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西田 司(編著)永田 賢一郎(編著)勝亦 優祐(編著)丸山 裕貴(編著)大沢 雄城(編著)藤沢 百合(著)石飛 亮(著)杉田 真理子(著)加藤 優一(著)中山 佳子(著)梅中 美緒(著)
発行:ユウブックス
4-6 縦188mm 横127mm 厚さ18mm 重さ 293g 256ページ 並製
価格 2,500円+税
ISBN978-4-908837-14-2
初版年月日2023年9月10日
建築家のための多拠点活動の手引き。人口減少・高齢化に伴う空き家の増加やまちの衰退などの社会問題を背景に、都市圏と地方を跨ぎ、活動する建築家が増えています。
出身地のまちづくりに関わる、いくつもの居場所をシェアする、二拠点で事務所を運営する、定期的に島に通うなど、9組のさまざまな働き方を紹介。縮小時代の建築家の可能性を探る一冊です。
はじめに
本書に登場する九組の建築・まちづくりの実践者は、たまたま同時代に多拠点で働く価値を見出し、自分なりの手法やプロセスを用いて、地域を移動しながら働くことを最大限に楽しんでいる。コロナ禍を経て在宅勤務やオンライン会議が一般的になったことで、住む場所を新たに選択したり、出社日を減らして自宅や気に入った場所で働く日数が増えている人も多いようだ。ただ本書で紹介する九組は、ほかのどの職種の人たちより、クリエイティブに、よりアクティブに、多拠点で働く意味や価値を引き上げ、建築・まちづくりの職種のポテンシャルを使い倒しているといえるのではないだろうか。
そもそも建築・まちづくり分野は、地域との関わりが強く、その土地にあるものや、その土地だから生み出せるものを形にしたり、その土地だからこそ活かせる環境や運用方法や仕組みを、リサーチしつつトライアンドエラーで実践していくことが多い。それにもかかわらず、実践を考えている若い建築・まちづくりのプレイヤーは、大学や企業が多い都市部に数多く存在し、地域にいくほど圧倒的に減少する。そのバランスの悪さは以前からいわれていたが、移住はハードルが高く、地域のプレイヤーを増やす方法論が待ち望まれていた。その方法こそ、地域に完全移住をするわけではなく、多拠点で働くことではないだろうか。コロナ禍によってオンラインでのコミュニケーションが一般的になったいまだからこそ、地域と都市の両方に関わることができる。仕事も辞めずに、副業的に、とりあえず思い立ったら、地域にある建築・まちづくりの実践フィールドに身を投げ出してみる。本書は、そんな地域に入っていく人が増えていく未来を見越してまとめられた。
ここに登場する実践者には自らつくり上げたメソッドを赤裸々に公開しながら、メリット・デメリットを整理し、多拠点で働く際に頭を悩ませる課題やリスク(会社に勤務しながらイレギュラーな働き方をすること、家の見つけ方、移動の費用をどう節約するかなど)をどうクリアしたのかできるだけ網羅してもらえるよう努めた。これら実践をまとめて一覧すると、読んだ人の頭のなかに、自分と近い部分や、真似したい感覚など、ピンとくる感覚がどこかで芽生え、自分好みの拠点で働くイメージが紡がれることだろう。
本書がそのような新しい働き方や地域活動の一歩を踏み出す一助になることができれば嬉しい。
西田司・永田賢一郎・勝亦優祐・丸山裕貴・大沢雄城
著者プロフィール
西田 司 (ニシダ オサム) (編著)
1976年神奈川県生まれ。1 999年横浜国立大学工学部建築学科卒業後、同年スピ ードスタジオ設立。2002~7年東京都立大学大学院助手。2004年(株)オンデザインパートナーズ設立、現在同代表。東京理科大学准教授、大阪工業大学客員教授、ソトノバパートナー。住宅・各種施設の建築設計や家具デザイン、まちづくりなどにて幅広く活動を展開。
永田 賢一郎 (ナガタ ケンイチロウ) (編著)
1983年東京都生まれ。横浜 国立大学大学院Y-GSA修了。 YONG architecture studio 代表。商店街の空き店舗を活用した設計事務所兼シェアキッチンの「藤棚デパートメント」を拠点に、空き倉庫を活用したシェアアトリエ「野毛山kiez」「南太田ブランチ」などエリア特化型のストックを活用した拠点づくりを横浜で展開。2020年より長野県北佐久郡立科町地域おこし協力隊を兼任。2023年長野県にて(同) T.A.R.P 設立。
勝亦 優祐 (カツマタ ユウスケ) (編著)
1987年静岡県生まれ。20 12年工学院大学大学院工学研究科建築学専攻修了後、2012年(株)日建設計。 2013~15年静岡にてフリ ーランスで活動。2015年勝 亦丸山建築計画事務所設立。2017年(株)勝亦丸山建築計画設立、現在同代表取締役。空間と使い手の持続可能な関係性を生み出し、新しいスタンダードを社会に実装することを目指す建築家チームとして、「その場所や前提の条件を探り(RESEACH)、そこに何が必要かを考え(DESIGN)、現場での実践を還元させる(OPERATION)」ことを指針とする。
丸山 裕貴 (マルヤマ ユウキ) (編著)
1987年埼玉県生まれ。20 12年工学院大学大学院工学研究科建築学専攻修了後、2012~16年(株)KUS一級建築士事務所。2015~18年工学院大学客員研究員。2017年に勝亦優祐とと もに(株)勝亦丸山建築計画を設立、現在同取締役。
大沢 雄城 (オオサワ ユウキ) (編著)
1989年新潟県生まれ。20 12年横浜国立大学卒業後、(株)オンデザインパートナ ーズ。まちづくりやエリア
マネジメントなどの都市戦略の企画から実践まで取り組む。2021年より新潟市に(株)オンデザインパートナ ーズ新潟オフィスを開設。現在、横浜と新潟の2拠点にて活動を展開。
藤沢 百合 (フジサワ ユリ) (著)
1975年岡山県生まれ。1998年東京女子大学文理学部卒業後、不動産ディベロッパー勤務。2007~9 年工学院大学2部建築学科。2010~14年(株)ブルースタジオ。2014年(株)スタ ジオ伝伝設立、現在同代表。 2020年Art & Hotel 木ノ離開業。法政大学大学院兼任講師、名古屋造形大学非常勤講師。東京と岐阜の郡上八幡を拠点として「日本の伝統建築と生活文化を次世代に、世界に伝える」を目標に設計・不動産・宿泊業を柱に活動する。
石飛 亮 (イシトビ リョウ) (著)
1987年栃木県生まれ。2013年横浜国立大学大学院Y -GSA修了。2013-19年ノウサクジュンペイアーキテクツ。2019年WANKARASHIN 設立、現在同代表。2021年より横浜国立大学大学院Y-GSA設計助手。横浜と長崎県五島列島を拠点として、その場所の歴史や文化に接続するような建築をつくることを目指し、設計活動に取り組んでいる。
杉田 真理子 (スギタ マリコ) (著)
1989年宮城県生まれ。2016年ブリュッセル自由大学アーバン・スタディーズ修了。2021年都市体験のデザインスタジオ(一社)for Citiesを共同設立、現在同共同代表理事、(一社)ホホホ座浄土寺座共同代表理事。出版レーベル「Traveling Circus of Urbanism」、アーバニスト・イン・レジデンス「Bridge To」運営。都市・建築・まちづくり分野における執筆や編集、リサーチほか文化芸術分野でのキュレ ーションや新規プログラムのプロデュース、ディレクションなど国内外を横断しながら活動を行う。
加藤 優一 (カトウ ユウイチ) (著)
1987年山形県生まれ。東北 大学大学院工学系研究科博士課程満期退学。(株) 銭湯ぐらし代表取締役 、(一社)最上のくらし舎共同 代表理事、(株)オープン・ エー+公共R 不動産パートナー、東北芸術工科大学専任講師。建築・都市の企画・設計・運営・研究を通して、実践的なまちづくりに取り組む。近作に「SAGA FURUYU CAMP /旧富士小学校の再生」(基本構想・設計)「小杉湯となり」(企画・計画・運営)「万場町のくらし」(設計・施工・運営)など。著作に『銭湯から広げるまちづくり』(単著・学芸出版社)など。
中山 佳子 (ナカヤマ ヨシコ) (著)
1987年茨城県生まれ。2011年横浜国立大学大学院Y-GSA修了後、設計事務所に入社、現在に至る。2020年~明星大学建築学部非常勤講師。建築・都市・グラフィックの横断的デザインとディレクションをとおし、事業課題・地域課題・社会課題解決を目指す。おもな受賞に、iF デザインアワ ード(ドイツ)、北米照明学会Lumen Award(アメリカ)、空間デザイン賞・銅賞(日本)、サインデザイン賞(日本)、都市計画実務発表会都市計画コンサルタント協会長賞(日本)ほか多数。
梅中 美緒 (ウメナカ ミオ) (著)
1982年北海道生まれ。2008年工学院大学大学院工学研究科建築学専攻修了後、(株)日建設計。2018年より勤務しながら『旅をしながら働く』実証実験。世界の働き方を観察するフィ ールドワークを続けながら、 多くの企業のワークスタイ ルデザインを手掛ける。日本全国を多拠点生活しながらアドレスホッパーサラリ ーマンとして働き、2021年静岡県函南町移住。20 22年Unknown Meets Ethno graphy 創業。建築エスノグラファー、世界100ヶ国以上を旅するバックパッカー。
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