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訳者 神谷美恵子
発行 みすず書房
判型 四六判
頁数 552頁
定価 4,840円 (本体:4,400円)
ISBN 978-4-622-08920-9
Cコード C0098
発行日 2020年5月21日
「私はいま、『ダロウェイ夫人』をはじめから全部タイプし直して、大速力でやっている。これは『船出』でも多少ともやったことで、いい方法だと思う。なぜならこうすれば、いわば全体をしめった筆で書きなでて、ばらばらに作られ、乾いてしまった部分を融合させることになるからだ。じっさい、正直言って、これは私の小説の中でも最も満足すべきものだと思う(でも私はまだこれを冷たい眼で読んではいない)。」(1924年12月13日)
いま読んでいる本、創作過程の実際、本の評判や売上げ、エリオットやフォースターとの交友など、1918年36歳の年から1941年自殺する直前までの日記。死後、夫レナードによって文学活動を中心に編纂された本巻は、創造の苦しみと楽しみを生き生きと伝える。
[初版1976年7月15日、『ヴァージニア・ウルフ著作集』第8巻として発行]
著訳者略歴
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
ヴァージニア・ウルフ Virginia Woolf
1882-1941。著名な文芸批評家レズリー・スティーヴンを父親として、ロンドンに生れる。父親の教育と知的な環境(ブルームズベリ・グループ)の中で、早くから文芸への情熱をはぐくむ。1915年、最初の長篇小説『船出』を出版し、ついで『夜と昼』『ジェイコブの部屋』を発表する。さらに、彼女の小説世界を十全に開花させた傑作『ダロウェイ夫人』『燈台へ』『波』が生れる。ここで彼女は、プルースト、ジョイスらによって示された「意識の流れ」を、独自の立場から追求している。『幕間』をのこして、1941年神経衰弱のため自殺。また、重要なものとして他に、『自分だけの部屋』『女性にとっての職業』『三ギニー』などの数多くのエッセイ、内面の記録である「日記」がある。
神谷美恵子 かみや・みえこ
1914-1979。1935年津田英学塾卒業、ブリンマー大学・コロンビア大学に留学。1944年東京女子医専卒業、同年、東京大学医学部精神科入局。1952年大阪大学医学部神経科入局。1957-72年長島愛生園勤務。1960-64年神戸女学院大学教授。1963-76年津田塾大学教授。医学博士。1979年10月22日没。著書『生きがいについて』(1966、みすず書房)『人間をみつめて』(1971、朝日新聞社)『こころの旅』(1974、日本評論社)『神谷美恵子著作集』(全10巻・補巻1・別巻2、1980-84、みすず書房)ほか。訳書にフーコー『臨床医学の誕生』(1969)『精神疾患と心理学』(1970、以上みすず書房)ほか。
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