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open 12-19|水木定休
2 sat. - 4 mon. 出店|大阪β本町橋※元町店舗は休
5 tue. 臨時休業
6 wed. 営業/店内ライブ|細井徳太郎/山内弘太/千葉広樹
9 sat. 店内ライブ|藤井邦博/ゑでぃまぁこん
16 sat. 店内ライブ|畑下マユ/潮田雄一
29 fri. 店内イベント|姜アンリ朗読会
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Sampler 2: Art, Pop and Contemporary Music Graphics
¥2,200
洋書、2000年 144ページ 美本 現代音楽のCDやレコードのデザインを集めたグラフィック集。
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木の十字架|堀辰雄
¥1,870
本のともしび4 発行 灯光舎 監修 山本善行 B6変型判 縦183mm 横123mm 厚さ11mm 112ページ 上製 定価 1,700円+税 ISBN978-4-909992-53-6 CコードC0095 初版年月日2022年8月20日 小品をもって、作者や作品との出会い、本との出会いの場へと誘う「灯光舎 本のともしび」第4弾は、「風立ちぬ」、「聖家族」などの作品を残した堀辰雄です。 表題作の「木の十字架」という随筆は、堀辰雄と親交が深く、彼の弟子でもあった詩人・立原道造への追慕と次第に沸きおこる彼の死に対しての実感と喪失感を描いたものです。 舞台は堀辰雄の愛した信州・軽井沢。作中で、堀は教会のミサに訪れています。それは、ちょうどドイツ軍がポーランドへ宣戦布告をした翌日のこと。祖国を想って祈るさまざまな国の人々を眼前にして、堀は立原道造の形見となったドビュッシーの晩年の歌曲「もう家もない子等のクリスマス」のレコードを思い出し、戦争に苦しむ人々を想いました。 本書には、ほかにも、堀辰雄が影響を受けたひとり、萩原朔太郎との回想を綴る「「青猫」について」、冬の神戸への旅の記憶を綴った「旅の繪」など5つの小品を収録しています。 迫り来る戦争の足音、立原道造と萩原朔太郎への追憶、小さな旅の記憶など堀辰雄の文学のさまざまな側面を凝縮した1冊が仕上がりました。 目次 旅の繪 晝顔 「青猫」について 二人の友 木の十字架 著者 堀辰雄 (ホリタツオ) (著) 東京生まれ。第一高等学校時代、生涯親交の深かった神西清(ロシア文学者・小説家)と出会う。このころ、ツルゲーネフやハウプトマンの小説や戯曲、ショーペンハウアー、ニーチェなどの哲学書に接する。1923年、19歳のころに荻原朔太郎『青猫』を耽読し、大きな影響を受ける。同時期に室生犀星を知り、犀星の紹介で師・芥川龍之介と出会う。以後、軽井沢にいた芥川を訪ね、芥川の死後も度々軽井沢へ赴く。 1925年、東京帝国大学へ入学。田端にいた萩原朔太郎を訪問。翌年に中野重治、窪川鶴次郎らと雑誌『驢馬』を創刊。同誌に堀はアポリネールやコクトーの詩を訳して掲載し、自作の小品を発表。1927年に芥川が自殺し、翌年には自身も肋膜炎を患い、生死の境をさまよう。1930年、最初の作品集『不器用な天使』を改造社より刊行。同年「聖家族」を「改造」に発表。その後は病を患い入院と静養をくり返しながらも、「美しい村」「風立ちぬ」「菜穂子」と数々の名作をうみだす。その間、詩人・立原道造との出会い、また加藤多恵との結婚があった。1940年、前年に死去した立原が戯れに編んだ『堀辰雄詩集』を山本書店よりそのまま刊行し、墓前に捧げる。1953年、春先より喀血が続き、5月28日逝去。 監修 山本善行(やまもと よしゆき)(1956–) 大阪府出身。関西大学文学部卒。書物エッセイスト。 2009年、京都銀閣寺近くに「古書善行堂」オープン。 著書に『関西赤貧古本道』(新潮社)、『古本のことしか頭になかった』(大散歩通信社)、『定本古本泣き笑い日記』(みずのわ出版)、編者として上林曉の『星を撒いた街』、『故郷の本箱』、『埴原一亟古本小説集』(以上、夏葉社)、黒島伝治『瀬戸内海のスケッチ』(サウダージ・ブックス)など。
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月とコーヒー|吉田篤弘
¥1,980
SOLD OUT
発行 徳間書店 出版年月日 2019/02/26 ISBN 9784198647728 判型・ページ数 4-6変・336ページ 定価 1,980円(税込) 人気作家が腕によりをかけて紡いだ「とっておき」の24篇。全作品原稿用紙10枚ちょっと。5分で読めるのに忘れえぬ物語たち これは、忘れられたものと、世の中の隅の方にいる人たちのお話。 喫茶店〈ゴーゴリ〉の甘くないケーキ。世界の果てのコインランドリーに通うトカゲ男。映写技師にサンドイッチを届ける夜の配達人。トランプから抜け出してきたジョーカー。赤い林檎に囲まれて青いインクをつくる青年。三人の年老いた泥棒。空から落ちてきた天使。終わりの風景が見える眼鏡──。 人気作家が腕によりをかけて紡いだ、とっておきの24篇。
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ぼくの平成パンツ・ソックス・シューズ・ソングブック|松永良平
¥1,980
発行 晶文社 四六判並製 304頁 定価:1,980円(本体1,800円) 978-4-7949-7165-4 C0095 〔2019年12月〕 落ちこぼれ大学生だったぼくが、ライターになるまで――。 それはそのまま、平成の30年。 音楽ライターとして第一線で活躍しながら、現在もレコードショップの店員として世界中の音楽に触れる著者が、今ここに至るまでを「平成の30年」になぞらえて描いた、青春エッセイ。本書は1年に1章、“その年を思い起こさせる個人的な”1曲を添えてのソングブック形式。落ちこぼれ大学生だった「ぼく」は友人と一緒に自分たちの雑誌を作り、なんとか大学を卒業し、ライターの仕事を増やす一方でレコードショップで働き、だんだんと自分の生きる道をみつけていく。そのそばにはいつもたくさんのミュージシャンがいて、たくさんのレコードショップがあった。平成の30年を個人の体験とともに描きながら、読む人にとっての「平成」をもまた思い起こさせる。 <本書に登場する著者と交流のあったアーティスト(一部)> ジョナサン・リッチマン/NRBQ/クレイジーケンバンド/SAKEROCK/星野源/永井宏/小西康陽/細野晴臣/GUIRO/カジヒデキ/坂本慎太郎/大滝詠一/ヴァン・ダイク・パークス/小泉今日子/cero/片想い/videotapemusic など…… 音楽と、友情、恋愛、別れと涙。これはもう青春小説だと思う。 そして、音楽を創作する側の人々にとって、松永さんのような存在は宝物だとも思う。 ――小泉今日子さん推薦
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まるみちゃんとうさぎくん|大前粟生/板垣巴留
¥1,540
発行 ポプラ社 発売年月 2022年3月 ISBN 978-4-591-17311-4 判型 四六変型判 サイズ 195mm x 128mm ページ数 167ページ 主な対象年齢・学年 小6 中学 高校 一般 本の種類 児童向け単行本 ジャンル YA 定価 1,540円(本体 1,400円) とつぜん体が変化するようになった町に住む子どもたちの物語。大前粟生氏、初めてのYA作品。挿画は板垣巴留氏。 〜こども、おとな、すべての人に読んでほしい、コロナ禍に生まれた物語〜。事件のはじまりは、夕日町でいちばん大きなお祭りの日。その日以降、外に出ると人々の体が変化するようになりました。目からビームが出る人、手のひらからアイスクリームがあふれる人、100メートルを1秒で走れるくらい、足が速くなった人。どんな変化が出るのかは人によって違って、元に戻る方法は見つかりません。そのため、町では外に出てはいけないことに決まりました。学校はお休み、仕事は家ですることに。そんな生活を送る小学4年生のまるみちゃんとうさぎくん。休校中にオンラインのビデオ通話で仲良くなった2人は、ちょっとずつお互いのことを話し始めます。体が変化した人たちを羨ましいと思う、まるみちゃんと、転校してきたばかりで不安がいっぱいのうさぎくん。そして、2人の体にも変化が……。まるみちゃんとうさぎくん、この2人の小学校卒業までの様子を通して、特別とは何か、普通とは何か、自分とは何かということを優しく問いかけるストーリー。
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仕事でも、仕事じゃなくても 漫画とよしながふみ
¥1,980
● ポストカード付 発行 フィルムアート社 よしながふみ=著、山本文子=聞き手 発売日:2022年07月26日 四六判・並製 362頁 定価:1,800円+税 ISBN 978-4-8459-1914-7 全編語り下ろし、 漫画家よしながふみ初のインタビュー本 20時間超のインタビューを通して語られる、『大奥』『何食べ』へと至る幼少期からの歩みと一貫した仕事への思い、日々の生活での気づき、家族という集団に向けるまなざし、これからの展望、そして愛してやまない漫画について…… 2020年末に完結した『大奥』が第42回日本SF大賞に輝くなど内外で高く評価され、現在連載中の『きのう何食べた?』がドラマ化、映画化され新たなファンを獲得している漫画家よしながふみ。全編語り下ろしとなる本書は、そんな彼女が、自身の歩みや自作の制作背景、愛してやまない漫画について語った初のインタビュー本です。 20時間超におよぶインタビューがまとめられており、『大奥』や『きのう何食べた?』はもちろん、商業デビュー作の『月とサンダル』、初めてBL誌以外で連載された『こどもの体温』、「月9」ドラマの原作となった『西洋骨董洋菓子店』、さまざまな女性たちを描いた『愛すべき娘たち』など単行本化された全作品について、よしながが自身の仕事観を交えながら語っています。自作や仕事のことだけではなく、幼少期の思い出、小学時代や中学時代に影響を受けた漫画、高校で所属していた漫研でのエピソード、大学時代に行っていた同人活動のことなど、プロデビュー前の話もたっぷりと収録。また『大奥』が完結したあとの、これからの展望も述べられています。 インタビューはBLに造詣が深く、これまでに何度もよしながへの取材を行っているライターの山本文子が担当。山本の質問によって、よしながふみの思考や姿勢に深く触れられる内容になっています。また、装画はよしながの描き下ろしです。
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死んでいる私と、私みたいな人たちの声|大前粟生
¥1,650
発行 河出書房新社 単行本 46 ● 176ページ ISBN:978-4-309-03055-5 ● Cコード:0093 発売日:2022.07.27 暴力から逃れられない運命なんて、あってたまるか。 恋人からのDVで命を落とし幽霊になった窓子(まどこ)と、高校生の彩姫(あやき)。最凶コンビが悪しき男たちに天誅を下していくが――。 「救いたい」思いが連鎖し走り出す! 世にも奇妙で愛おしい、怒りの幽霊ヒーロー小説 とんでもない、途方もない、救いの物語。 私たちは怨霊である。——松浦だるま(漫画家)
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つながり過ぎないでいい 非定型発達の生存戦略|尹雄大
¥1,760
SOLD OUT
発行 亜紀書房 価格 1,760円(税込) 発売日 2022年5月25日 判型 四六判 製本 並製 頁数 216頁 ISBN 978-4-7505-1726-1 Cコード C0095 《コミュニケーションで悩む人たちへ》 コミュニケーションや感情表現が上手できないと悩んだ著者はやがて、当たり障りなく人とやり取りする技術を身につけていく。 だが、難なく意思疎通ができることは、本当に良いこと、正しいことなのか。 なめらかにしゃべれてしまうことの方が、奇妙なのではないか。 「言語とは何なのか」「自分を言葉で表現するとは、どういうことなのか」の深層に迫る、自身の体験を踏まえた「当事者研究」。 -------------------------------------- 自分だけのものであるはずの感情を、多くの人に共通する「言葉で表す」ことなど、どうしてできるのだろうか。 そして、人に「伝える」とはどういうことなのか――。 言葉、存在、コミュニケーションをめぐる思考の旅が始まる。 -------------------------------------- 【目次】 ■はじめに ■1章 それぞれのタイムラインを生きるしかない——定型発達という呪縛 ■2章 胚胎期間という冗長な生き延び方 ■3章 社会なしに生きられないが、社会だけでは生きるに値しない ■4章 自律と自立を手にするための学習 ■5章 絶望を冗長化させる ■あとがき --------------------------------------
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過去をもつ人|荒川洋治
¥2,970
発行 みすず書房 判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm 頁数 232頁 定価 2,970円 (本体:2,700円) ISBN 978-4-622-08520-1 Cコード C0095 発行日 2016年7月20日 この三年間に発表されたエッセイのなかから、読書にかかわる61編を選び、書き下ろし「銅のしずく」を添えた。 『読書について』からショーペンハウアーの以下の言葉が引用される。「書く力も資格もない者が書いた冗文や、からっぽ財布を満たそうと、からっぽ脳みそがひねり出した駄作は、書籍全体の九割にのぼる。」その上で、二世紀後の日本の読書は、どうか。「いまは一般的読書が支配。本らしい本を読む人は少ない。読書が消えた時代だ。静かだ。読書とは何かを「考える」ときなのかもしれない。」 また、文学像について。「文学全集がなくなったあと、風景は一変した。個々の作家を読むことだけで、文学像がつくられるようになった。てもとの本だけが光り、過去のものへの視線が消えうせる。(…)おおきなできごとのあとで、詩人や作家たちが、いわば文学「特需」の詩文を順風のなか量産したようすを見て、文学像を形成する人はどうか。あの日以後この国は変わった、私も目覚めたという人たちの一見すなおだが、よく見ると底の浅い単純な詩文。それらを批判的に見つめることは、単純なものに魅せられた読者にはできないだろう。」 文章とことばの新しい情景をつねに視野に入れてきた荒川洋治が、本を読む人におくる、きびしくもあたたかい一冊。
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文学は実学である|荒川洋治
¥3,960
発行 みすず書房 判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm 頁数 352頁 定価 3,960円 (本体:3,600円) ISBN 978-4-622-08945-2 Cコード C0095 発行日 2020年10月 1日 1992年から2020年まで28年間に発表されたエッセイより86編を精選。『夜のある町で』『忘れられる過去』『世に出ないことば』『黙読の山』からの諸編に加え、同時期の名編と単行本未収録の追悼「加藤典洋さんの文章」など近作8編を収める。ことばと世間、文学と社会、出版と時世に、目を凝らし耳を澄ませてきた荒川洋治。その文章世界がこの一冊に凝縮している。 「いま本を読み、本について書く日本語の使い手の中で、間違いなく最高のひとり」(高橋源一郎)、「同時代に荒川洋治という書き手をもつのは、この上なく幸せなことなのだ」(池内紀)など評価はじつに高い。 困難な時代であればあるほど、文学の実力は認められる。「これまで「実学」と思われていたものが、実学として「あやしげな」ものになっていること、人間をくるわせるものになってきたことを思えば、文学の立場は見えてくるはずだ。」(本書「文学は実学である」より)。初のベスト・エッセイ集。
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納豆マガジン vol.2
¥1,980
特集「ひきわりをあつめて」 発行 さりげなく 編集長 村上竜一 B6サイズ 96ページ 納豆カルチャーはここからはじまる。 納豆に魅了された僕たちが、納豆に飽きるまで、納豆を追求していく。 粘っこい企画をなんどもなんども混ぜて詰め込みました。 待望のVOL.2。 ● vol.1 https://honnosiori.buyshop.jp/items/42173730
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ウクライナ戦争日記
¥1,980
SOLD OUT
Stand With Ukraine Japan 左右社編集部 定価 1,980 円(税込) 刊行日 2022年07月28日 判型/ページ数 四六判 並製 320ページ ISBN 978-4-86528-091-3 Cコード C0336 装幀・装画 鈴木千佳子/装幀 2022年2月24日から現在まで──戦争の渦中にいる24人が綴る日記、緊急出版! 早朝、ウクライナの人々は聞いたことのない爆発音で目を覚ました──。 夫が戦地に赴き幼い娘とふたりで逃げる母親、ロシア人の父とウクライナ人の母のもと占領下の村で生きる女性、激戦地マリウポリでの救出劇、さっき通ったばかりの公園が爆撃された男性…… 突然ロシアが侵攻してきてから数ヶ月間にわたり起こったできごとを戦禍に巻き込まれた当事者たちが綴った、唯一無二の日記アンソロジー。 恐怖を感じたからと言って、急いで本を閉じないでください。不穏な話が出てきても、決して目をそらさないでください。ときにはクスッと笑えるジョークや、人生を安心させる瞬間も登場します。この本の中にある、つらく、正直で、まさに今起こっているリアルな物語を存分に味わい、あなたの心の奥まで染み込ませてください。日記を書いた人は、特別な人々ではありません。 残酷にも、いきなり恐ろしい状況下に投げ込まれてしまっただけの、あなたや私と同じ人間であるということを忘れないでください。本書は、ウクライナが子どもたちを守るために払った犠牲の証であり続けるでしょう。そして、本当の勝利を収めるまで、ウクライナの味方でいてください。 Stand With Ukraine Japan 共同創業者/サーシャ・カヴェリーナ 「はじめに」より ハルキウから激戦地マリウポリへ……たったひとりで乗り込んだ女性 やがて、マングーシュ村にある、巨大な軍事拠点に辿り着いた。そこは、以前警察署だった敷地につくられた、でかでかとしたロシアの検問所だった。マシンガンを持った男が私を引きとめ、書類と車両証明書を取り上げると、「車を置いて行くなら見逃してやる」と言い放った。 ウクライナ南部の都市メリトポリにて……ロシア兵に街が占領された親子 2月26日 メリトポリがすでに占領されていると知った日、私と母は床に顔をつけ、机の下に息を潜めて隠れていた──そう、ロシア軍の「鉄砲隊」から。銃声が聞こえた。最初は遠くから聞こえるだけだったが、だんだん近くなってきた。 キーウからハルキウへ……戦禍を報道する香港人のフォトジャーナリスト 3月23日 ロシア系のポーランド人でメディア「インサイダー」のジャーナリストが、今晩落とされた2発目のミサイルによって、ポジールのレトロビル付近で亡くなった。私の友人は、この悲劇的な事件のわずか3時間前までこのビルにいた。 戦禍の地マリウポリにて……鉄道会社の職員 3月12日 一晩中爆撃されている!最初の爆撃が夜の8時半にあってから、ずっと続いているのだ。外はマイナス9度、室内はプラス9度だ。ついに今日で水が底をついた。街はこの一週間、水、電気、電波、そして暖房もない。 キーウ近郊の都市イルピンから西へ……夫が出兵し、娘と逃げる母 3月12日 娘が泣く。朝に、午後に、そして晩に。娘は父を呼ぶ。「なんでパパは軍に入ることを選んだの?なんでただのひとであることを選ばなかったの?」と聞いてくる。私は彼女とは一緒に泣かない。耐えて、シャワーの中で水が顔に注がれるときにだけ、思いっきり泣くのだ。 本書の収益の一部は、ボランティア団体「Stand With Ukraine」に寄付いたします。
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こどもと大人のためのミュージアム思考
¥1,980
稲庭彩和子 伊藤達矢 河野佑美 鈴木智香子 渡邊祐子 発行 左右社 定価 1,980 円(税込) 刊行日 2022年03月31日 判型/ページ数 四六判 並製 296ページ ISBN 978-4-86528-079-1 Cコード C0070 装幀・装画 松田行正+杉本聖士/装幀 こどもと大人が共に文化やアートに出会い、楽しむことを応援する「Museum Start あいうえの」は、上野公園近隣に位置する9つの文化施設が合同で行うラーニングプロジェクト。本書ではプロジェクトでの活動を写真付きで紹介。さらにプロジェクト当事者の視点から、ミュージアムでモノを見て思考する体験を「ミュージアム思考」と捉え、視覚的、身体的、共在的、超越的、持続的の5つの側面からその体験を紐解いていきます。博物館・美術館の新しい時代の楽しみ方が学べる一冊です。 ラーニングプロジェクト参加者の声 「うちの子がゴッホについて感想を言うなんて」 「ミュージアムは見る場所だと思ってたけれど、考える場所だった」 「ゲームより楽しかった!」 「ゆうえんちよりおもしろかった」 「上野は“第二の我が家のよう”と娘と話しています」 今、世界が激変しています。変化が激しく、正解がないこれからの時代に求められているのは、生産性を重視したステレオタイプな成功や達成のための教育ではありません。未知なるものに出会ったときにどう対処するのか。状況をよく観察し、多様な考えや思いを持った人が、対話の場に参加でき、存在を認め合える「生きる意味を創造する学び」こそが、持続可能な未来へと私たちを導くでしょう。「この世界に生きていて幸せだ」と思える、学びやつながりをもたらす「パワースポット」としてのミュージアムを、私たちは提唱します。 (「はじめに」より) ❖本書の3つの特長 ①一條彰子、山口周、落合陽一の超豪華インタビューを収録 美術館教育の第一線で活躍し続ける東京国立近代美術館の一條彰子さん、ビジネスの視点から低成長時代の新たな社会のあり方について発信している独立研究家、著作家、パブリックスピーカーの山口周さん、そして筑波大学で教鞭をとりながら、メディアアーティストとして、またSDGsや教育をメディアで論じるなどマルチに活躍する落合陽一さん。各分野で活躍し、ミュージアムと独自に関わってきた3人の有識者インタビューを収録。 ②学芸員、アートコミュニケーター、教員など関係者の生の声を多数収録 「あいうえの」プロジェクトに関わった関係者の生の声を、コラム「VOICE」で紹介。アートコミュニケーター志望、美術教育を授業に取り入れたい教育関係者にも参考になる内容です。 ③オールカラー写真付きでプログラムの事例を紹介!
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石川九楊作品集 俳句の臨界 河東碧梧桐一〇九句選
¥3,850
SOLD OUT
発行 左右社 定価 3,850 円(税込) 刊行日 2022年02月28日 判型/ページ数 A5判 並製 240ページ ISBN 978-4-86528-069-2 Cコード C0071 装幀・装画 松田行正+杉本聖士/装幀、石川九楊/カバー題字 選び抜き、考え抜かれた十七文字あまりの言葉と音。 筆と墨と紙で、「らしさ」からどこまでも逃れてゆく書──。 季語からも音数律からも自由な近代的短詩を夢想し、 芭蕉の手から俳句を取り戻そうとした冒険者、河東碧梧桐。 その忘れられた挑戦の生涯をたどる一〇九句を書家、石川九楊が選び、語り、書く。
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共有地をつくる わたしの「実践私有批判」|平川克美
¥1,980
SOLD OUT
発行 ミシマ社 定価 1,800 円+税 判型 四六判並製 頁数 224 ページ 発刊 2022年02月25日 ISBN 9784909394637 Cコード 0095 装丁 クラフト・エヴィング商會 私有財産なしで、機嫌よく生きてゆく 銭湯、食堂、喫茶店、縁側…… 誰のものでもあり、誰のものでもなく。 『小商い』の終着点を描いた私小説的評論 ミシマ社創業15周年記念企画 『小商いのすすめ』から十年。 消費資本主義がいよいよ行き詰まる中、 「小商いの哲学」を実践するすべての人に贈る。 この社会を安定的に持続させてゆくためには、社会の片隅にでもいいから、社会的共有資本としての共有地、誰のものでもないが、誰もが立ち入り耕すことのできる共有地があると、わたしたちの生活はずいぶん風通しの良いものになるのではないか――本文より 目次 第一章 欲望の呪縛から逃れる 第二章 非私有的生活への足掛かり 第三章 リナックスという共有地 第四章 共同体のジレンマ 第五章 家族の崩壊 第六章 消費資本主義から人資本主義へ 第七章 共有地をつくる
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Summer Reading 2022
¥1,350
SOLD OUT
● ブルー・レッドの二種ありますが、内容は同じです リトルプレス 発行:LOST GIRLS BOOKS 2022.7.29 編集:かとうさおり デザイン:多屋澄礼 A5 ホチキス中綴じ 28p リソグラフ印刷 NINE STORIESによる"Summer Reading ZINE" 2022年版。 8名のメンバーによる、読書にまつわる日記やコラムの冊子です。 夏のはじまりに、ぜひどうぞ。 ● TEXT ikm 奥村千織 かとうさおり 多屋澄礼 富沢櫻子 福富優樹 bookbuyingnerd 恵愛由
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くろきまとめ 2014-2021|黒木雅巳
¥1,100
SOLD OUT
自費出版 A5判/172p シャムキャッツやどついたるねんのジャケットも手がける漫画家・イラストレーターの黒木雅巳が、これまでに同人誌『ゆうとぴあグラス』などで描いてきた漫画をまとめたセルフパブリッシング作品集。 日々の何気ない瞬間を切り取り、丁寧に描写されています。 ●目次 下山する為の登頂 02 蘇鉄 011 シンパシー 029 おきる出来事全部今日おきます 047 たぶん未知との遭遇 067 前世についてのゴトー・レポート 087 バ・ケー・ショ・ン 103 恋の堀澄杏 119 檳榔売りと迷い犬 129 アメ村へ 146 茶碗 155
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韓国文学の源流 短編選1 1918-1929 B舎監とラブレター
¥2,420
羅恵錫(ナ・ヘソク)、田栄沢(チョン・ヨンテク)、朴英熙(パク・ヨンヒ)、朱耀燮(チュ・ヨソプ)、崔曙海(チェ・ソヘ)、玄鎮健(ヒョン・ジンゴン)、廉想渉(ヨム・サンソプ)、金東仁(キム・ドンイン)、羅稲香(ナ・ドヒャン) 著 オ・ファスン、岡裕美、カン・バンファ、ユン・ジヨン 訳 発行 書肆侃侃房 四六、上製、256ページ 定価:本体2200円+税 ISBN978-4-86385-524-3 C0097 装幀 成原亜美 装画 松尾穂波 韓国(朝鮮)文学の黎明期を彩る文学は厳しい時代を反映して 社会の底辺で報われぬ愛に生きる人たちの心をえぐられる物語を生み出してきた。 三従の道からの解放を自ら実践しようとして日本留学も果たした女性瓊姫は、新しい女性としての生き方を模索する「瓊姫(キョンヒ)」。白痴のように見えて実は、ある特殊な能力を持つ少年は自由を求めて危険な道に踏み出す「白痴? 天才?」。金を少しでも減らしたくない男。日々寄付を求めてやってくる人々を追い返すために猟犬を飼い始める「猟犬」。死んでから天国に行くより、今のこの世でほんの少しでもいいから、よい暮らしをしてみたいと願う男「人力車夫」。究極の貧しさゆえ空腹を満たすために腐ったサバを食べてしまい、食中毒をおこした息子を何とかして救おうと奔走する母親「朴乭(パクトル)の死」。厳格な舎監が夜な夜な繰り返す秘密の時間。その秘密を垣間見てしまった女学生たち「B舎監とラブレター」。朝鮮人の父親と日本人の母親を持つ混血の息子の葛藤と生きづらさを時代背景と共に綴る「南忠緒(ナムチュンソ)」。韓国最初の創作SF小説。人間の排泄物から必要な要素だけ取り出して人工肉を作る実験に明け暮れる笑えない現実「K博士の研究」。子どものころから主人に絶対服従を誓って生きてきたもの言えぬ男。ある日、屋敷が火事になり、若主人の新婦を救おうと火の中に飛び込んでいく「唖の三龍」。 【目次】 瓊姫(キョンヒ) 경희 羅恵錫(ナ・ヘソク/나혜석) オ・ファスン 訳 白痴? 天才? 천치? 천재? 田栄沢(チョン・ヨンテク/전영택) カン・バンファ 訳 猟犬 사냥개 朴英熙(パク・ヨンヒ/박영희) カン・バンファ 訳 人力車夫 인력거꾼 朱耀燮(チュ・ヨソプ/주요섭) ユン・ジヨン 訳 朴乭(パクトル)の死 박돌의 죽음 崔曙海(チェ・ソヘ/최서해) 岡裕美 訳 B舎監とラブレター B사감과 러브 레터 玄鎮健(ヒョン・ジンゴン/현진건) カン・バンファ 訳 南忠緒 남충서 廉想渉(ヨム・サンソプ/염상섭) ユン・ジヨン 訳 K博士の研究 K박사의 연구 金東仁(キム・ドンイン/김동인) 岡裕美 訳 啞の三龍 벙어리 삼룡 羅稲香(ナ・ドヒャン/나도향) オ・ファスン 訳 解説 芹川哲世 文学史年表 【著者プロフィール】 羅恵錫(ナ・ヘソク)나혜석 一八九六~一九四八 京畿道水原(キョンギド・スウォン)生まれ。画家、文筆家。五人兄妹の三番目に生まれ、一九一〇年の日韓併合前後、父が官僚を務め裕福な家庭に育つ。進明(チンミョン)女子高等普通学校卒業後、兄の勧めで日本に留学し、私立女子美術学校(現 女子美術大学)西洋画部に進学し油絵を専攻。韓国初の女性西洋画家となる。在学中に東京の女学生たちの自由な雰囲気に触れて女性解放のための運動に参加し、韓国初の新女性とも言われる。一時は独立運動にも傾倒するが、後に結果としては現実と妥協する道を選ぶことになり、一九二〇年四月、六年間求愛され続けたという日本の外交官となる親日派の留学生と結婚する。結婚後、夫とともに三年に及ぶヨーロッパ周遊に出るが、その途中に出会った夫の友人と道ならぬ恋に落ちて夫に離縁される。離婚後、画家としての才能を開花させ、朝鮮美術展覧会、日本の帝国美術院展覧会でも入選する。波乱万丈な人生を送るが、晩年は一時養老院にも身を寄せ、五十二歳の若さで病死する。「瓊姫」は女学生時代の一九一八年に発表した自伝的小説であり、他に小説では「閨怨」(二一)「玄淑」(三六)などの短編、詩では「人形の家」などの作品がある。 田栄沢(チョン・ヨンテク)전영택 一八九四~一九六八 平壌(ピョンヤン)に生まれる。一九一〇年、平壌大成(テソン)中学を三年生で中退。一九一八年に青山学院文学部を卒業、同校の神学部に再入学する。金東仁(キム・ドンイン)、朱耀翰(チュ・ヨハン)、金煥(キム・ファン)らと文芸誌「創造」の同人となり、東京で学生独立運動にも参加。一九二三年、青山学院神学部を卒業後、監理教会所属の協成神学校と協成女子神学校の教員を経て、一九三〇年には米パシフィック神学校に入学する傍ら興士団(安昌浩[アン・チャンホ]が設立した民族運動団体)にも加入する。一九三二年に帰国し、黄海道鳳山(ファンヘド・ポンサン)監理教会、一九三八年に平壌ヨハン学校、女子聖経学校、一九四二年に平壌神理教会で牧師、一九四八年に中央神学校教授などを務めた。一方で文教部編修局編修官(四六)、在日本東京韓国福音新聞主幹(五二)、大韓基督教文書出版協会、基督宣教会編集局長(五二)など学界・言論界にも従事しながら、一九六一年には韓国文人協会初代理事長を務める。一九六三年、大韓民国文化褒章大統領章を受ける。短編「恵善の死」(一九)、「白痴? 天才?」(一九)などの作品からは、彼がどうすれば自然体の小説を書けるかと試みていたことがわかる。一方で「生命の春」(二〇)、「毒薬を飲む女人」(二一)などは、己未獨立運動をめぐる彼自身の実生活と緊密な関係にある作品である。また、「ファスブン」(二五)など死を扱う作品が多いのは、死を通してこそ命と人生の意味、その価値を理解できるという著者の認識ゆえだ。彼の文学世界は基督教的な信仰に基づいており、作為的な虚構性を排除し、人道主義と人間愛を目指している。一九五〇年に発表した「牛」でも、分断の悲劇による南北相互間の憎しみと敵対関係が深まっていく過程を人道主義で解決しようという試みが見られる。作品集に『生命の春』(二六)、『空を見つめる女人』(五八)などがある。 朴英熙(パク・ヨンヒ)박영희 一九〇一~? ソウル生まれ。一九一六年、培材(ペジェ)高等普通学校に入学し、在学中に羅稻香(ナ・ドヒャン)、金基鎭(キム・ギジン)、金復鎭(キム・ボクジン)らと親交を結び、一九一九年三月五日、三・一運動に参加する。一九二〇年、培材高等普通学校を修了して日本に渡り正則英語学校に入学、一九二一年に帰国し総合教養誌「新青年」、韓国初の詩専門誌「薔薇村」の同人として活動した。一九二二年、浪漫主義と象徴主義の文学を紹介する雑誌「白潮」の同人として活動し、創刊号に「微笑の虚華詩」などの詩と、オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の翻訳が掲載される。一九二四年には開闢社で学芸部長を務め、同年、新傾向派文学団体パスキュラを結成。一九二五年、KAPF(朝鮮プロレタリア芸術同盟)結成に参加し、教養部の責任者を務める。一九三一年、第一次KAPF検挙事件を機に拘束され、翌年不起訴処分となる。一九三四年、一月二日付けの「東亜日報」に「最近文芸理論の新展開とその傾向」を発表し、KAPF脱退と転向を宣言。一九三七年、詩集『懐月詩抄』を発刊。一九三六年一二月に公布された「朝鮮思想犯保護観察令」により朝鮮思想犯観察所に収容される。一九三八年六月、転向者を国民精神総動員に参加させるための時局対応全国委員会に朝鮮人代表委員として参加。同月、時局対応全鮮思想報国連盟結成の準備委員として選出され、彼が脚色した防諜映画『軍用列車』が公開された。同年七月、思想報国連盟の京城支部幹事、常任幹事、厚生部部長などを歴任し、九月には朝鮮防共協会の評議員となった。一九三九年三月、皇軍慰問作家団の実行委員に選ばれ、一九四〇年五月、国民精神総動員朝鮮連盟の嘱託で機関誌「総動員」編集に関与する。一九四一年一月、国民総力朝鮮連盟文化部文化委員となり、同年三月、彼の原作で志願兵宣伝映画『志願兵』が公開された。その後も活発な親日活動を続け、文筆においても親日関連の文章を多数残した。朝鮮解放後は大学講師を務め、一九五〇年、朝鮮戦争勃発後、北へ渡る。著書に小説と評論をまとめた『小説・評論集』(三〇)、評論集「文学の理論と実際」(四七)などがある。 朱耀燮(チュ・ヨソプ)주요섭 一九〇二~一九七二 平安南道平壌(ピョンアンナムドピョンアン)生まれの小説家、ジャーナリスト、独立運動家、英文学者。プロテスタント牧師であった朱孔三の次男として生まれ、「ヨソプ(ジョセフ)」という名前を受けた。号は餘心(ヨシム)など。兄は朝鮮を代表する近代詩人の朱耀翰(チュ・ヨハン)。崇德(スンドク)小学校、崇実(スンシル)中学校を経て一九一八年に渡日し、靑山学院中学部三年に編入。一九一九年に三・一独立運動を受けて帰国し、謄写版の地下新聞を発刊した廉で十ヵ月間投獄される。その後、中国に渡り、一九二七年に上海の滬江大学を卒業。翌年に渡米し、スタンフォード大学で教育学を学び、修士の学位を受けた。一九二九年に帰国した後は、一九三一年に東亜日報社に入社し、『新東亜』の主幹を務めた。一九三四年、中国北京の輔仁大学教授に就任。一九四三年に帰国し、解放後は、『コリアタイムズ』主筆、慶熙(キョンヒ)大学教授、国際ペンクラブ韓国本部委員長などを歴任した。作家としては、一九二一年に雑誌「開闢」に発表した短編小説「寒い夜」で文壇デビュー。「人力車夫」(二五)を含む初期の作品では、上海を背景に下層階級の人々の悲惨な生活を描き、ヒューマニズムの色彩が強く現れるため、新傾向派の作家と呼ばれる。一九三〇年代に発表された中期の作品では、人間の内面世界を追究し、女性心理の描写に長けた代表作「間借り客と母」(三五)で大衆的に世に知られた。解放後は、社会的な現実認識が強く反映された作品を多く発表。一九七二年に心筋梗塞により死去。 崔曙海(チェ・ソヘ)최서해 一九〇一~一九三二 咸鏡北道城津(ハムギョンブクドソンジン)に生まれる。本名は崔鶴松(チェ・ハクソン)、号は曙海など。極貧家庭に育ち、普通学校(小学校)を三年で中退した。一八年に間島(現在の中国吉林省延辺)に移住し、日雇い労働をしながら文学の習作を始める。作家になることを決意すると二四年に老母と妻子を置いて帰国し、上京。「朝鮮文壇」誌に短編「故国」を発表した。二五年には「脱出記」「飢餓と殺戮」「朴乭の死」など次々に短編を発表し、新傾向派文学の旗手として注目を浴びた。同年、KAPF(朝鮮プロレタリア芸術同盟)の設立に参加したが、二九年に脱退。三一年、朝鮮総督府機関紙の「毎日申報」に学芸部長として入社し、同年小説集「紅焰」を刊行するも胃病と阿片中毒に苦しみ、翌年入院先の病院で亡くなった。崔曙海の作品は自身の間島での放浪生活を描いたものや故郷である咸鏡道を背景に労働者や雑役夫の生活苦を取り上げたもの、周囲の文学者の貧しい暮らしを描いたものが主であり、新傾向派が陥りがちなイデオロギー過剰の観念的傾向とは異なる自身の経験に基づくものとして、近代リアリズム小説の一つの転換点を生み出したといえる。その他の代表作に「洪水の後」(二五)、「白琴」(二六)、「日の出」(二六)、「底流」(二六)などがある。 玄鎮健(ヒョン・ジンゴン)현진건 一九〇〇~一九四三 大邱(テグ)生まれ。書堂で漢文を学び、一九一七年、日本の成城中学に編入、一八年に中退する。一九一九年、李相和(イ・サンファ)、白基萬(ペク・ギマン)、李相佰(イ・サンベク)らと同人誌「炬火」を発刊。一九一八年、上海にいた次兄を頼って滬江(フージャン)大学に入学した。一九二一年、朝鮮日報社入社をきっかけに「東明」、「時代日報」、「東亜日報」の記者として活動した。一九二〇年、「開闢」に短編「犠牲花」を発表して酷評されるが、翌年、自伝的小説「貧妻」を発表して文壇の注目を集めた。同年、「白潮」の同人としても活動する。その後、上海で共産主義者として活動していた三兄の逮捕と死に衝撃を受けるが、自身も一九三六年、東亜日報社社会部長だった当時、日章旗抹消事件で一年間投獄される。一九三七年、東亜日報社を辞めて小説創作に専念するようになり、貧しさに耐えながらも親日文学に流されないまま、一九四三年に腸結核で亡くなる。彼の小説は大きく三段階に分かれる。第一段階は「貧妻」(二一)、「酒を勧める社会」(二一)、「堕落者」(二二)などの一人称小説で、著者の自伝的要素が濃い作品。第二段階は現実告発小説として都市に生きる下層民の運命を追った「運のよい日」(二四)、未熟な性意識と労役に苦しむ農村女性を描いた「火」(二五)、土地を失い労働者として渡り歩く離農民を描いた「故郷」(二六)などで、これらは一九二〇年代の短編文学の一頂点を示している。第三段階では歴史小説「赤道」(三三~三四)、「無影塔」(三八~三九)などを通じて民族の魂を表現しようとした。 廉想渉(ヨム・サンソプ)염상섭 一八九七~一九六三 漢城(現・ソウル)生まれの小説家、言論人。本名は廉尙燮(ヨム・サンソプ)、号は 橫步(フェンボ)または霽月(ジェウォル)。一九〇七年、官立師範附属普通学校に入学するが中退。普成小学校・中学校を経て、一九一二年に渡日。麻布中学校、聖学院中学校への編入を経て、一九一八年に京都府立第二中学校卒業。同年、慶應義塾大学文科予科に入学するも、半年で自退。翌年、大阪にて三・一独立運動に参加し、投獄される。一九二〇年に帰国し、『東亜日報』を振り出しに各紙で記者生活を送り、三〇年代後半には満州にも滞在した。新聞・雑誌の編集人を務める傍ら、小説・評論を発表。一九二〇年、文芸同人誌『廃墟』を金億らと発刊。一九二一年に実質的デビュー作「標本室の青蛙」を『開闢』誌に発表し、朝鮮の自然主義文学の祖となった。初期の作品は自然主義の傾向が強かったが、のちには社会の現実を描くリアリズム文学を確立。代表作は日本の植民地下という暗い現実を直視した『万歳前』(一九二四年)、『三代』(一九三一年)など。解放後も精力的に作品を書き続け、芸術院功労賞(一九五七年)、大韓民国文化勲章(一九六二年)など、数々の賞を受けた。李光洙と並び称される二大文豪の一人とされる。一九六三年にソウル市の自宅にて直腸ガンで死去。 金東仁(キム・ドンイン)김동인 一九〇〇~一九五一 平壌(ピョンヤン)に生まれる。号は琴童(クムドン)など。一九一四年に日本に渡り、東京学院中学部に入学したが、学校が閉鎖されたため翌年に明治学院中学部二年に編入。一八年には川端画学校に入学した。一九年二月、田栄沢(チョン・ヨンテク)、朱耀翰(チュ・ヨハン)らとともに初の純文学同人誌「創造」を発刊。創刊号に初の短編小説「弱き者の悲しみ」を発表した。同年三月に帰国するが、弟の頼みで三・一独立運動の檄文を起草した疑いで拘束、投獄された。釈放後、「命」(二一)、「馬鈴薯」(二五)、「狂炎ソナタ」(三〇)などの短編を発表し、李光洙(イ・グァンス)の啓蒙主義文学と対比される簡潔で洗練された文体が評価された。また「朝鮮近代小説考」(二九)や「春園研究」(三八)で李光洙を批判したことでも知られる。三〇年から翌年まで初の長編小説『若い彼ら』を「東亜日報」に連載。三三年には「朝鮮日報」に学芸部長として入社したが、ほどなく辞職した。月刊誌「野談」を発刊、「狂画師」(三五)などの作品を発表する。三八年、「毎日申報」に内鮮一体や皇民化政策をたたえる内容の散文「国旗」を寄稿し、日本の帝国主義に協力する姿勢を示した。翌年には北支皇軍慰問作家団で活動し、同年に朝鮮総督府の外郭団体である朝鮮文人協会に発起人として参加した。植民地支配からの解放後、四六年に全朝鮮文筆家協会の結成を主導し、李光洙をはじめとする作家の植民地時代の親日行為を批判する「反逆者」(四六)、「亡国人記」(四七)などの短編を発表した。四九年に中風で倒れ、五一年に朝鮮戦争の戦火の中、ソウルの自宅で亡くなった。 羅稲香(ナ・ドヒャン)나도향 一九〇二~一九二六 ソウル生まれ。小説家。本名は羅慶孫(ナ・ギョンソン)、筆名は彬(ビン)。稲香は号である。祖父は漢方医で父も医者であったため、一九一九年に培材(ペジェ)高等普通学校を卒業すると、同年に父と同じ京城医学専門学校に入学する。だが文学を志し、家族に内緒で日本に渡る。しかし学費が工面できず留学を断念して帰国することに。その後、一時、慶尚北道安東(キョンサンプクド・アンドン)の普通学校で教鞭をとる。一九二一年頃から創作活動を始め、一九二二年には洪思容、玄鎮健、李相和、朴英熙、朴鍾和、盧子泳らとともに文芸同人誌『白潮』を創刊する。創刊号に「若者の時節」を発表して小説家となる。同年、東亜日報で長編小説『幻戯』の連載を始める。「かつての夢は蒼白だ」(二二)「十七円五十銭」(二三)など、初期は浪漫主義的作品が続いたが、後に不条理な社会を客観的に描き写実主義的小説に変貌したと評価される。その代表的な作品が「啞の三龍」(二五)である。一九二五年に再渡日するものの、生活に困窮して志半ばにして一九二六年に帰国し、その直後に病死する。二四歳の若さだった。若き天才文士ともいわれ、代表作には「水車」(二五)「桑」(二五)などの短編小説があり、死後の一九三九年には長編『母』が刊行された。短期間で比較的多くの作品を残した作家である。 【訳者プロフィール】 オ・ファスン(呉華順) 青山学院大学法学部卒業後、韓国の慶煕大学大学院国語国文科修士課程修了。フリーライター、翻訳者。第一回新韓流文化コンテンツ翻訳コンテスト(ウェブコミック日本語部門)優秀賞受賞。著書『なぜなにコリア』(共同通信社)。訳書に『旅立ち』(俳優ソン・スンホン著)、『朱蒙(チュモン)』(TOKIMEKIパブリッシング)ほか韓国ドラマ公式ガイドブック多数、『つかめ!理科ダマン』シリーズ(マガジンハウス)、『準備していた心を使い果たしたので、今日はこのへんで』(扶桑社)などがある。 岡裕美(おか・ひろみ) 同志社大学文学部卒業、延世大学校国語国文学科修士課程修了。第十一回韓国文学翻訳新人賞を受賞。訳書にキム・スム『ひとり』(三一書房)、イ・ジン『ギター・ブギー・シャッフル』、キム・スム『さすらう地』(共に新泉社)、李箱ほか『韓国文学の源流短編選3 失花』、李孝石ほか『韓国文学の源流短編選2 オリオンと林檎』(共に書肆侃侃房、共訳)、『韓国・朝鮮の美を読む』(野間秀樹、白永瑞編、クオン、共訳)などがある。 カン・バンファ(姜芳華) 岡山県倉敷市生まれ。岡山商科大学法律学科、梨花女子大学通訳翻訳大学院卒、高麗大学文芸創作科博士課程修了。梨花女子大学通訳翻訳大学院、韓国文学翻訳院翻訳アカデミー日本語科、同院翻訳アトリエ日本語科などで教える。韓国文学翻訳院翻訳新人賞受賞。日訳書にチョン・ユジョン『七年の夜』、ピョン・ヘヨン『ホール』、ペク・スリン『惨憺たる光』『夏のヴィラ』(共に書肆侃侃房)、チョン・ユジョン『種の起源』、チョン・ソンラン『千個の青』(共に早川書房)、チョン・ミジン『みんな知ってる、みんな知らない』(U-NEXT)など。韓訳書に柳美里『JR上野駅公園口』、三島由紀夫『文章読本』(共訳)、児童書多数。共著に『일본어 번역 스킬(日本語翻訳スキル)』(넥서스 JAPANESE)がある。 ユン・ジヨン(尹志映) 韓国ソウル生まれ。延世大学校英語英文学科、日本学連繫専攻卒。東京大学大学院総合文化研究科超越文化科学専攻修士・博士号取得。韓国文学翻訳院日本語特別課程ならびに同アトリエ課程修了。訳書にキム・チョヨプ『わたしたちが光の速さで進めないなら』(早川書房、共訳)。 【韓国文学の源流シリーズ】 2019年6月にスタートした韓国文学の源流シリーズは朝鮮文学時代から今の韓国現代文学に続く、古典的作品から現代まで、その時代を代表する短編の名作をセレクトし、韓国文学の源流を俯瞰できるシリーズです。 各巻には小説が書かれた時代がわかるような解説とその時代の地図、簡単な文学史年表が入ります。よりいっそう、韓国文学に親しんでいただければ幸いです。
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空気の日記
¥2,420
新井高子 石松佳 覚和歌子 柏木麻里 カニエ・ナハ 川口晴美 河野聡子 さとう三千魚 白井明大 鈴木一平 ジョーダン・A・Y・スミス 田中庸介 田野倉康一 永方佑樹 藤倉めぐみ 文月悠光 松田朋春 三角みづ紀 峯澤典子 宮尾節子 山田亮太 四元康祐 渡辺玄英 発行 書肆侃侃房 A5判、並製、464ページ 定価:本体2,200円+税 ISBN978-4-86385-532-8 C0092 23人の詩人が綴ったコロナ禍のリレー日記365日 コロナ禍の1年間、休むことなく書き続けた詩人たちの日記はリアルで、詩的で、いつまでも心に残り続ける。 この時にしか書けなかった貴重な記録です。 【呼びかけメールより】 未曾有の事態なので様々な出来事は記録されていきますが、人々の感情の変化の様子をしっかり留めておくべきではないかと思いました。 そこで、詩人のみなさんと手分けして『空気の日記』をつけていきたいと思いつきました。 その日の出来事とその時の感情を簡潔に記していく輪番制の日記です。 せっかくなので詩のかたちで書けるといいなと思います。空気の叙事詩。
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深呼吸広場|谷川電話
¥1,760
発行 書肆侃侃房 B6判、並製、112ページ 定価:本体1,600円+税 ISBN978-4-86385-523-6 C0092 ブックデザイン 畑ユリエ 一昨日は男子、昨日は女子だった 今日はパンケーキとして生きる 『恋人不死身説』の著者、新境地をひらく第二歌集。 【収録歌より】 日向 今日わたしはよわい 猫を抱く力があればじゅうぶんなんだ 銀色のコーヒーミルに抱擁を映そうとして踏んだクッキー 友だちのアフロヘアーを通過するあいだ微風は複雑になる 生きながら水族館の薄闇でおでこをさすりあうのはいいね コロッケを揚げながらする合唱に百年前のくしゃみが混じる
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何卒よろしくお願いいたします|イ・ラン/いがらしみきお
¥1,980
訳 甘栗舎 発行 タバブックス 2022年7月28日発売 装丁 惣田紗希 翻訳監修 小山内園子 表紙人形 工藤夏海 表紙撮影 植本一子 四六判・並製・248ページ 定価 本体1800円+税 ISBN978-4-907053-55-0 C0098 韓国のアーティスト イ・ラン×『ぼのぼの』の漫画家いがらしみきお 世代・性別・国境を超えた、渾身の往復書簡 尊重しあう2人の作家が交わした文章に、魂が宿り、ひとつの世界が形作られる キム・ボラ『はちどり』監督 イ・ラン『私が30代になった』に、元々ファンだったいがらし氏に帯コメントを依頼して以降意気投合した2人。コロナ禍の1年にわたって交わした手紙は、神、経済、AI、哲学、社会、映画、音楽、家族、生きること、等々尽きることなく対話が広がる。本書は韓国・日本でそれぞれ出版することになり、韓国では昨年12月にメディアチャンビより刊行。日本版には、その後に2人が書いた手紙を収録。数々の苦難のなか交わされたことばは、深い思索と愛に満ち溢れ、読み手の胸に迫る。 私と、私が愛する友達にとって最も重要なことは「安全」です。それは、暴力の被害経験がある私には特に重要なイシューです。どんな人であれ、恐れることなく外に出かけられる世の中こそが、私の望む世の中です。 ーイ・ラン 苦難の中で生きている人は尊い人だと思います。誰にとって尊いのかというと、私にとってであるし、私以外の誰かにとってであるし、世界中の苦難の中で生きている人にとってです。 ーいがらしみきお 〈本文より〉 イ・ラン 音楽、映像、文学、漫画とマルチ過ぎる才能を持ったアーチスト。その背景には、マネーから神様までと、森羅万象に渡る好奇心がある。普遍的なメッセージと先鋭的なパフォーマンスへの、世間的な賛否両論など振りきって、自ら血まみれになりながら走りつづける姿は、世代や国籍を越えて支持されている。(文 いがらしみきお) いがらしみきお 韓国で大人気の漫画『ぼのぼの』を創り出した1955年生まれの日本人漫画家。『ぼのぼの』のように可愛い絵だけではなく重くて深刻な作品もたくさんあるが、その中でもひとりの少年が同級生と神の存在を探す『I【アイ】』は、友達と一緒に何度でも読み返したい名作だ。同じ1986年生まれのぼのぼのとイ・ランにとっての良い友達であり、年齢、性別、国籍を問わず多様な生命体と通じ合える能力と柔軟な想像力を持った素敵な人。そして、写真を撮るたびに特有の可愛らしい笑顔を見せる人でもある。(文 イ・ラン)
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定本 本屋図鑑
¥2,200
発行 夏葉社 著者:本屋図鑑編集部 編 得地直美 絵 装丁;櫻井久、中川あゆみ 価格:2000円+税 版型:四六判/ハードカバー 頁数:400頁 ISBN 978-4-904816-41-7 C0095 夏葉社・島田さんが全国47都道府県を旅し、地域に根ざした本屋さんをご自分の足で探して取材し、得地直美さんが緻密なイラストを描いた『本屋図鑑』から9年。 あらたに8店舗の新規取材を加え、「本屋さんの歴史」を大幅に改稿した『定本 本屋図鑑』が刊行されました。 (「スリップの歴史」と「本屋さんの一年」という新しい原稿もあります) さらに、2014年に刊行し、品切れになっている『本屋会議』からも6本収録。 登場する書店は76店。全部で400ページ。 「本屋本」の決定版と宣伝したい、大ボリュームの1冊です。
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隙間時間|小谷実由
¥2,420
・出版社 :ループ舎 ・形式 :単行本(上製本) 216ページ ・本体価格 :2,200円+税 ・発売日 : 2022年7月29日 ・ISBN:978-4-9909782-7-3 C0095 “おみゆ”こと、モデル・小谷実由による初のエッセイ集。NAOT JAPAN公式HPでのWEB連載がついに書籍化。 SNSでも抜群の影響力を持つ“おみゆ”が、20代おわりから30代のはじまりにかけて綴った、日々のあれこれや、心のつぶやき。 ブックデザインにコズフィッシュの祖父江慎氏を迎え、書き下ろしエッセイ、録り下ろしインタビューに加え、撮りためた写真も多数収録。全てにおいてこだわりぬいた一冊となりました。 著者プロフィール 小谷実由 (オタニミユ) 1991年東京生まれ。14歳からモデルとして活動を開始。『GINZA』『リンネル』をはじめとしたファッション誌のほか企業広告でも活躍中。猫と純喫茶をこよなく愛し、自身の偏愛を発信するインスタグラムのフォロワー数は10万人を超える。無類の本好きで、エッセイ執筆や寄稿もしており、Hanako、資生堂花椿など連載多数。日常の気付きや好きなものを多くの人に伝え、「誰かの日々の小さなきっかけになるように」とアパレルブランドやアーティストとのプロダクト開発にも多く取り組んでいる。
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たびたびの旅|安西水丸
¥1,980
ポケットスタンダードシリーズ 発行 田畑書店 文庫判上製 ハードカバー 縦156mm 横113mm 256ページ(カラー挿画31点) 定価 1,800円+税 ISBN 9784803804003 仙台からオスロへ、小樽からハイデルベルグへ……根っからの自由人である著者が、仕事で、あるいは気の向くままに訪れた旅先の様子を、洒脱な文章とイラストで書き留めた〈旅絵日記〉。第二部では東京の酒場をめぐりながら、出会った人びと、起こった事柄を記す。コロナ禍で旅と酒場めぐりが叶わなくなったいま、著者の眼差しに重ねて仮想の旅に誘う一冊!