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いぬのせなか座叢書3
※旧字体が表示されないため、作者氏名の表記を変更しております
発売日:2019年03月31日 第一刷
2019年07月05日 第二刷
2021年12月06日 第三刷
判型:163mm×111mm 280ページ
造本:コデックス装 本文二色刷り プラスチックカバー
栞=小冊子:荻原裕幸・堂園昌彦
装釘・本文レイアウト:山本浩貴+h
☆第54回造本装幀コンクール 読者賞受賞
☆日本タイポグラフィ年鑑2020入選
私語と定型がゆるく織り上げるこの場所の、この出会いの奥行きに向けて。
いつか訪れる、百年生きたあとの葬儀のための第一歌集。
https://inunosenakaza.com/book/hikaritoshigo
装釘・本文レイアウトは、加藤治郎『Confusion』や岩倉文也『傾いた夜空の下で』等におけるデザインが話題の、いぬのせなか座主宰・山本浩貴+hが担当。
同封される栞には、荻原裕幸・堂園昌彦が寄稿。
平成の終わりに刊行される、真に新たな、一冊。
[推薦文(随時追加 到着順)]
駅や広場を暦や行事が群衆のように過ぎていく。たくさんの声。"私"すら群衆の声の一つとして稀釈される。そんな都市の中で"あなた"の声も薄まりながら、でも光のように確かに届く。これはきっと愛や永遠と呼ばれるものだ。
――千種創一
吉田くんの歌は、通常注目されるはずの物事の因果から視線を逸らす、あるいは解像度を下げることによって、世界がもともと持っていた美しさを発見している。既存の文脈の残像が残っているからこそ、彼の短歌は無軌道でアヴァンギャルドなものではなく、どこか懐かしいような抒情性を湛えているのだと思う。
――堂園昌彦
なにかを伝えようという役目を終えて、とうに元の姿を忘れかけながら、さまざまな声と雑じり合うようにして街のあちこちに響いている。あなたにもわたしにも宛てられてはいないけれど、喧騒の中を抜けて不思議と耳に届くささめきのような、かつて誰かの声だった歌。
――山階基
相当に長い時間とややこしい思考といくつもの審査を経て並べられたに違いない言葉たちは、けれど自信に満ちた顔つきというよりも、どこか素気なく突っ立っているように思える。ひそやかにひとりの人に視線を送りながら、それでいてたくさんの人々に祝福されたがっているようでもある。いま詩歌は人間の生活の中でいかに機能するのか。驚くべき精度で展開されるその探求と実践がまぶしい。おめでとう。私たちはこの歌集を待っていた。
――山田亮太
死んだ目で「寺山修司が好きなんです」って言う吉田くんと初めて会ったのはたしか夏目坂沿いの居酒屋だったように記憶している。その年の秋、大学の構内でゲリラパフォーマンスでもやろうと思い立ち、彼にも出てもらった。顔を白く塗り、軍服を着せて戦場っぽいことをやらせたらなんだか楽しそうにしていた。警備員さんにやんわり注意されたので謝って移動して、最後は文学部のすぐ脇にあった彼の部屋に行ってメイクを落とした。あれから十年くらい経って、でもこの十年くらい経ったなと思うような時間も、歌集の中には偽りなく含まれていた。
――カゲヤマ気象台
都市の景色を思い出せない。その手がかりを探ってこの詩集をめくるとそこにあるのは言葉によって異化された街だ。そこでは人々が帽子や手を振り、画面には腐葉土の画像が並び、その片隅で誰かが水薬を噛みしめる。
ここに一冊の、言葉だけで組み上げられた世界がある。
韜晦しているようで誠実、達観しているふりをしながらもおセンチ。一読すれば吉田恭大の目で世界を読もうとしてしまうだろう。小説家は読まないほうがいい、かも。
――水原涼
毎日を水平に横たわって過ごしていた時期に吉田君に呼び出され、デリバリーのチキンライスと1冊の本を渡された。やたら余白の多い歌集だった。チキンライスはその場で食べ、歌集は鞄に入れて1ヶ月ほどが過ぎた。例えば感傷は、傷というだけあってやがて癒えるのだろう。しかしあくまでも客観に留める吉田君の短歌はそれを許さず、だからこそ失われず、鞄の外で祈りや光みたいに遍在していた。ぽっかり広がる明るい余白のなかで、ずいぶんとのびのびさせてもらいました。
――いつか床子
[著者]
吉田恭大(よしだ・やすひろ)
1989年鳥取生まれ。
歌人、ドラマトゥルク、舞台制作者。
塔短歌会所属。早稲田短歌会出身。
2017年4月より北赤羽歌会を運営。
Twitter: https://twitter.com/nanka_daya
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