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暗いとも明るいとも|山階基

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リトルプレス
B6判横 並製 78頁
1,000円

2024年秋から2025年春にかけて
日記を書いてみようとした数か月の日記



2‌0‌2‌5年1月29日(水) の日記より

 十三時間ほどねむっていた。たっぷりねむったあとはいつも、睡眠が足りていたことなんていちどもなかったのかもしれないと思う。台所に行くと、作業台の上に、右に大きくはみ出したぼろい棚が置いてある。あらためてへらへらしてしまう。棚を置くと空間ができる。棚のなかはもちろん、はみ出したぶんものを置くことができる面積も増えている。まずは、重心になる左のほうに料理の本をおさめる。台に散らばっていたものを棚の上に、流し台の近くに置いておきたかった道具を棚の右のほうに移す。作業台はひろびろとしてなにもない。いまの状態をこころにとどめてそのまま使っていきたい。



ぜんぶ興味深くて目が離せないのに、ゆらゆら読ませてくれる筆致にどんどん先を読んでしまって、いやもうちょっとふんばってしっかり読みたいと、戻って読み返すような読み方をずっとしていました。
私は山階さんの顔かたちもお話しする様子も少しは知っておりますから、あの山階さんが挙動する前提で読んで、それはそれですごくいいんです。
でも読みながら「知らない誰かの日記」としても味わいたいと、そういう心づもりでも読みました。
不思議とそうさせる、極めて個人的なのにどうしようもなくアノニマスな気配が残してある文章だと思います。
おそらくそれは、他者におもねらない、期待しないということですよね。
公開する、頒布する日記として、私が実は一番大切なのではと睨んでいる部分がここです。
ずっと誰かの毎日が書いてあるのに、一切食傷させません。
それから純粋に文がうまい、本当に美しいなと思います。
飲めるように読めて、夢中になる方、きっと多いのではないでしょうか。

エッセイスト 古賀及子



著者プロフィール
山階基 やましな・もとい
1991年広島生まれ。早稲田短歌会、未来短歌会「陸から海へ」出身。歌集は『風にあたる』『夜を着こなせたなら』(短歌研究社)。2019年より東京・西日暮里「屋上」と共同で「屋上と短歌」を運営。2024年から26年までNHK広島放送局『ひるまえ直送便』「ひるまえ短歌」コーナー選者。麻川針名義で組版・デザインを手がける。

(版元より)

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