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ティンダー・レモンケーキ・エフェクト|葉山莉子

¥1,980 税込

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発行 タバブックス
2023年10月31日発売
装丁 奥山太貴
B6版・ソフトカバー・296 頁予定
ISBN978-4-907053-64-2
定価 本体1800円+税

わたしの日記を送ります。
あなたの日記を送ってください。

Tinder上で「日記」と名乗り、夜な夜な毎日、日記を送る。
日記を交換するうちに、ひとりの男性に恋をした。
二〇二二年二月から一〇月までの わたしの日記と、数日間の彼の日記。

マッチングアプリでの男性からの「ヤレるヤれないの評価軸」に消耗していた「わたし」。ちょっとしたイタズラと復讐のつもりで、ある日「日記」と 名乗り、マッチした男性に日記を送りはじめた。突如日記が送られてくるというゲリラ活動をおもしろがる人が現れ、多い時には 100 人あまりと日記を送りあう。やがてひとりの男性に恋をして ......恋、狂気、ユーモア、批評、さらに性を真正面から語る、自立した女性の痛快な日記。
2022年12月自費出版したZINEは評判を呼び、瞬く間に完売。待望の書籍化です!



二月九日(水)
明日は大雪らしい。明日は前にTinderで知り合った男性と会う約束をしている。バレンタインも近いし、チョコでも用意すべきか否かひととおり悩んだ末に用意した。一個三百円のTops のチョコレートブラウニー。かなり妥当だと思う。妥当な手土産選手権があったら、わたしはけっこういい線いける自信がある。

四月二十三日(土)
カレーづくりと洗濯を無事終えて、六本木に向かう。あいかわらず、六本木は苦手だ。 歩いていると「マイク・ミルズを観ろ!」という啓示があり、おとなしくそれに従うことにした。

四月二十六日(火)
Tinder上での日記は、そもそも対人間とのちまちましたチャットのやりとりや、セックスするしないのせせこましい駆け引きに疲弊してはじめたことだけど、いまは「日記を書く」こと自体に意味を見出しはじめている。そして日記を読む読まれるという ゆるやかなコミュニケーションに心地よさを感じている。

八月三十一日(水)
セックスは最大限のコミュニケーションであるから、話が通じない人に自分の身を委ねることはない。男性と一対一になったら、女であるわたしはどうやったって勝つことはできない。だから、自分にいやなことはしないだろうという安心があるかどうかが、かなり重要なチェック項目になると思う。それにまともに会話もできないような人間が、相手に快楽を与えることはできないと思う。セックス、なめんな。
(本書より)

葉山莉子 はやま・りこ
1993年生まれ。東京生まれ東京育ち。2022年に『ティンダー・レモンケーキ・エフェクト』を発表し、ZINE制作を中心に執筆活動を開始。美術館によくいく。

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