・翌月にまとめてお支払い可能
・手数料無料(口座振替の場合)
・アプリでご利用金額を確認できて安心
¥3,300 税込
残り1点
なら 手数料無料の翌月払いでOK
別途送料がかかります。送料を確認する
翻訳:サム・マリッサ
装丁:STUDIO 峯崎ノリテル・正能幸介 写真:帆刈一哉、坂口恭平
定価:本体3000円+税
A4変型判並製/156ページ
2020年10月30日 第一刷発行
978-4-86528-289-4 C0071
僕は毎日発見している。風景を。今まで目に入らなかったことにどんどん焦点が当たっている、当たった瞬間に別のものに移動している、それくらい僕は変化している。風景も変化している。パステルをもつ指も変わり、指先はいつも動いている。その動きそのものが興味深いから、止まらない。
それくらい僕は何も知らない。空の青について何も知らなかった。今はいくつものパステルの色を塗り重ねる。晴れた日にも暗い色が入っている。光と影がそこら中に満ちている。躁鬱病の僕は鬱を忌避し、躁をあっぱれだと思っていた。しかし、晴れた日にはとても強い黒い影が生まれる。頂点があり、どん底があるのではなく、気分の上がり下がりではなく、気分、ムード、感情の、色調があるようなものが、その途端に、僕の内面もエベレストから海溝まであったジオラマが一気に粒子になって崩れ落ちて、ふわふわとそこら中に浮いている大気になった、自分の体が気象になった。線も面も粒子に戻って、そこら中に気配として残っているだけになった。
ーー「畑への道」より抜粋
送料・配送方法について
お支払い方法について
¥3,300 税込