-
百年と一日|柴崎友香
¥792
ちくま文庫 解説 深緑野分 792円(税込) Cコード:0193 整理番号:し-49-2 刊行日: 2024/03/07 ページ数:240 ISBN:978-4-480-43943-7 JANコード:9784480439437 学校、家、映画館、喫茶店、地下街の噴水広場、島、空港…さまざまな場所で、人と人は人生のひとコマを共有し、別れ、別々の時間を生きる。屋上にある部屋ばかり探して住む男、戦争が起こり逃げて来た女と迎えた女、周囲の開発がつづいても残り続ける「未来軒」というラーメン屋…この星にあった、誰も知らない34の物語。1篇を増補し、待望の文庫化。 柴崎 友香(しばさき・ともか):1973年大阪生まれ。2000年に第一作『きょうのできごと』を上梓(2004年に映画化)。2007年に『その街の今は』で藝術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、2010年に『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞(2018年に映画化)、2014年『春の庭』で芥川賞を受賞。他の小説作品に『続きと始まり』『待ち遠しい』『千の扉』『パノララ』『わたしがいなかった街で』『ビリジアン』『虹色と幸運』、エッセイに『大阪』(岸政彦との共著)『よう知らんけど日記』など著書多数。
-
目をあけてごらん、離陸するから|大崎清夏
¥1,650
発行 リトルモア 装画:CourtneyKnight(CourtneyKnight.com.)“Travelingforpleasure” 装幀:佐々木暁 仕様 四六判変形 並製 (天地180mm x 左右103mm x 束幅14mm) / 216ページ / 188g 発売日 2022年11月05日 ISBN / Cコード 978-4-89815-567-7 / C0095 定価 1,650 円(本体 1,500 円+税) 穂村弘さん絶賛! 「驚くべき希望の書。 頁を開くと、無表情な自分の胸に何かが熱く流れ込んできた。 その優しさとめちゃくちゃさに、びっくりして笑ってしまいました。 そうか、私も、どこで何をしてもいいのか。」 (オビ文より) - - - あなたの言葉よ、どうか無事で──。 会社を辞め、身ひとつで詩を書いて生きることにした。 地球のあちこちで、言葉に翻弄されて立ち尽くし、言葉に勇気づけられて歩き出す。 中原中也賞受賞の詩人が、小説とエッセイで描く“魂の解放”。 一日の終わり、テラス席で深呼吸をして書きはじめる。/映画祭で来日した大スターの、通訳のあの子の涙。/元同僚の本棚に『フラニーとズーイ』を見つけたら。/海外の詩祭に参加し、エネルギッシュな詩人たちに刺激を受ける。/友人のダンサーに「一緒にメコン川を眺めよう」と囁かれ、ラオスのフェスティバルへ。/象形文字の故郷を見てみたくなって広州へ。/ベルリンで恋した古書店で詩の朗読会をしたいと申し出る。/旅先ですっかり山の虜になる……。 あちこちで出会いに胸を熱くした瞬間を書く。書くことであたりまえの自分でありつづける。 詩的な小説と散文、旅のエッセイを編みこんだ、大崎清夏の親密で、自由で、喚起力ゆたかな言葉と物語に親しむ一冊。 心に火を灯す言葉の、詰め合わせギフト。 〈初の小説!傑作3篇を収録〉 ~ ~ ~ ~ ~ 誰かのことばで覆い尽くされた世界は息苦しいけれど、私たちは流転のなかにいるのだから、 きっと雲が晴れるようにそこここでことばは欠け、ことばの意味もあちこちで欠けて、風が入ってくるはずだ。 その風について正確に書き記すことができたら、もしかしてそれは詩なのかもしれない。 (「意味の明晰な欠け方について」より) ~ ~ ~ ~ ~ [プロフィール] 大崎清夏(おおさき さやか) 1982年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。 2011年、ユリイカの新人としてデビュー。第二詩集 『指差すことができない』で中原中也賞受賞。 著書には詩集『地面』(アナグマ社)、『新しい住みか』(青土社)、『踊る自由』(左右社)、絵本『うみの いいもの たからもの』(山口マオ・絵/福音館書店)ほか。 ダンスや音楽、美術といった他ジャンルとのコラボレーションも多数手がける。 ロッテルダム国際詩祭をはじめ世界各地の 国際詩祭への参加を通じて出会った海外現代詩の翻訳・紹介を少しずつ推し進めている。
-
優しい女|ニンチ
¥2,200
SOLD OUT
発行 守屋商店 発行者:東万里江 装画:橋上知里 装丁:清水紗良 印刷所:イニュニック 小B6判(112mm×174mm) 並製本 スリーブケース入 本文224P 別冊付 2020年11月から2023年1月まで、友人のとある女性に継続してインタビューをおこないました。 その一部は『東京の生活史』『大阪の生活史』(筑摩書房)に収録されています。 インタビューを続けるあいだ、私と友人それぞれにさまざまな出来事があり、私たちの関係にもゆるやかな変化が起きました。 本書は語り手の友人が書いた小説と未収録のインタビューをまとめたものです。 ********************************************** 「のんちゃん」は大阪生まれ、図書館司書、40歳。 好きなものはソフィア・コッポラと任侠映画。 孤独は最高。 優しい女でいるためには孤独であらねばならぬ。 ********************************************** 児童文学をこよなく愛し、学校図書館で働く「のんちゃん」。ある日、理不尽な理由で職場をクビになってしまった「のんちゃん」は、同僚の保坂さんからもらった古いノートパソコンで身体から湧き上がる力強い言葉を書き留めはじめました。子ども時代のこと、家族のこと、別れたパートナーのこと、東京で暮らすこと。そして書くことを通して母親への複雑な感情を見つめるうち、やがて母もまた孤独な少女時代を過ごしたひとりの女性であることに辿り着きます。 時には散文とも詩ともつかない言葉の連なりはエネルギーに満ち、ユニークな「のんちゃん」はとても魅力的です。傷も苦しみも自身のものとして生きていく姿は、容易な共感や理解を寄せつけない孤高の美しさがあります。生きることを諦めないでどうにか顔を上げている人へ届けたい、と作者が語る本書はそれぞれの人生をやっていく私たちの背中にそっと手を当ててくれる存在になるはずです。 【目次】 わたしの終のすみか のんちゃんへのインタビュー① おっぱいの木 のんちゃん 墓は恥で溢れかえっている のんちゃんへのインタビュー② サントリーのウーロン茶 のんちゃんへのインタビュー③ 黄色い猫の幽霊 のんちゃんへのインタビュー④ 塩からいジャム 【別冊】 編集担当による制作メモ
-
スティル・ライフ|池澤夏樹
¥594
中公文庫 初版刊行日 1991/12/10 ページ数216ページ 定価594円(10%税込) ISBNコードISBN978-4-12-201859-4 ある日ぼくの前に佐々井が現われ、ぼくの世界を見る視線は変った。しなやかな感性と端正な成熟が生みだす青春小説。芥川賞受賞作。〈解説〉須賀敦子
-
たんぱく質|飴屋法水
¥3,520
発行 palmbooks 発売日 2024/03/23 ページ数 144p 判型(実寸) 154mm × 154mm ISBN 978-4-910976-02-0 なぜか生きている 私は 私が 生と死、獣と人、食べること、殺すこと、めぐりゆく記憶 この地球に生まれ、やがて去っていく、私のすがた、この世のはなし 「生」の根源を見つめる演劇作家の集大成! 志賀理江子が、飴屋法水の小説にむけて撮り下ろした写真 およそ30点が全編をとおして織りなされる あたらしい小説体験 「人という生き物は、どうして生まれて来たのだろうか 生まれて来る、生まれて来たこれに、いろいろな何かが詰まっている これをどうしてほしいと思うのだろう 誰かに、他人というものに 誰とどのように関わりたくて、この体には、こんないろいろが詰まったのか これが、こんな体が、形成されたのか いろいろな、たんぱく質とかで 焦げるとあの匂いのするたんぱく質とかで」 著者略歴 飴屋法水【著】 1961年山梨県生まれ、東京都在住。演劇、美術、文筆を中心に、領域を横断しながら一貫して、人間の「生」の根源を見つめる独自の表現をおこなう。高校在学中、唐十郎の「状況劇場」に音響担当として加わり、83年「東京グランギニョル」を結成、演出家として独立。90年代は主に現代美術の分野で活動。その後、動物商となり、2005年「バ ング ント」展で美術活動を、07年「転校生」で演劇活動を再開。以来、フェスティバル・トーキョー、国東半島芸術祭などに参加。東日本大震災後、いわき総合高校の生徒たちとともに校庭で「ブルーシート」を上演。主な著書に『君は珍獣(ケダモノ)と暮らせるか?』『ブルーシート』『彼の娘』がある。
-
名付けたものどもを追う 道筋を歩きながら、|仲西森奈
¥2,200
ショートスパンコールvol.2 発行 さりげなく 著者 仲西森奈 編集 わかめかのこ 装丁 古本実加 印刷 三省堂印刷 仲西森奈の連作掌編小説。ショートスパンコールシリーズは全20巻を約20年かけて刊行予定。9つのストーリーラインが相互に絡み合ったり、離れたり。全部読んでもよし、途中から読んでもよし。生活、人の数だけ物語や作品があって、生まれるものもなくなるものも、ある。 タワーマンションの清掃員はどこかのだれかのカーセックスを書き続ける。未来は懐かしくて、自転車は漕がれて、モノは盗まれて、サモトラケのニケのぬいぐるみは今日も抱きしめられている。あらゆる一人称。インターネットの片隅。ロッテリアの喫煙席。地に足のつかない男たち。はじめて飲んだお酒。抽出されたコーヒー。ある人間の愉快な一年。そのなんやかやと、それ以外のなんやかやが、交錯して錯綜して頻繁に脱線する。 ----- 仲西 森奈 1992年、双子座生まれ。東京都新宿区、杉並区、千葉県松戸市、船橋市、京都府京都市左京区、北区などを経て、石川県金沢市在住。小説、短詩、エッセイ、朗読などの形を用いて、言葉とそれ以外を扱う。著書に『起こさないでください』『そのときどきで思い思いにアンカーを打つ。』(共に出版社さりげなく)、『日記』(私家版)。その他の活動に、音楽グループ□□□契約社員、朗読バンド筆記体など。
-
●サイン本 生きる演技|町屋良平
¥2,475
SOLD OUT
発行 河出書房新社 単行本 46変形 ● 368ページ ISBN:978-4-309-03177-4 ● Cコード:0093 発売日:2024.03.14 定価2,475円(本体2,250円) 家族も友達もこの国も、みんな演技だろ――元「天才」子役と「炎上系」俳優。高1男子ふたりが、文化祭で演じた本気の舞台は、戦争の惨劇。芥川賞作家による圧巻の最高到達点。 かれはこの場のぜんぶを呪っている。 それを才能といってもいい。 そして演じるちからに変えている。 「最高に読み応えがあり、かつ唯一無二の印象がある。時代のフロンティアに刺さっている。」――古川日出男(朝日新聞文芸時評) 「間違いなく、作家・町屋良平のキーとなる作品」―山﨑修平(週刊読書人文芸時評) 本心を隠した元「天才」子役・生崎(きざき)と、空気の読めない「炎上系」俳優・笹岡(ささおか)。性格は真逆だが、同じように親を憎み、家族を呪い、そして「家族を大事に」というこの国が許せない。互いの本音を演じあうふたりはどこへ向かうのか――? 「今この国の空気」を生きるすべての人へ問う衝撃作! 「デビューから7年のすべてを投じました」――町屋良平 著者 町屋 良平 (マチヤ リョウヘイ) 1983年東京都生まれ。2016年『青が破れる』で第53回文藝賞を受賞しデビュー。19年『1R1分34秒』で芥川賞を受賞。22年『ほんのこども』で野間文芸新人賞を受賞。他の著書に『恋の幽霊』など。
-
浅生鴨短篇小説集 三万年後に朝食を
¥2,090
SOLD OUT
発行 左右社 定価 2,090 円(税込) 刊行日 2023年10月31日 判型/ページ数 四六判 並製 352ページ ISBN 9784865283877 Cコード C0095 装幀・装画 名久井直子/装幀、ナミサトリ/装画 「天才的な実験小説じゃないか!」 「ダメです。それじゃ売れません」 (表題作『三万年後に朝食を』) ベテラン作家と編集者の言い争いに登場人物まで乱入してきて……創作をめぐるメタノベル『三万年後に朝食を』ほか、この世のおかしさが愛おしくなる五〇篇! 物語の結末は、著者にもわからないーー浅生鴨
-
夏みかんの午後|永井宏
¥2,200
発行 信陽堂 B6変 縦177mm 横117mm 厚さ14mm 重さ 210g 176ページ 上製 価格 2,000円+税 ISBN978-4-910387-06-2 初版年月日2023年9月29日 美術作家であり、エッセイや詩を数多く残した永井宏さんは、数編の愛すべき小説も残していました。本書は2001年にサンライト・ラボから出版されて以来、静かに読まれ続けてきた作品の復刊です。主人公は何かが始まる予感を胸に、東京を離れ海辺の町、葉山で暮らしはじめたばかりのフードスタイリスト、志田エリ31歳。大都市と郊外、何かに追いかけられるような時間と、手を動かし、ものを作るささやかな生活……自分の価値観を誇りに海辺に暮らす人々と出会い、少しずつ解放され新しい時間を生きはじめた女性の姿を描く短編小説。「砂浜とボート」を併録。初版から20年以上の時を経て、なおこころに響く海辺のフォークロアです。 巻末には永井さんのワークショップに参加していた小栗誠史さんのエッセイを収録。
-
草の上の朝食|保坂和志
¥880
中公文庫 初版刊行日 2000/11/22 ページ数 296ページ 定価880円(10%税込) ISBN978-4-12-203742-7 猫と、おしゃべりと、恋をする至福に満ちた日々を独特の文章で描いた、『プレーンソング』続篇。夏の終わりから晩秋までの、至福に満ちた日々。
-
東山道エンジェル紀行|町田康/寺門孝之
¥1,980
発行 左右社 定価 1,980 円(税込) 刊行日 2021年09月15日 判型/ページ数 四六判 並製 102ページ ISBN 978-4-86528-016-6 Cコード C0093 装幀・装画 秋山伸+宮原慶子/装幀、edition.nord/装幀 寺門孝之の絵画から、町田康が物語を紡ぐ。 絵画と物語の融合を体現した造本も美しい、奇跡のような一冊。 「俺は生涯、死ぬまで追放者だ」 郷里を追い放たれた《追放者》たる俺は、生涯続く、目的地のない不毛な旅路を行く。軽発や案内侍に監視されながら、止まることを許されない俺を待ち受ける奇妙な出会い──泣き女、人虎、水中舞踏家、音楽女王、etc. 不毛な旅路の果てに《追放者》が見出した光景とは──。 絵画から着想を得て誕生した傑作パンクファンタジー!
-
遠くの街に犬の吠える|吉田篤弘
¥814
ちくま文庫 814円(税込) Cコード:0193 刊行日: 2020/09/10 ページ数:256 ISBN:978-4-480-43691-7 差し出した掌へはらはらと舞い降りてくる白い小さな花びらのようなものは、萬年筆の青インクがにじんだ文字の断片をのせた、ちぎれた便箋だった―消えゆく声、届かなかった言葉、過去の音、コーヒー、古びたビルディング、屋上…いくつもの偶然によって織りあげられる吉田篤弘の世界。秘められた恋と、ささやかな冒険のものがたりが始まる。著者による解説「遠吠えの聞こえる夜」収録。 吉田 篤弘 1962年東京生まれ。主な著作に『つむじ風食堂の夜』『針がとぶ Goodbye Porkpie Hat』『百鼠』『空ばかり見ていた』『78ナナハチ』『小さな男*静かな声』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『圏外へ』『パロール・ジュレと紙屑の都』『水晶萬年筆』『モナ・リザの背中』『電氣ホテル』『ソラシド』『レインコートを着た犬』などがある。小説を執筆するかたわら、クラフト・エヴィング商會名義による著作と装幀の仕事も行なっている。
-
palmstories あなた
¥1,980
SOLD OUT
発行 palm books 定価 1800 円+税 152 ぺージ A6 変形判 ハードカバー ちいさな単行本サイズ 津村記久子さん、岡田利規さん、町田康さん、又吉直樹さん、大崎清夏さんの5人の書き下ろし掌篇が、てのひらサイズのちいさな単行本で楽しめる一冊。 表紙はベージュの紙クロス(布地のようなエンボス加工)に白い箔押しでタイトル・著者名ほかを入れて、アイボリー色の幅広帯をまいたつくりになっています。 あなたが私に寄越してくれたさまざまな物が、 もしその時に手に入らなかったとしたらと考えると、 ちょっと恐ろしいなという気がしてくる。 津村記久子「六階を見習って」 此の度は機会を与えてくれてありがとう。 本当に感謝している。(...) そんな僕がつい、本当に、と書いてしまったのはマジで貴殿に感謝しているからだ。 町田康「言ひ譯」 あなたは引っ越してきたばかりの街を一人で歩いている。 又吉直樹「行列」 岡田利規「一月、生暖かい月曜日の午後のこと」 大崎清夏「眼鏡のバレリーナのために」
-
VACANCES バカンス 1
¥1,200
SOLD OUT
リトルプレス 編集・発行|原航平+上垣内舜介 デザイン|岸田紘之 A5変形(W135mm×H220mm)、本文86ページ 2022年11月20日発行 「心のバカンス」を追い求める独立系カルチャー雑誌。創刊号では編集発行人が好きな人や気になる人に寄稿を依頼し、エッセイから現代川柳、怪談、旅行記、マンガ、小説まで極めて多彩な表現が集まりました。今泉力哉さんによる短編小説や小説家・島口大樹さんのエッセイなど、貴重なテキストも収録しています。 また、定期的にイベントを開催しているミュージシャンの夏目知幸さん×高橋翔さんや、『M-1 2022』3回戦の動画でも話題の忘れる。へのインタビューを実施。巻末では私たちバカンス編集部が、「これぞバカンス」という映画や音楽をレビューしています。 せわしない日々の中で、一度立ち止まって物事を考えられるような「余白」を生む、そのきっかけとして存在する雑誌です。 ■目次 <インタビュー> 夏目知幸×高橋翔|つかずはなれずの距離感で 僕らのまんじがためは続く 忘れる。|伝染していくトランス状態 <寄稿> 島口大樹|僕の生活 [エッセイ] 暮田真名|仮着陸 [現代川柳] 深津さくら|つれかえる [怪談] kiss the gambler|沖縄旅行記 [旅行記] ナカムラミサキ|ハイ・シティ [マンガ] 今泉力哉|グレースケール [小説] <巻末コラム> 原航平|多幸感 起き抜けに 上垣内舜介|電気イルカはポルトヨーロッパの夢を見るか 森美和子|くらげ 僕らのバカンス特集(編集部がレコメンドする、バカンスを描いたカルチャーたち) 表紙イラスト|中山望 -------------------- ■はじめに せわしない心にバカンスを 「なる早でお願いします」。 仕事のメールの中にこの一文が紛れ込んでいるとき、僕はいつも数秒間フリーズし、そのあと何事もなかったかのようにメールを打ち返す。でも、その度に実はひどく気分が落ち込んでいる。急かされている。自分の時間の使い方に、この人は一方的に干渉しようとしてきている。そこに拒絶を覚えるから。でも、そもそも仕事というのはそういうものだ。時間を使ってお金をもらう。それに適応できないと、社会で生きていくことはできない。それは受け入れているのだけど、どんなときでも心に余裕を持って生きたいと望むのは、果たしてわがままなことなのだろうか。 フランスという国には「バカンス」という夢のような文化があるということを、僕はエリック・ロメール監督の『海辺のポーリーヌ』やギヨーム・ブラック監督の『女っ気なし』という映画を観ていく中で知った。みんながみんな、夏になると約1か月間の有給休暇を消化して、リゾート地などへ旅行に出かけるらしい。純粋に羨ましいと思いつつ、一方でそんな長い期間、一体何をして過ごすのだろう。そう思って調べてみると、彼らは観光をしたり海で泳ぎまくったりしているというよりは、「散歩」や「ただ海辺で寝そべる」ことを重要視して自分の時間を大事にしているという。フランス語のvacance(複数形がvacances)にもともと「空白」や「頭を空っぽにする」という意味があるように、そこには、何も特別なことをしないからこそ得られる豊かな時間があるのだろうと、僕は遠い国から勝手に想像している。そういう時間や心のあり方を、僕も日々の生活で大事にしたいと思う。僕にとっての心のバカンスは、休日に朝早く起きて映画館で一本映画を観て、おいしいごはんを食べてから昼下がりはカフェで本を読み、夕方になったら銭湯へ行って子どもを連れたお父さんを眺めながら身体を洗い、夜にはしっぽりお酒を飲む、そんななんてことない生活にこそ宿っている。フランスのバカンスからしたらいろいろやりすぎかもしれないが。 そんなことをぼんやりと考えながら、見切り発車で始めたこのZINE制作。僕たちがいま話を聞いてみたい人に取材をしに行き、心にバカンスをもたらしてくれそうなさまざまな分野の方々に寄稿を依頼しました。この小さな本が、あなたのささやかなバカンスになることを願っています。(原航平)
-
子午線を求めて|堀江敏幸
¥1,925
講談社文芸文庫 発売日 2019年08月10日 価格 定価:1,925円(本体1,750円) ISBN 978-4-06-516839-4 判型 A6 ページ数 304ページ フランスで長らく経度の基準とされてきた、パリ子午線。敬愛する詩人ジャック・レダの文章に導かれて、その痕跡をたどりながら、「私」は街をさまよい歩く。パリの郊外が抱え込む闇を抉り出したセリーヌやロマン・ノワールの書き手たちへの眼差し。断章で鮮やかに綴るエルヴェ・ギベールの肖像……。著者の作家としての原点を映し出す、初期傑作散文集。
-
書かれる手|堀江敏幸
¥1,925
講談社文芸文庫 発行 講談社 発売日 2022年09月12日 価格 定価:1,925円(本体1,750円) ISBN 978-4-06-529091-0 判型 A6 ページ数 302ページ 敬愛する作家たちを描く、著者の原点となる散文集。 デビュー作となったユルスナール論に始まる十数年の思索の軌跡。 須賀敦子、長谷川四郎、島尾敏雄、山川方夫……、 「言葉と言葉、他者と他者とのあいだをすり抜けていくか細い線への、 つまり本質に触れそうで触れない漸近線への憧憬を失わない書き手」として私淑する十二名の作家の物語。
-
銭湯|福田節郎
¥1,760
発行 書肆侃侃房 四六判上製、224ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN978-4-86385-577-9 C0093 装丁:加藤賢策(LABORATORIES) 読む/書くを通して、人は自由にどこにでも行かれる。 言葉にはこんなことができるのだし、言葉にしかこんなことはできない。 見事な文章体力の、風通しのいいチャーミングな小説。 ーー江國香織(小説家) 呆れ返ること必至! 笑っちゃうこと不可避!! なのにグッときちゃうこの不思議!!! 新人はヘンテコなくらいがちょうどいい。 人間は少しダメなくらいがちょうどいい。 生き方はゆるいくらいがちょうどいい。 だから福田節郎の小説は、すごくいい。 ーー豊﨑由美(書評家) 【あらすじ】 知り合いから頼まれて顔も知らない人と待ち合わせをする羽目になった俺(水上)。この人と思ったキザキさんは別の男と去ってゆき、代わりに現れたサカナさんに誘われるままに不思議な居酒屋で飲み明かし、まさに迷宮にはまり込んでゆく、心理的ロードムービーのような作品。ほかに書き下ろし「Maxとき」も収録。 【著者プロフィール】 福田節郎(ふくだ・せつろう) 1981年神奈川県生まれ。「銭湯」で第4回ことばと新人賞受賞。
-
VACANCES バカンス 2
¥1,200
SOLD OUT
リトルプレス 編集・発行|原航平+上垣内舜介 デザイン|岸田紘之 協力|もりみわこ 182 x 117 mm 160ページ 2023.5.21 テーマ やさしいともだち 表紙イラスト|大白小蟹 【雑談】 澤部渡(スカート)×蓮見翔(ダウ90000) 【インタビュー】 杉田協士 安藤奎(劇団アンパサンド)×佐久間麻由(爍綽と) 栗原×テリー 【寄稿】 福富優樹(Homecomings) ゆっきゅん 【マンガ】 カウ・リバー 夕暮宇宙船 【編集部】 上垣内舜介|フレンズ・アゲイン 原航平|幸先のいい夜 もりみわこ|台所から オタ朋鼎談 「やさしいともだち」に関するカルチャーレビュー(本や映画9作品)
-
ポール・ヴァーゼンの植物標本|ポール・ヴァーゼン/堀江敏幸
¥2,200
発行 リトルモア 企画:飯村弦太(ATLAS) 撮影:加瀬健太郎 装幀:黒田益朗 定価:本体価格2000円+税 ISBN 978-4-89815-561-5 2022年発行 仕様[四六変型/148ページ(うちカラー112ページ)/上製] 美しい標本と、 胸をしめつける堀江敏幸の 掌編との二重奏。 [ 堀江敏幸書き下ろし「記憶の葉緑素」所収 ] - - - 1世紀の時を経てなお残る、花々のかすかな色。 指先の気配――。 南フランスの蚤の市の片隅に置かれた小さな箱。 中には100枚ほどの花の標本がひっそりと収められていました。 まるで絵を描くように、枝葉や花片がていねいに台紙に配置され、ごく小さな薄紙で留められている、あまりに美しい植物標本の数々……。 遠い昔、見知らぬ異国の女性が、スイスとフランスの国境近くの山や草原で花を摘み、手を動かしてていねいに作った標本から、想像をめぐらせ、記憶を辿ること。 かつて生きていたものたちの息づかいが聞こえてくる奇跡――。 *植物標本95点収録 *採取地と学名、和名の索引つき [プロフィール] ●堀江敏幸(ほりえ・としゆき) 作家・フランス文学者・早稲田大学文学学術院教授。 著書『おぱらばん』『雪沼とその周辺』『河岸忘日抄』『なずな』『その姿の消し方』『音の糸』『曇天記』『定形外郵便』など多数。 ●飯村弦太(いいむら・げんた) 東京都文京区湯島の古道具店「ATLAS」店主。 → https://www.atlas-antiques.com/
-
短編集 ヘンルーダ|松岡千恵
¥1,760
発行 岬書店 仕様:四六判変形 チリなし上製 176ページ 発売日:4月27日 女の子たちを描いた、生々しくて、美しくて、はかない世界。 著者の松岡千恵さんは丸善ジュンク堂書店に勤めています。同店のPR誌「書標」に評論を寄せられたことはありますが、岬書店より今回刊行するのは短篇集です。 丸善ジュンク堂書店と思われる書店を舞台にした「備品奇譚集」や、四人の姉妹の不思議な関係 を描く「レーテー」、女の子たちの友情を描く傑作「ヘンルーダ」など、5編を収録します。 間違いなく現実の身近な世界を描いているだけれど、どこかたよりなく、いつも現実ではないものが映り込む松岡さんの世界は唯一のものです。 「昔から年寄りがよく言う、ある存在。一日の始まりと終わりに繰り返し見つめるもの。 年が替わる澄んだ空気の朝や、もしくはむせかえるような夏の宵、桜が散りゆく雨の午後にひときわ、香り立つもの。「守り神」と呼ばれたものについて考えるとき、なぜだか彼女の姿が私の頭に、思い浮かぶのだ。」 松岡さんの小説を読んでいると、そのたびに驚きがあり、小説っていいな、と思います。装画、挿絵は山口法子さん。「私は書店員としての松岡さんに全幅の信頼を置いているが、知人としては相変わらず「謎」の人であり、更に今後はそこに『変な物語を書くひと」という新たな属性(?)が加わった。」と巻末に解説を寄せてくださったのは佐々木敦さん。「チリなし上製本」という珍しい仕様で、持っていてうれしくなる1冊です。
-
アヒル命名会議|イ・ラン
¥1,980
斎藤 真理子 訳 発行 河出書房新社 単行本 B6変形 ● 284ページ ISBN:978-4-309-20814-5 ● Cコード:0097 発売日:2020.11.21 神「お前、なんで生きとる?そんなことで次の天地創造までやっていけると思うのか?」――仕事、友だち、家族、恋人、性別、神様…新時代の自由を拓く稀代のアーティスト、待望の初小説集。後藤正文氏推薦 詩、戯曲、小説、随筆、そして音楽。 誠実に、ユーモラスに、自分らしくそれらを行き来すること。 僕はイ・ランに憧れている。 ーー後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) ソウル全域を食人ウィルスが襲う。その時、若い男女と一匹の猫はーー。(「いち、にの、さん」) かっとしやすく偏屈な神のもと、動植物や自然現象を創造する天使たち。(「アヒル命名会議」) ゾンビ映画のエキストラ出演画像がSNSでバズり、突然有名になった気弱な俳優の切実な叫びとはーー。(「手違いゾンビ」) すべてをゼロから問いなおす、13の物語。 著者 イ・ラン (イ,ラン) 1986年ソウル生まれ。シンガーソングライター、エッセイスト、作家、イラストレーター、映像作家。著書に小説『アヒル命名会議』、エッセイ『悲しくてかっこいい人』『話し足りなかった日』など。 斎藤 真理子 (サイトウ マリコ) 翻訳家。訳書にチョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』、チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』、ペ・スア『遠きにありて、ウルは遅れるだろう』ほか。著書に『韓国文学の中心にあるもの』ほか。
-
小島|小山田浩子
¥2,090
発行 新潮社 発売日:2021/04/28 装幀 PHILIPPE WEISBECKER 畳|TATAMI 2016/装画、篠あゆみ/撮影、新潮社装幀室/装幀 判型 四六判 頁数 348ページ ISBN 978-4-10-333644-0 定価 2,090円 当たり前の風景、繰り返される日常の営み。それが世界をかすかに震わせる。 豪雨災害に見舞われた農村にボランティアとして赴いた私がふと目にした、花の世話をする住人らしき女性。その周りだけ、違う時間が流れていて――被災地、自宅、保育園といったさまざまな場所で出会う何気ない出来事をつぶさに描いた中短篇の他、広島カープをめぐる奇談連作も収録。海外でも注目を集める作家の最新作品集。
-
きみだからさびしい|大前粟生
¥1,650
SOLD OUT
発行 文藝春秋 判型・造本・装丁: 四六判 軽装 並製 ISBN: 978-4-16-391502-9 初版奥付日: 2022年02月25日 町枝圭吾、24歳。京都市内の観光ホテルで働いている。 圭吾は、恋愛をすることが怖い。自分の男性性が、相手を傷つけてしまうのではないかと思うから。 けれど、ある日突然出会ってしまった。あやめさんという、大好きな人に――。 圭吾は、あやめさんが所属する「お片付けサークル」に入ることに。他人の家を訪れ、思い出の品をせっせと片付ける。意味はわからないけれど、彼女が楽しそうだから、それでいい。 意を決した圭吾の告白に、あやめさんはこう言った。 「わたし、ポリアモリーなんだけど、それでもいい?」 ポリアモリーとは、双方公認で複数のパートナーと関係を持つライフスタイルのこと。 あやめさんにはもう一人恋愛相手がいるらしい。“性の多様性”は大事なのはわかるし、あやめさんのことは丸ごと受け入れたい……けれど、このどうしようもない嫉妬の感情は、どうしたらよいのだろう? 勤務先はコロナ禍の影響で倒産。お片付けサークルも、“ソーシャルディスタンス”の名のもと解散になった。 圭吾はゴミが溢れかえる部屋の中で、一日中、あやめさんに溺れる日々を始めるのだった――。
-
これがおばけの考えです 貝がら千話選集本|モノ・ホーミー
¥1,980
SOLD OUT
発行 タバブックス 2023年3月31日発売 デザイン 井上麻那巳 B6判変型(160mm×123mm)・コデックス装・244ページ ISBN978-4-907053-61-1 C0095 定価 1800円+税 一夜一話の絵と物語。 夜眠る前に読みたいお話集です。 貝がら千話は一夜一話の絵と物語です。はじめに絵を描き、つぎに物語を書くという方法で、一日にひとつ千日間にわたって制作しました。 この本は貝がら千話から、夜眠る前に読みたいお話を集めました。眠れない夜、眠りたくない夜に、ゆっくりとたのしんで下さい。 (まえがきより) 目次 あなたの種、売ります 風景のなかの人々 猫を揉む話 気のいい少年 物になるゲーム パブリックディスクロージャー 美酒の村 灯台の一日 遊びの薬 教会さん 山のおばけ しろくまさんとのうさぎさん 真っ暗な小屋で ピンク色した変なもの 物見遊山 クモとカマキリと男と猫 ごろつきの仕事 いちばん小さな子ども とてもかわいい利口な犬 庭のある島 本を読む 天使譲ります 猫もいないのに! 妖怪さん、お帰り下さい 家出したカカシの話 夜の天使たち 何やら楽しげなご一行様 卵と⿃ 王様と女王様の街 ぴかぴかの朝 星の骨 わんころとうさぎちゃん あり余る夜 ロボット学校 しろくまさんとのうさぎさんの出会いと別れ 散歩日和 鉄砲草 焼けた竜 シャベルの絵 クッキーアソート 金魚鉢の世界 フクロウ男の店 星に海を作るには 花の都を縫い閉じる のうさぎさんとしろくまさんの楽しい生活 湯浴みする友人の話 おはなしのくに 猫には見える 絶対時間 ことばかじり モノ・ホーミー 図案家。本の装画などのイラストレーションを中心に、図案と物語の創作を行う。著作に、千日間にわたって制作した「貝がら千話」より選集『するべきことは何ひとつ』(さりげなく)など。