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視覚文化叢書 5
A5判 338ページ 上製
定価 4600円+税
ISBN978-4-7872-7398-7 C1370
初版発行年月 2017年03月
19世紀末から20世紀初頭のフランスで、名もなき人々の身体を測定するために写真を中心とする映像技術を駆使した5人の科学者たち。彼らの荒唐無稽にも見える映像実践から、多様な映像環境に組み込まれた私たちの感性の変容をも照らし出す視覚文化論の成果。
解説
19世紀末から20世紀初頭のフランスで、名もなき人々の身体を測定するために写真を中心とする映像技術を駆使した5人の科学者たち。現代から見れば奇妙で荒唐無稽でさえある写真の使い方は、当人たちにとっては人間の感性を可視化する科学的な実践だった。
「写真から映画へ」という映像史からはこぼれ落ちてしまう科学者5人の熱狂的な実践――ポーズや歩き方を捉える連続写真やグラフ法、そしてかたどり――に光を当てる。そして身体をつぶさに観察するため、写真を人間の目=網膜と重ね合わせた「科学者の身ぶり」を掘り起こす。
19世紀末の忘却された映像実践から、多様な映像環境に組み込まれた私たちの感性の変容をも照らし出す視覚文化論の成果。貴重な図版を100点近く所収。
目次
序章 身体と映像技術
1 カドール岩の謎
2 ヒステリーと写真
3 規律訓練とスペクタクル
4 身ぶりの危機
5 五人の科学者
第1章 エドモン・デボネの身体鍛錬術――表層的なものとしてのポーズ
1 従順な身体鍛錬術
2 写真のなかの身体鍛錬
3 身体のカタログ化
4 身体のスペクタクル化
5 ポーズの作り方
6 表層的なものとしてのポーズ
第2章 ジョルジュ・ドゥメニーの歩き方――身ぶりを失うということ
1 写真のなかで消えた男
2 フランス体育教育の父
3 歩き方の理論
4 幾何学的連続写真とモーションキャプチャ
5 生命を吹き込まれた肖像、またはその声
6 身ぶりを失うということ
第3章 アルベール・ロンドの連続写真機――フォト/クロノグラフィの間隙
1 写真機と三つの身体
2 観察者と写真機
3 アマチュア写真家と神経科医
4 医学的連続写真
5 連続写真のナラトロジー
6 可視化と可視性
7 科学者の真の網膜
8 フォト/クロノグラフィの間隙
第4章 アルフレッド・ビネのグラフ法――心理を可視化すること
1 実験心理学とグラフ
2 成立しなかった実験心理学
3 グラフという自動機械
4 曲線の由来
5 反応時間の非決定性
6 身ぶりと自動機械
7 心理を可視化すること
第5章 ポール・リシェの型どり――世紀転換期のヴァーチャリティ
1 デカルトの頭蓋骨
2 最初の芸術家
3 デッサンと写真
4 複製技術の非決定性
5 写真と型どり
6 世紀転換期のヴァーチャリティ
結語 身ぶりの機械
1 科学者の身ぶり
2 身ぶりと機械
3 科学者の網膜
参考文献一覧
あとがき
事項索引
人名索引
著者プロフィール
増田 展大(マスダ ノブヒロ)
1984年、京都府生まれ。立命館大学・京都精華大学など非常勤講師。専攻は美学・芸術学、映像メディア論、視覚文化論、科学史。共著に『映像文化の社会学』(有斐閣)、『マンガ研究13講』(水声社)、論文に「微生物のメディア考古学」(「叢書セミオトポス」第10号)、「原形質のメディア考古学」(「美学芸術学論集」第10号)など。
上記内容は本書刊行時のものです。
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