芸文庫, ジョン・バージャー 著, 飯沢耕太郎 監修, 笠原美智子 訳
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Primal Mountain|濱田祐史
¥4,400
発行 torch press 仕様:212 x 289mm/ソフトカバー/112P 執筆:松岡正剛 デザイン:田中義久 言語:日本語/英語 定価:4,000円+税 ISBN:978-4-907562-19-9 C0072 発行年:2019 濱田の代表作のひとつである「Primal Mountain」は、一見すると山の風景写真のように見えますが、実は私たちの身近にある素材で作られた「山」であることに気付きます。「真実と虚」「見えるものと見えないもの」という自身のテーマと、震災の体験が繋がっていく中、ある日友人から山の写真のポストカードが届きます。濱田は、そこに写る美しさとともにある嘘っぽさに、これらの「山」は果たして本当の山なのか、という疑問を抱き、「Primal Mountain」の撮影を始めました。目の前に見えている山を、私たちは一体何をもって山だと認識するのでしょうか。ここでは”作られた”ランドスケープを、私たちの脳がつい風景だととらえてしまうことさえ、心地いい経験となっていくのです。 本作は袋とじのような綴じ方を採用し、ページの裏側に、写真の拡大図を印刷しており、横から裏側のイメージを覗くことができます。綴じを“山”と”谷”に見立て、「見えるものと見えないもの」を一冊の中で体現した仕掛けで、ページをめくる行為を通して、リアルとファンタジーの間を軽やかにたゆたい、「見ること」とは何かを問いかけます。巻末には濱田自身がその思想に影響を受けたという、松岡正剛による寄稿を収録しています。 これらは「もどき」と「らしさ」のヴィスタの提示なのである。ー松岡正剛 濱田祐史(Yuji Hamada) 1979 年大阪府生まれ。2003年日本大学芸術学部写真学科卒業。写真の原理に基づき概念を構築し、ユニークな技法で常に新しい試みを行う。 写真集『photograph』が Paris Photo/Aperture First Photobook Award 2014にノミネートされるなど、東京を拠点に活動し国内外で作品発表をしている。主な個展に「写真における色のシリーズ」の三作「 K 」「R G B」「C/M/Y」(PGI、東京)、「photograph」「Primal Mountain」(GALLERIE f5.6、ミュンヘン)がある。主な展示にスイスのFestival Images(2014年)、フランスのAix en Province Photo Festival(2015年)など。写真集に『C/M/Y』(Fw:books)、『BRANCH』(lemon books)がある。
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プールサイド|藤本和剛/新田君彦
¥1,760
SOLD OUT
発行 poolside books B6 変型 / 184P 大阪に生まれ、共に雑誌をつくってきたふたり。 今はそれぞれの道を歩く編集者とフォトグラファーによる、 大阪↔東京、文章↔写真の交換日記。 帯文寄稿:岸政彦(社会学者・作家) 「この街をよく知る男が書く日記は、にぎやかなのに、どこか寂しい。 大阪の街がにぎやかなのにどこか寂しいのと同じだ。 街を歩くように書かれた日記。 女性誌やブランドのビジュアルブックといった東京のファッションシーンで活躍するフ ォトグラファー・新田君彦。関⻄の名物雑誌『Meets Regional』の副編集⻑を⻑年務め、 編集・執筆を続けるエディター・藤本和剛。数限りない誌面を世に問うてきた大阪出身の 2 人が、写真と文章でつくる交換日記であり往復書簡が完成しました。 大阪で雑誌編集に苦闘する日々を綴った藤本の文章は、周囲の仲間や家族との心の交流 が丹念に書かれ、どこかに希望を感じさせるもの。文章と対になる新田の叙情的な写真 は、否応なく進む日常に気づきやうねりを与えます。日記本が全盛の昨今だからこそ、愛 蔵したくなる美しい一冊に。ブックデザインは京都の気鋭・仲村健太郎が担当。 <著者プロフィール> 藤本和剛/編集・文筆 www.instagram.com/kazutakafujimoto/ Twitter @fujimotokazu 1980年大阪生まれ。大学卒業後に出版社へ入社、月刊誌の副編集⻑として、特集企画・フ ァッションペ・広告制作に携わり、現在は雑誌・書籍・Web全般の制作を担当。各種トー クイベントやワークショップへの出演、他媒体への寄稿も多数。食文化や古典芸能といっ たクラシックなテーマからファッションまで、大阪を拠点に編集・執筆活動を行う。 新田君彦/フォトグラファー https://www.nittakimihiko.cc/ https://www.instagram.com/nittakimihiko/ 1977 年大阪生まれ。2005 年よりフォトグラファーとして活動を開始。2012 年東 京に拠点を移す。レディース、メンズ問わず、ファッション、ポートレートをメ インに活動。被写体に対する目線や距離感、空間覚や伝わる空気感は少しノスタ ルジーな優しい気持ちにさせてくれる。ストーリーが湧いてくるような世界観が 魅力。雑誌、カタログ、広告などを撮影し、近年は映像作品の制作も手掛ける。
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●サイン本 PORTRAIT OF AN ISLAND|Shinichiro Shiraishi
¥6,600
published by SELF PUBLISHING softcover 128 pages 195 x 290 mm color limited edition of 300 copies 2023 ベルリンを拠点に活動する日本人フォトグラファー、白石晋一朗による自身2冊目の作品集。 2019年の渡独以降、作者は自身の自然観の源流をたどり、無意識のうちにつくられた風景への触感をあきらかにしようとしてきました。 拠点を置くベルリンや旅先で訪れた土地で匿名性や共通性を持つイメージを収集し、人工物も自然物も同じように自然を形成するモノという考えのもと、 様々な写真的技法を通して風景写真にアプローチしています。本作は 2021年2月に1ヶ月滞在した「ある島」で撮影されたもので、作者が影響を受けてきた地理学者オギュスタン・ベルク氏の風景論の解釈を写真に引用し、 風景という被写体そのものが主体性のある「肖像」になりうることを示しています。 歪んでディティールを失った写像は作者の写真的特徴である匿名性を帯びながらも、きわめて写真的な瞬間性を保つことによって風景の獲得に成功しているのかもしれません。
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DISTANCES VOL.II|Romain Laprade
¥6,600
SOLD OUT
published by YVON LAMBERT softcover 92 pages 220 x 290 mm color 2022 フランス人フォトグラファー、ロマン・ラプラード(Romain Laprade)の作品集。2019年刊行『 DISTANCES』の続編。「Vogue Paris」や「Holiday」などの雑誌でグラフィックデザイナーとして活動し始めたが、15歳の時に感じた写真への情熱を捨てきれず写真家へと転向。機微に冨み観る者の好奇心を駆り立てる画面を作り出し、一見平凡で退屈なものの細部に焦点を当てることで作者独自のイメージへと昇華している。温かなトーンや構図の感性、自然光を利用したその作品は、Aesop や Rimowa、Mr Porter、Hermes、Isabel Marant など多くのブランドともコラボレーションを果たし、それぞれのブランドの魅力を写真で世に伝えて来た。本作では、モダニズム建築を被写体にすることで、自身の美的感覚や写真を用いた言語を通してその「線」や「面」を写した。心を落ち着かせるような細かな描写やミニマルな構成、とらえた光は、作者が直近の5年間で多くの写真を撮ることで得たものであり、詩的かつ絶妙な絵を作り出している。
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STUDY MAGAZINE VOLUME 03
¥6,600
published by STUDY softcover 136 pages 210 x 297 mm color, black and white 2023 ニューヨークを拠点に活動するフランス人編集者、作家、スタイリストのクリストファー・ニケ(Christopher Niquet)によるファッション&カルチャー誌。毎号一人のアーティスト、写真家、タレント、作家の意見や作品に焦点を当て紹介する。クリストファー・ニケは、これまでにカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)やクリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)、アンナ・モリナーリ(Anna Molinari)をはじめとしたデザイナーの舞台裏で働き、『ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)』誌の寄稿ライター、『エル・フランス(ELLE France)』誌のエディター、『セルフ・サービス(Self Service)』誌のスタイリストを務めた経験を持つ。 アートディレクションは『Self Service』の編集長、エズラ・ペトロニオ(Ezra Petronio)率いるクリエイティブエージェンシー「Petronio Associates」が手がける。ファッション、アート、本を愛する人たちのコレクターズアイテムとして毎号異なるデザインで企画されている。 第3号は、フランス人フォトグラファー、ロマン・ラプラード(Romain Laprade)に焦点を当て、そのレンズを通してセネガルの首都であるダカールの街を通観する。クリストファー・ニケは、 ロマン・ラプラードが創り出す構成的でありながらも伸びやかな作品に対し、長らく心を惹かれていた。2人は、ダカールの特定の建築物をプロジェクトのテーマとして決めるも、実りのないまま数ヶ月が過ぎ、街を探索することろから始めた。2022年夏、作者はダカールに数日間滞在し、自身が拠点とするパリにいる間に選んだ場所をまずは散策、徐々に直感に従い自分の足で街の魅力を掘り下げていき、何日もかけて建築物を撮影していった。その結果生まれたイメージは、建築的な奇跡や驚きに満ちた場所への静寂なオマージュとなった。本号において作者は、建物や個人邸宅のファサードなど、西アフリカの大都市が持つ折衷的な美しさを捉え、常に進化し続ける都市、歴史と美しさに溢れたこの場所を情緒的かつ抽象的なポートレイトとして描いている。 本作はパリのギャラリー「イヴォン・ランベール(Yvon Lambert)」で開催される展覧会に伴い刊行、100ページに渡りダカールを魅せている。 また、パリを拠点として活動するファッション/ポートレイトフォトグラファーであるジュリアン・マルティネス・ルクレール(Julien Martinez Leclerc)と、スタイリストでありファッションエディターのシャーロット・コレット(Charlotte Collet)が、セネガル系ディアスポラ出身のパリジャン達にスポットを当て、36ページのファッション・ストーリーをモノクロ写真で写し出している。 コントリビューター:シャルロット・コレット(Charlotte Collet)、ジュリアン・マルティネス・ルクレール(Julien Martinez Leclerc)、ゾーイ・ラフナー(Zoe Ruffner)
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SATURATED LIGHT|Wolfgang Tillmans
¥8,250
published by WALTHER KÖNIG hardcover 416 pages 250 x 250 mm color 2021 現代美術界で重要な賞の一つである「ターナー賞」を2000年に受賞し、ロンドンとドイツを拠点として活動するドイツ人フォトグラファー、ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)の作品集。作者は30年近く制作し続けている代表作「Silver」を通じて新たな抽象写真の世界を創造してきた。本シリーズは、1990年代より作者が手がけている作品であり、フィルムは使わずに光や感光乳剤を用いて印画紙を直接させて制作されている。写真のプロセスの限界や表現の可能性について考察し、強制的に拡張したこのシリーズが今回初めてアーティストブックとして出版。作者はこれらの作品を「まるでソリッドカラーのように汚れていて、不純で、鮮やかで、不安定で、くたびれていて、とらえどころがなく、不鮮明で、煌めいている」と描写している。 各作品のイメージに加え、2013年にドイツ・デュッセルドルフ「K21」でのインスタレーションの一要素として使われた際の様子や、Tate Britain(2003)、ベネツィアビエンナーレ(2009)、ブリュッセル「WIELS」(2020)で行われた「Silver」単体のインスタレーションビューなど、展覧会という空間に置かれた「Silver」シリーズのイメージも収録。 芸術理論家トム・ホラート(Tom Holert)はエッセイの中で、このシリーズが投げかけている哲学的、美学的、物質的な問いと、この作品が存在することで展示空間に出現する、イメージによって語られるプロセスについて論じている。作者とフォトエンジニアのクラウス・ポールマイヤー(Klaus Pollmeier)との対話では、制作過程で無数に起きている技術的な操作や観察、偶然あるいは意図的なアクシデントについて詳しく語られている。
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靄を漕ぐ - Row the Haze -
¥3,500
SOLD OUT
品番:FETE-007 タイトル:靄を漕ぐ - Row the Haze - アーティスト:Sakanoshita Norimasa, the sleeping beauty & Atsushi Hamada 植物標本:はいいろオオカミ+花屋 西別府商店 写真 & 映像:Akihiro Yamaguchi アートワーク:Akihiro Yamaguchi フォーマット:国内盤CD 特装版ブックレット仕様 (全32ページ) 人生は、まるで靄に包まれた舟のようである。 進むべき方向を見失い踠くかもしれないし、 その先で希望に満ちた未来が開けるかもしれない。 其々が静かに舟を走らせ、 今日もこの素晴らしき世界を彷徨う。 灯火のように寄り添う温かな調べを連れて、 自らの櫂で、靄を漕ぐ。 Text : 濱田 敦司 (MANSIKKA antiques) 〈 Track List 〉 01. through the mist 02. glacis 03. parts of imperfection 04. empty playground-part.1 05. ruiten 06. a rest
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明るい部屋 新装版|ロラン・バルト
¥3,080
発行 みすず書房 訳者 花輪光 判型 四六判 頁数 194頁 定価 3,080円 (本体:2,800円) ISBN 978-4-622-04905-0 発行日 1997年6月 6日 《狂気をとるか分別か? 「写真」はそのいずれをも選ぶことができる。「写真」のレアリスムが、美的ないし経験的な習慣(たとえば、美容院や歯医者のところで雑誌のぺージをめくること)によって弱められ、相対的なレアリスムにとどまるとき、「写真」は分別のあるものとなる。そのレアリスムが、絶対的な、始源的なレアリスムとなって、愛と恐れに満ちた意識に「時間」の原義そのものをよみがえらせるなら、「写真」は狂気となる》(ロラン・バルト) 本書は、現象学的な方法によって、写真の本質・ノエマ(《それはかつてあった》)を明証しようとした写真論である。細部=プンクトゥムを注視しつつ、写真の核心に迫ってゆくバルトの追究にはまことにスリリングなものがある。 本書はまた、亡き母に捧げられたレクイエムともいえるだろう。私事について語ること少なかったパルト、その彼がかくも直接的に、母の喪の悲しみを語るとは! 本書は明らかに、著者のイメージ論の総決算であると同時に、バルトの『失われた時を求めて』となっている。《『明るい部屋』の写真論の中心には、光り輝く核としての母の写真の物語が据えられている》(J・デリダ)
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私、写真を放棄することは、全く不可能です|大竹昭子
¥1,100
SOLD OUT
発行 カタリココ文庫 発行日 2023年7月15日 頁数 80ページ 定価 1100円(税込価格) 編集協力 綾女欣伸 大林えり子(ポポタム) 大西香織 装幀+組版 横山 雄 表紙写真 大竹昭子 本文写真 中平卓馬 カタリココ文庫12号は、写真史上、稀にみる生き方を遂げた中平卓馬について書いた大竹昭子の随想録です。中平は1960年代、「写真家になる」と自ら宣言することで編集者から写真家に転向しました。カメラの扱い方や暗室作業を教えたのは彼と同世代の森山大道で、ふたりはブレボケ写真で既成の写真表現に異議を唱え、同人誌『プロヴォーク』でも活動を共にしましたが、1973年以降、中平はブレボケ写真を否定し、対象をはっきりと写しとる「植物図鑑のような写真」を提唱します。 その実践に踏み切ってまもなく、中平は記憶喪失と言語障害を患い、かつてのように先鋭的な言葉で写真を論ずることはできなくなりました。結果として、彼の写真活動はかつてないほど活発になり、2015年に77歳で他界するまで約40年にわたり、日々写真を撮ることのみに没頭したのです。 本書は、大竹昭子が著作『眼の狩人』のなかの「記憶喪失を生きる神話の人」と「中平卓馬の沖縄撮影行」、および前掲書の増補版として出した『彼らが写真を手にした切実さを』に収録した「中平卓馬の写真家覚悟」の三つの原稿に加筆し、再構成したものです。 記憶喪失を患って以降、中平は大きな生の不安を抱えており、写真と関わることでその不安を乗り越えました。ひとりの人間と写真の切実な関係を感じとっていただければさいわいです(大竹昭子)。