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港の人 付単行本未収録詩|北村太郎

¥2,420 税込

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発行 港の人
四六判/上製本/函入/本文128頁
2,200円(本体価格・税別)
2017年9月刊
ISBN978-4-89629-331-9 C0092

◎現代詩を代表する詩人・北村太郎は、近年、エッセイ集『光が射してくる』『樹上の猫』、北村太郎の日常風景を淡々と素朴な筆致で描いた『珈琲とエクレアと詩人 スケッチ・北村太郎』4刷、橋口幸子著、小説『荒地の恋』ねじめ正一著などで知られる。ファンからながく待望されていた、読売文学賞受賞の名詩集『港の人』を復刊する!
◎『港の人』には33篇の作品が収められ、詩人独自の死生観から社会を穿ち、根源的な生のあり方を照射する。
◎巻末には、あらたに発見された単行本未収録詩4篇を収録。北村太郎のやさしさに触れる詩篇でたまらなくいい。
◎解説は、詩人・平出隆。『港の人』についての解説のほか、詩人が目撃した北村太郎の生きようを丁寧に描き、北村太郎の魅力を語り尽くす。
◎函の装画は、岡鹿之助作「古港」。端正な装本がひときわ美しく輝いている。
◎港の人創立20周年記念出版

■収録作品より
1
暑い朝
たくさんの観念が
鼠いろになって目の前を通りすぎていく
それらは
とっても淋しい響きを残すわけでもないのに
音の幻としては
いつまでもうつ向いていたいくらいの
囁きである
色としては
濃淡がなさすぎて
もうすこしで
影になりそうに思える

そうやって
ほとんど観念が消えかかっているのに
〈ほら
〈もっと
〈早くしないと
汗をかきながら促しているんだから

観念は
別れを惜しみつつ
この世ならぬ
音と色とを考えないわけにはいかず
ツタの這う窓べに

(出版社商品ページより)

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